ああ、恥多き人生であった。己を誇れるということがなかった。無力だった。これでよくここまで生きて来られたものだと思う。逃げて逃げて来た。己の力を発揮して、自慢をして生きていられる人が羨ましい。まことに弱い男だった。喧嘩もできなかった。ごそごそと穴に隠れる干潟の蟹のようだった。それでも、助けられていた。庇ってもらっていた。引き籠もりにはならずにすんだ。
堂々と生きて来なかったことを、恥じる。折角この世に生を受けながら、それを輝かせるということがなかった。仏神に詫びる。閻魔大王様の前を通り抜けて行けるだろうか。