本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

Music of My Mind

2016-09-03 10:22:41 | Weblog
■本
68 鋼のメンタル/百田 尚樹

 「他人の悪口は大いに言うべし」や「成功を得るためにはタイムリミットがある」など、例によって語り口はかなり過激ですが、「幸せの基準を他人に求めるな」や「喜怒哀楽があってこその人生」など、妥当な内容も多いです。自分に取って腹落ちする内容だけを参考にすればよいと思います。百田さんのある意味極論を通じて、自分の考え方の傾向を相対的に把握するにも役立つかもしれません。メンタルを鍛えるための一般論よりも、やはり波乱万丈な百田さんご自身のエピソードの方が読んでいて面白いです。


■CD
50 君の名は。/RADWIMPS
51 Bobby Gillespie Presents Sunday Mornin' Comin' Down/Bobby Gillespie
52 Easter/Patti Smith Group
53 Hi Infidelity/Reo Speedwagon
54 Rough Harvest/John Mellencamp
55 Music of My Mind/Stevie Wonder

50 後述する映画「君の名は。」のサントラです。RADWIMPSが担当ということで、映画を観る前に購入して聴きました。「前前前世」、「なんでもないや」といったヴォーカル入りの主題歌は、どれもシングルカットできそうなキャッチーな曲でさすがのクオリティーです。特に「スパークル」は9分近い長さのドラマティックな大作で、映画の世界観ともとてもマッチしていて、RADWIMPSの新境地とも言える傑作です。劇伴の方は、逆に個性は抑え目に映画の黒子と徹しています。サカナクションが担当した映画「バクマン。」のサントラは、彼らの個性全開の主張の強いものだったので(むしろ、音楽が映像世界をドライブしていた印象で大好きでした)、そういう意味では対照的で興味深いです。

51 プライマル・スクリームのフロントマン、ボビー・ギレスピーが選曲したコンピレーションアルバム。序盤にビーチ・ボーイズの地味な曲が3つ続くなど、その独特の選曲に前から興味があったので聴いてみました。邦題の「うつろな日曜の朝みたいになっちまった」の通り、日曜日の気だるい朝に聴くにふさわしい(というかウィークデイの朝に聴くと会社に行く気がなくなります)、ダウナーな美しいメロディが満載の作品です。作品ごとにいろんな趣の作品を作り続けてきたボビー・ギレスピーですが、この選曲は個人的には結構意外で、彼の新しい一面を見た気がします。また、プライマル・スクリームのどの作品も、作風は変わってもメロディの美しさだけは一貫していることに、この作品を聴いて納得しました。

52 名作「HORSES」と並び称されるパティ・スミスの代表作です。バンド名義の作品だけあって、疾走感あるシンプルなロックサウンドがとても格好良いです。とにかく自由にやりたいことをやっているという開放感が音にも伝わってきます。ブルース・スプリングスティーンと共作した「Because The Night」というキラーチューンもあり、硬派なイメージが先行しがちなパティ・スミスの作品の中でも、ポップさと前衛さが絶妙にマッチしたバランスの取れた作品だと思います。

53 キャッチーでセンチメンタルなサウンドが、たまに聴きたくなるREOスピードワゴン。この作品は全米ナンバーヒット「Keep On Loving You」を含む彼らの出世作です。この曲だけでなく、まさに80'sという親しみやすい楽曲が満載です。歴史に残る重要バンドとして扱われることは今後もないと思いますが、ラジオや街角から流れてくると不意に懐かしい気持ちになる、いつまでも寄り添ってくれる存在だと思います。

54 こちらも80年代から90年代に大活躍した、ザ・アメリカン・ロックというべきジョン・メレンキャンプのセルフ・カバー集です。土臭いアメリカン・ロックを日本人にも取っ付きやすい、甘いサウンドでコーティングした楽曲は当時から大好きでした。この作品は、彼の代表曲というよりも地味な佳曲を集めたという印象ですが、ストリングスが絶妙に効いたアレンジがより洗練されていて、聴きごたえがあります。こちらもいつまでも寄り添ってくれる優しさに満ちています。

55 大ヒットシングルがないこともあり、これまで聴いてなかったのですが、この作品はスティービー・ワンダーの最高傑作かもしれません。大傑作と評判の高い、「Talking Book」、「Innervisions」、「Fulfillingness' First Finale」、「Songs in the Key of Life」といった4作の直前の作品ですが、天才少年から大人のミュージシャンへと成長する過程の、野心タップリの荒々しい力強さと、後の名作にも通じる洗練さのバランスが絶妙です。確固たる地位を築いてからの後の作品には、多少なりともヒットへのプレッシャーがあったと思いますが、この作品はそのような制約から自由な開放感タップリの楽しさが伝わってきて、とても瑞々しい気分になります。天才が真の才能を発揮し始める際の爆発的なパワーを感じる傑作です。


■映画
60 ゲッタウェイ/監督 サム・ペキンパー
61 君の名は。/監督 新海 誠
62 シン・ゴジラ/監督 庵野秀明、樋口真嗣

60 バイオレンスな描写で有名なサム・ペキンパー監督ですが、この作品は主演のスティーブ・マックイーンの洗練された演技と、ヒロインのアリ・マッグローの可憐さで、その癖が薄まり、極めてオーソドックスで完成度の高い逃走劇になっています。と言っても、他のサム・ペキンバー作品と比べて癖が少ないだけで、随所にこの監督の個性が滲み出ていて興味深いです。ごみ収集車のレバーの執拗なアップの繰り返しなど、一見無関係なカットが唐突にくどいように挿入されるのですが、それが妙な緊張感を醸し出すアクセントになっています。また、エキセントリックな敵役など、後のコーエン兄弟の作品にも通じる、コミカルな不気味さが全編に漂っています。作家性と娯楽性を見事に両立させた素晴らしい作品ですが。

61 ご都合主義的な展開が多いラブストーリーという、個人的には好きなタイプの映画ではないのですが、その私のネガな気持ちを圧倒するほどのパワーを持つ作品です。男女が入れ替わるという定番な内容を絶妙にずらす独創的なストーリー、細部が練り込まれた風景画、日本の伝統的な文化と東京のポップカルチャーとの絶妙の融合と、大ヒットも納得の練り込まれた作品です。そこに、RADWIMPSの音楽がメリハリを効かせて絶妙に絡み合い、トータルとして非常にクオリティの高い作品となっています。キャラが弱いとか、ストーリー展開上の矛盾とか突っ込みどころは多いですが、それらの瑕疵が気にならないほどの、新海誠監督の才能に圧倒されます。でも、あくまで個人的な好みとしては、細田守監督作品の方が好きです。

62 最初はギャグかと思えるゴジラの奇妙な外見や、総理官邸のやり取りから、コメディタッチの映画かとも思いましたが、ゴジラが凶暴な外見に進化するにつれて、それに対抗する人間側のドラマも一気に緊迫感が増し、その独特の緩急のつけ方が絶妙です。政治家、自衛隊、研究者といった職業倫理についての描き方も非常に巧みで、それぞれが打算や弱さを抱えながらも、日本を救うために一丸となって取り組む姿は、変に美化も卑下もされておらず、人間味に溢れとてもリアルです。日本を取り巻く課題提起も、重すぎず、軽すぎずそのさじ加減が絶妙で、庵野監督のセンスを感じます。特撮映画としても当然一級品ですが、「仕事」を描いた作品としてもかなりのクオリティです。日々の仕事に黙々と取り組む職業人にこそ観てもらいたい作品です。
コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« Give a Glimpse of What Yer Not | トップ | 働く君に伝えたい「お金」の教養 »

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事