多病息災発達障害者こよりの日常

両手で数えきれない障害と持病を抱えつつ毎日元気に活動中。発達障害の息子たちの子育ても終え、悠々自適の毎日です。

夫、調子に乗る

2022-11-25 10:25:00 | 
先日目出たく、結婚36周年を迎えました。何かお祝いをしようと思ったのが先月です。旅行支援が始まってましたが、夫の仕事のシフトは変動があり、この日なら確実に休みという日は少ないので、どの日が良いか、かなり悩みました。

二人で宿泊に行けるほどの予算はないですし、サイトを見たら私の予算で行けて、夫の好みに合いそうなところはどこもキャンセル待ちになっていました。

遠出が嫌いで、人混みも嫌い。我が家から日帰りできて、混雑しない場所。なかなか見つからなかったのですが、郊外のホテルの日帰りプランを見つけて予約しました。

さて当日。夫には一応ホテルだから、ちゃんとした服着てねとお願いしましたが、いつもは作業着、自宅ではホントに気楽な服です。大丈夫かな、と思いましたが、襟のあるシャツにジャケット、いつもと違ってカッコいい。

まあ、お父ちゃん、素敵!と誉めそやし、足元を見たらいつものサンダルです。うーん。靴が苦手でも、サンダルはちょっと、と言いかけた言葉をグッと飲み込みます。ここで機嫌損ねたら、俺は行かないと言い出しかねないから。

予約してあるし、足元以外はきちんとしてるし、お帰りくださいとは言われないだろう。フロントで何か言われたら、足の病気で靴が履けないのでと言えば許してくれるかも。水虫だって一応病気だから、嘘じゃないし。あれこれ思いつつ支度して車に乗ったら、夫が玄関に戻っていく。どうしたのかな、忘れ物かな?トイレかなと思ったら、靴を履いて戻ってきました。あらびっくり。

サンダルよりこれの方が良いかと思ったそうで、ああ何も言わなくて良かった、とほっとして出発です。我が家から車で1時間ほど走り、郊外のホテルに到着です。こちらへどうぞ、と案内されて、ランチまで一休み。

夫はホテルなんて滅多に行きませんから、珍しがってあちこち探検です。夫の足が止まり、何かを凝視しています。

「新鮮な海の幸を、心ゆくまでご堪能ください。松コース 竹コース 梅コースその他単品もあり 当館1F、割烹 何某 ※ご宿泊のお客様、一品サービスあり」

あー、あれ食べたいとか言わないで。

私の方に向き直った夫。
「今日食うやつは、これじゃないんだよな?」口ではそう言いつつ、目が期待に満ちている。あああ。

「今日はねえ、たまには変わったのが食べたいなと思って、洋食なのよ」

夫、がっくり。気の毒ですが、私がご馳走するんだし、記念にお付き合い願いたい。男なら、覚悟を決めて!

やや元気がなくなった夫を連れて、1Fのレストランへ。テーブルに着くも、やはり元気のない夫。やっぱり和食にすれば良かったかしらん。すまぬ、夫。私なんかを妻にすると決断してしまった36年前の自分を恨め。

しかしその夫の目に輝きが戻った。若くて綺麗なウェイトレスさんが、私たちのテーブル担当なのである。

予約したのも私、支払いするのも私だが、ウェイトレスさんは夫をご主人様と呼び、全て夫に尋ねてくる。お飲み物は何になさいますか、パン籠はこちらにおいても宜しゅうございますか、バターのお代わりをお持ち致しましょうか、お皿はお下げしても宜しゅうございますか、全てに「ご主人様」が付き、夫は上機嫌である。

私たち夫婦が場慣れしていないのは誰が見ても一目瞭然で、途中から気を遣ってくれたのか、箸が出てきた。私はありがたく使わせてもらったが、夫はウェイトレスさんに気を遣ってか、ナイフとフォークで最後まで通した。ファミレスやフードコートでは、ハンバーガーやサンドイッチも箸で食べる夫であるが、なかなか立派である。やればできる。さすが我が夫。

途中で「こんなので腹が膨れるか?」とちまちま出てくる料理に不満を漏らし始めたので、肉料理を半分夫のお皿に移したら少し大人しくなった。

コーヒーとデザートを味わっていたら、
「今日はご結婚記念にお越しいただいたと伺いました。当館からのサービスでございます」とホールケーキが出てきた。ローソクに火をつけてもらい、夫に吹き消してもらった。

「お召し上がりになっても結構ですし、ご希望でしたらお持ち帰りもできますが、いかがなさいますか、ご主人様」

夫、いやご主人様は持ち帰りを所望し、私たちはケーキの入った箱を抱えて家に帰りました。

夫はホテルの雰囲気やおもてなしは気に入ったようですが、食事の量には満足できず、しつこくかかった費用を聞いてきました。私が答えずにいると、

「いくらしたのか知らんが、その金で寿司を食ったら、美味いのが食えたなあ」と言い出し、悪気がないのはわかっていても、少しムッとする私。

夫は米食い人種なので、食事にお米がないと物足りない。パンや麺ではどれだけ食べても満足できない人。

あまりにもうるさいので、その翌日、埋め合わせとして回転寿司に行きました。嬉しそうに食べる夫。この人はお米と味噌醤油がないと食べた気がしないんだなぁと再認識しました。

私が財布の紐緩めて二度ご馳走したので、これなら、と調子に乗った夫。先日はスーパーのチラシ片手に蟹が食いたいと言い出しました。

「蟹の季節到来!当店鮮魚売り場に是非お立ち寄りください。ご奉仕品、贈答品を取り揃えて皆様のお越しをお待ちしております。 店主並びに従業員一同」

うーん。ご奉仕品と言っても蟹は高いのよ。ニコニコ嬉しそうな夫に現実をいつ突きつけようかと悩んでいた私に神の救いの手が差し伸べられました。

夫の職場で来月親睦会があるのですが、なんと会場は、蟹料理店に決定したそうです。

「会社で蟹食べるなら、うちでわざわざ買わなくてもいいわよね」「そうだな」
と言うわけで、蟹問題も解決しました。めでたしめでたし。