9月7日(土)グランシップ劇場で「能楽入門公演」が上演された。これは、伝統芸能の「能楽」にスポットを当て、多くの人達に、能楽を親しんでもらうため開かれた公演であった。私自身3年ほど前から「能楽」に興味を持ち、。今までに数回鑑賞する機会があったが未だ分からないことが多く見るたびに新しい発見がある。この入門公演は、能楽の基本の「謡」の体験や「仕舞」の立ち振る舞い、そして現在に至る歴史など分かりやすく解説してくれた。
会場には、800人近い人が見えていたが、概ね50代から70代ぐらいの人で占められていたが、若い中高校生らしき人も10%ほどが見えていて、「能楽」が若い世代に浸透していることを感じた。今は学校教育でも「能楽」を扱う学校もあるようで、私達が育った頃とは違って古典芸能に親しもチャンスが多いようだ。また、後で分かったが、数10年前から、静岡でも一流の能楽師が来て能楽教室を開いているようで、その参加者の10代から20代の4人の学生が舞台で能楽を披露してくれたが、堂々とした立ち振る舞いであった。
その後、能楽師による「謡曲」の発声を、観客に教えてくれた。それは「大典」と云う謡で、これは新しい時代を祝う歌で、新元号の 令和元年10月22日は天皇即位の礼では、この「大典」が謡われることになっている。この謡曲は、大正天皇即位の時、作られたと聞いたが、昭和天皇から平成天皇に代わったときは、前天皇が崩御され新天皇が即位するまでの間が短く、「大典」で祝うことも出来なかったため、約100年ぶりに披露する謡曲であるとのことであった。この曲は、「君が代」を題材にしているものの令和時代が、国土豊かにして、世界に国から慕われる国になることを宣言するような曲であった。能楽は、能、狂言、式三番で構成され、式三番は、「翁」「神歌」など行うもので、今回上演された「一人翁」もその一つであるようだ。これも古より、御代を寿ぎ平和と皆様方の幸せを祈り奉納する祝典の舞で神聖な雰囲気の中で舞が踊られた。
最後に、これからの能楽界を担う若い観世三郎夫さん(1999年生まれの観世流シテ方能楽師)が半能(高砂)を舞った。これも代表的な能の祝言曲で、広く親しまれ、長寿や夫婦円満などを願いを込められたもので、若い観世三郎夫の舞は、踊に切れがあり流れるような動きに観客は魅せられた。この謡曲は、9月16日町内の敬老会で、私が謡うことにしていて参考にしようと思ったが、余りのレベルの違いから、ただ聴くのみであった。今までは洋楽の舞台でも圧倒されてきたが、能楽の舞台もそれに劣らない迫力あるものを感じた。