8
傲慢を通すことを如意というのか。通せなくなったことを不如意というのか。
考えさせられてしまった。
7
不如意というのはわたしの不遜なのではないか。傲慢なのではないか。意の如くならないというのは、わたしの不遜から来ているのではないか。傲慢から来ているのではないか。
6
太陽を昇らせるのは我が意ではない。沈ませるのも我が意ではない。春の風が吹くのは、我が意なのではない。野にスミレが咲くのは、わたしが咲かせようとして咲いたのではない。
すべてが我が意を超越している。我が意でできることこそわずかではないのか。
5
不如意。仏教では、意のままにならないことを苦と呼んでいる。娑婆は苦の世界である。本当に此処は苦の世界なのか。娑婆なのか。意の如くに運んでいないところだったのか。意の如くの範囲だったら、むしろ、そこは小さな世界だったのではないか。
4
意の如くと言うけれど、我が意で動くことがどれほどあったのだろう。我が意を立てる前に、世界の殆どは済んでいたのではなかったか。
3
この年齢まで生きられたということは、我が意ではなかった。意図しても意思しても、できることではなかった。今日を生きているというのは、我が意なのか。我が意で、今日を生きられるのか。
2
でも、その中に幾つかの如意もあった。あったと思う。意の如くうまく行ったということもあった。たびたびあった。半々? いや、それ以上だったかもしれぬ。いや、もっともっとだったかもしれぬ。
1
不如意。意の如くには行かなかったなあ。悲しみを味わったなあ。苦しみも数え切れなかった。泣いた泣いた。恨んだ恨んだ。
4
扱いにくいだろうなあ、こんな男は。反対の立場に立ってみたら、よくわかる。こういう男は実に鼻持ちならない。曲者(くせもの)。変わり者。ふてぶてしくって、尋常一様に行かない。相手を立てない。ろくなヤツではない。
おのれこそ立たない男なのに。足元不確実な、いまにもひっくり返ってしまう不安定な男なのに。
3
おれはまだ三歳児かもしれぬ。人見知りをする。端(はな)から、誘いに乗らない。ノーサインを出す。がやがやざわざわする中に入って行かない。知らんぷりをする。人を信用していない。己を尊大にしている。平気の平左で、増上慢している。