Masayukiの独り言・・・

老いの手習い日記です。

ジャンボ田螺

2012-06-06 23:20:15 | Weblog

 静岡市の大谷川放水路は、田んぼの中を切り開いて造った放水路である。その両側に舗装された道路になっていて、そこには余り車も通らないし、遠くに富士山が見える絶好の散歩道である。私は時々犬の散歩を行っているし、同じ目的で歩いている人入る。家からこの放水路を通って、海岸まで往復5kmほどの距離があり、ウオ―キングには最適なコースである。今日も朝8時ごろから出かけた。田んぼには植えられたばかりのイネが、水を湛えた中から少し頭を出した光景が広がっている。昨年の今頃か、少しあとだったと思うが、そのイネや側溝に鮮烈なピンク色の卵がいたるところにあり、最初は、それが何なのかわからなかったが、ジャンボ田螺の卵であることが分った。農夫が田に入り、田螺を拾って、怒りを持って道路上に投げている光景を思い出す。

 今年はどうなっているのか気になって、ピンク色の卵を探した。昨年より少ないが、一部の側溝には卵があったし、ジャンボ田螺もいた。私なりに考えると、ジャンボ田螺を駆除するため、薬剤等撒いた田んぼにはいないが、事前にそうしたことをしなかったところはまだ残っていると思った。しかし、田んぼは繋がっているので、いつかは薬剤等を撒いたところまで浸食していくのでないかと心配になった。卵は、水辺から離れたところに生み付けていて繁殖力は強そうである。

 家で調べると「ジャンボ田螺はスクミリンゴガイ(学名リンゴガイ科)の一種であり、南アメリカが原産地であるが、食用として1981年に台湾から長崎県と和歌山県持ち込まれたのが最初であった。しかし需要がなく、採算が取れないため廃棄された。そこから逸出したものが野生化し、爆発的に西日本で分布を広げた」とあった。東アジア・東南アジア各地で広がっていて、イネの害虫として、世界の侵略的外来種ワースト100リストに選定されている。この外来種によって日本でも40%近い米の減産になったとところもあったと書いてあった。

 日本に入ってから30年ほど経つが、今は西日本に広がり、その勢いは東日本にも及んでいる。食用にと持ち込んだ人達の、不注意からこのような状態になったと言える。それにより多くの農家はその駆除に時間と経費をかける損失も大きい。世界との距離が短くなり、貿易が盛んになると、このようなこともおきてしまう。それについての責任もとれない。こうした事情は他にも幾つかあると思う。戦後食糧状況が悪かったとき、外来種でない田螺を取りに行って食べたことがあった。それは外来種より小さく、食べたとき悪い印象でなかった。しかしこのジャンボ田螺やピンク色の卵を見たとき、そのような気持ちにはならなかった。「悪貨が良貨を駆逐する」こんな言葉を思った。