■本
48 女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと/西原 理恵子
49 九十歳。何がめでたい/佐藤 愛子
50 友だち幻想/菅野 仁
48 西原理恵子さんが、これから社会に出る女の子に向けて書かれた人生訓です。自分の置かれた現実をきちんと認識すること、男に依然しなくても生きていけるように自分で稼げる仕事を持つこと、など西原さんの実体験を踏まえ、これまでの書籍で語られてきたことと基本的な主張は同じですが、反抗期を迎えた娘さんとの関わりについて書かれている点(「毎日かあさん」終了の背景も書かれています)が興味深いです。うちも男の子ですが、思春期を迎えた子どもがいるので、その接し方の参考になりました。子どもに教えるべきことは、成功するための方法ではなく(そんなもの簡単にわかりませんし)、失敗したときに立ち直る方法だということに、あらためて気づかせてもらいました。
49 話題のベストセラーなので読みました。私も齢を重ねるにつれ、体力や目の衰えを日々実感していますが、さらに齢を重ねると、突然膝から力が抜けることや、花粉症が治まる(そもそもアレルギー反応する免疫力さえ衰える)ことを知り衝撃を受けました。90歳を過ぎた身に起こる、その衝撃的な実態を、達観しつつも悲観することのないユーモラスかつ毒の効いたテイストで書かれているところがこの本の最大の魅力です。子どもが蹴ったサッカーボールに当たって体調を崩して亡くなった老人の遺族が、その少年の両親を訴えた事件に対する違和感を表明するなど、若い世代がなかなか言いにくい、不寛容な「良識派」の主張に対する批判を、その良識派のさらに先輩世代である佐藤さんがおっしゃって下さっている点も、とても痛快です。
50 こちらも最近評判になっていると記事になっていたので読みました。「驚異の源泉」としての他者(心身ともに傷つけられる可能性のある脅威としての他者)、「生の味わいの源泉としての」他者(承認欲求を満たしてくれたり、交流そのものが生きる喜びとなり得たりする他者)、など人間関係に対して、人々が感じている不安感や充足感をわかりやすく言語化してくれているので、頭の整理にとても役立ちます。地域社会の崩壊により「同質性共同性」(同じ文化や利害関係に基づく共同性)だけではなりたたなくなったので、相手との共通点をよりどころに仲良くする方法だけでなく、「やり過ごす」ことも含めて、「気の合わない人と併存する」作法を教育することの重要性を強調されている点が印象的です。子どもに教えるべきことは「失敗したときに立ち直る方法」と「気の合わない人間ともそれなりにやっていける方法」の二つが最優先だと気づかされた今週の読書でした。
■映画
36 ゴールデンスランバー/監督 中村 義洋
伊坂幸太郎さんのベストセラーの映画化。時間の制約もあり原作ほどのストーリーの厚みはなかったですが、割り切るところは割り切ってダイジェスト的にはならず、うまくエッセンスが抽出されたエンターテイメント作品となっています。原作と比べて主人公を助ける元恋人役の活躍が目立ちますが、竹内結子さんが好演されていて(というか竹内結子さんが出演されるのでシーンが増えたのだと思いますが)、原作とはまた違った印象が残ります。仙台の街並みの映像や斉藤和義さんの音楽も効果的で、原作ファンにも楽しめる映画化に成功していると思います。
48 女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと/西原 理恵子
49 九十歳。何がめでたい/佐藤 愛子
50 友だち幻想/菅野 仁
48 西原理恵子さんが、これから社会に出る女の子に向けて書かれた人生訓です。自分の置かれた現実をきちんと認識すること、男に依然しなくても生きていけるように自分で稼げる仕事を持つこと、など西原さんの実体験を踏まえ、これまでの書籍で語られてきたことと基本的な主張は同じですが、反抗期を迎えた娘さんとの関わりについて書かれている点(「毎日かあさん」終了の背景も書かれています)が興味深いです。うちも男の子ですが、思春期を迎えた子どもがいるので、その接し方の参考になりました。子どもに教えるべきことは、成功するための方法ではなく(そんなもの簡単にわかりませんし)、失敗したときに立ち直る方法だということに、あらためて気づかせてもらいました。
49 話題のベストセラーなので読みました。私も齢を重ねるにつれ、体力や目の衰えを日々実感していますが、さらに齢を重ねると、突然膝から力が抜けることや、花粉症が治まる(そもそもアレルギー反応する免疫力さえ衰える)ことを知り衝撃を受けました。90歳を過ぎた身に起こる、その衝撃的な実態を、達観しつつも悲観することのないユーモラスかつ毒の効いたテイストで書かれているところがこの本の最大の魅力です。子どもが蹴ったサッカーボールに当たって体調を崩して亡くなった老人の遺族が、その少年の両親を訴えた事件に対する違和感を表明するなど、若い世代がなかなか言いにくい、不寛容な「良識派」の主張に対する批判を、その良識派のさらに先輩世代である佐藤さんがおっしゃって下さっている点も、とても痛快です。
50 こちらも最近評判になっていると記事になっていたので読みました。「驚異の源泉」としての他者(心身ともに傷つけられる可能性のある脅威としての他者)、「生の味わいの源泉としての」他者(承認欲求を満たしてくれたり、交流そのものが生きる喜びとなり得たりする他者)、など人間関係に対して、人々が感じている不安感や充足感をわかりやすく言語化してくれているので、頭の整理にとても役立ちます。地域社会の崩壊により「同質性共同性」(同じ文化や利害関係に基づく共同性)だけではなりたたなくなったので、相手との共通点をよりどころに仲良くする方法だけでなく、「やり過ごす」ことも含めて、「気の合わない人と併存する」作法を教育することの重要性を強調されている点が印象的です。子どもに教えるべきことは「失敗したときに立ち直る方法」と「気の合わない人間ともそれなりにやっていける方法」の二つが最優先だと気づかされた今週の読書でした。
■映画
36 ゴールデンスランバー/監督 中村 義洋
伊坂幸太郎さんのベストセラーの映画化。時間の制約もあり原作ほどのストーリーの厚みはなかったですが、割り切るところは割り切ってダイジェスト的にはならず、うまくエッセンスが抽出されたエンターテイメント作品となっています。原作と比べて主人公を助ける元恋人役の活躍が目立ちますが、竹内結子さんが好演されていて(というか竹内結子さんが出演されるのでシーンが増えたのだと思いますが)、原作とはまた違った印象が残ります。仙台の街並みの映像や斉藤和義さんの音楽も効果的で、原作ファンにも楽しめる映画化に成功していると思います。