多病息災発達障害者こよりの日常

両手で数えきれない障害と持病を抱えつつ毎日元気に活動中。発達障害の息子たちの子育ても終え、悠々自適の毎日です。

佐々木正美先生のあれこれ

2017-06-30 05:29:49 | 修業について
10年の 公私にわたるお付き合いの中で、


佐々木正美先生とのたくさんの 会話が思い出されます。


何度か ご一緒した講演の後、控室で伺ったお話の数々。


私が 印象に 残ったのは、


先生が 一時期 統合教育を広めるために、


あちこちの 保育園や 幼稚園を回って


自閉症児の受け入れ先を ご自分で探された事。


これは 「皆と一緒」を願う保護者の方や


クリスチャンであられる先生の 「人を愛す」というお考えには


ぴったり合う考えだったのかもしれません。


しかし 園での数年は すぐに過ぎ、統合教育を 受け入れてくれる学校は少なく、


受け入れて 適応できた(ように 見えた)自閉症の子どもたちを


撮影して 映画も作られたと伺いました。


そして 「うまくいった」と 学校の先生も 親も 佐々木先生も


信じて 疑わなかったその数年後、統合教育を受けた子どもたちの中から


少ないとは 言えない数の 不適応を起こす子どもたちが出て、その予後はよくなかった、と


先生は 暗い顔をしておっしゃいました。


「・・・うまくいってる、とおもったんですよ、その時は。」その後しばらく


黙っておられました。


そして TEACCHにであわれ、エリック・ショプラーとの 親交を深められた先生は、


その後は TEACCHの普及のため ご尽力されました。


構造化で 生活や 学習が うまくいった子どもたちが たくさんいて、


その時は 「心底ほっとした」と おっしゃっていました。


私は 本が好きで、先生の御本もたくさん読みましたが、


家の中を 構造化したり 絵カードを作ったりすることは


したことがありません。


構造化に頼らなくても 生きていける子どもになってくれたことが、


私にとっては 良かったですし、先生の TEACCH普及を通して


助かった方も たくさんおられたそうですから、先生も 生きがいを感じられたと思います。


たとえて言えば、先生は 「みんなで 一緒に 道路を歩きたい」と


思われたら、その人を 助ける人の輪に交わらせればよい、


助けが難しければ 道路に 歩く線を書いて その上を 歩くことを


させればよい、というような お考えと 私は 受け取りました。


それが その後の 「発達障害に理解を」という ご活動に つながっていくと思うのですが、


私は 「道を歩くのにはまず どこからが道で、どこが自分があるいていい場所か」を


認識させることや「歩く体力」をつける事、何より「歩きたい」という意思表示が


たとえ音声言語でなくとも 示せること、「歩きたくなくとも緊急時には行動ができる事」等を


目指して 育ててきました。


道を歩くのなら、最低限のルールは知っておかなければならないと思いました。


「これが 自分の歩き方だ」と危険な事や 気の赴くままに 飛び出したり


していては 「一人で歩ける」ようには ならないと思い 育ててきました。



障害の理解、や構造化の普及は 私には


「自分は 車の運転をしたいが、右折は嫌なので それを理解してほしい」


「道路は 走るべき場所なのに、渋滞が起きると 納得できなくて


イライラするので、渋滞しない道路を作ってほしい」という考えのように思いました。


構造化も 絵カードも 支援者もなくとも、発達障害の子どもたちは


「働く大人」「余暇を楽しめる大人」「人の輪に加わり、一緒に楽しめる大人」に


なりました。


私の子どもたちのことを ご報告すると


「よくそこまで 育てられましたね」と おっしゃって下さいました。


先生は ご自分の 思想や信仰を活かし、満足できる人生を


送られたのかも しれませんが、まだまだ 「満足できる人生」や


「満足できる生活」を 送ることすらできないで 悩んでいるお子さんや 親御さんが


居る事を 知っていますので、私は 佐々木先生とは 違うやり方で、


「納得いく人生を 送れる」ことを 目標に 他の方や 親御さん、支援者の方に


私の体験や 日常、子どもたちを どう育てたか、という事を


お伝えしたいと思います。


明日の沖縄講演で、「私も 子どもたちも 自分の納得いく人生を


歩んでいます。幸せです。」という事を みなさんにお伝えしたいし、


障害があっても 支援や その他の 道具や 何とかプログラムや


高額なセミナーや 教材を買わなくとも 子どもは ちゃんと育つ、と


お話したいと思います。


先生は お亡くなりになりましたが、


「一粒の麦もし地に落ちて死なずば ただ一つにてあらむ、


死なば多くの実を結ぶべし」という言葉が 浮かびました。


私も 先生に 関わったものの 一人として、


先生とは 全く違う形ですが、自分の経験を 人のために


活かしていきたいと思います。明後日は 沖縄講演です。


 





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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こよりへ (ふざけるな)
2017-07-01 16:43:35
薄汚い手で佐々木正美先生に触れるな!
返信する
「ふざけるな」さんへ (マツミチ)
2017-07-11 10:56:48
生活の中で腹の立つことがあるのだと思いますが、このような言葉を匿名での書き込んでしまうのは卑怯です。
自分の言動は他の人の見本になるのかどうか、今一度考えてから、コメントしてください。
お願いします。
私は自閉っ子を育てている真っ最中ですが、こよりさんの本に知恵のおすそ分けをいただいています。
返信する
マツミチさんへ (こより)
2017-07-11 15:54:09
コメントありがとうございます。


「ふざけるな」さん 以外にも、メッセージや


メール、いたずら電話や 無言電話などが


きていますが、私は 自分が 経験した事を


伝えていこうと 思います。


「子どもに寄りそう」を 信念にしてらした先生なら、


私が 今していることを 否定しないだろうと


思います。発達障害児・者の人生を


消化試合にしないために、私は自分のできることを


していきます。
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