本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

心を動かす話し方

2017-10-28 08:55:45 | Weblog
■本
83 シンギュラリティ・ビジネス/齋藤 和紀
84 心を動かす話し方/堀 紘一

83 AI等技術の進歩により、「ムーアの法則」のような指数関数的(エクスポネンシャル)な進歩が、半導体の世界
だけでなくテクノロジー全体に及び、2045年に迎えると予言されている「テクノロジーの進歩のスピードが無限大になる」(シンギュラリティ)状態に備えて人や組織はどのように変わっていくべきか、について書かれた本です。「シンギュラリティ」といういわゆる「バズワード」に乗っかった本とも言えますが、信じる、信じないかは別にして、このワードに熱狂している人が、何を根拠に盛り上がっているのか、を知るには有益な本だと思います。世の中の変化がより速く、激しくなることだけは間違いなさそうですので、その変化について生きていくか否かを考える上でも参考になりそうです。

84 著者の経歴とカバーの写真を見る限りでは、もっと上から目線で語られた本かと思っていましたが、後輩に教え諭すような愛情に満ちた文体で、「話し方」だけでなく仕事に必要なコミュニケーションスキルについて、わかりやすく教えてくれます。実際にビジネス界で成果を出し続けている人の話だけあって説得力も抜群ですし、タイトル通り、この本を参考に自分の行動を変えようと「心を動かされ」ます。結局、徹底的に伝える内容を考え抜いて、その伝え方の練習を重ねることでしか、この種のスキルの向上はないということを改めて思い知らされます。これから正しく学んでいく必要ンある、若いビジネスパーソンにお勧めの本です。


■映画
63 信長協奏曲/監督 松山 博昭

 コミックやドラマで人気だということは知っていたのですが、「なぜ今さら信長を主人公にした話?」と思い、観る前はそれほど期待していませんでした。しかし、「織田信長」と「タイムトラベル」という、それぞれは使い古された素材を掛け合わせることにより、新しい感覚を生み出すことに成功していると思います。「平和の実現を目指す」という織田信長のキャラクター設定や、「タイムトラベル」を逆手に取って絆の強さを示すなど、それぞれの素材を少し捻ったかたちで使っているところも印象的です。登場時間は短いものの古田新太さんが、悪役の色気たっぷりのトリックスターを演じられていて抜群の存在感を発揮しています。
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COLORS

2017-10-21 09:28:11 | Weblog
■本
82 スノーデン 日本への警告/エドワード・スノーデン

 「監視社会」をテーマにしたシンポジウムの内容をまとめた本なので、少し冗長で読みにくいところもありますが、アメリカ政府の監視捜査の実態をリークして国を追われることになった、エドワード・スノーデン氏の生の主張を知ることができる貴重な本だと思います。報道などのイメージとは異なり、とても抑制されたトーンで語られていて、情報は出すがそれをどのように伝えて世に問うのかはプロとしての経験を積んだジャーナリストに任せる、という姿勢に共感しました。自分を過度に英雄視するのではなく、社会のために「正しいことを行う」という冷静な意志の強さに胸を打たれます。最近の日本政府の動きについて、我々一人一人が冷静に判断する上でも、多くの人に読んでもらいたい本です。


■CD
41 COLORS/BECK

 グラミー最優秀アルバム賞を受賞した前作「Morning Phase」が聴き込むほどに味が出る、スルメ系の作品でしたが、本作は一聴しただけでリスナーの心を鷲掴みするような、ポップでわかりやすいキャッチーな楽曲が満載です。細かいアイデアも満載で、私と同じ47歳でこの最先端感は凄いと思います。短い曲を小気味よくつなげてあっという間に聴き終わり、また繰り返し聴きたくなります。現時点で今年度ベスト級の会心作です。


■映画
62 カルテット! 人生のオペラハウス/監督 ダスティン・ホフマン

 引退した音楽家が集まる介護施設に入居している有名な歌手たちが、資金難の施設を救うためのコンサートで、カルテットを久しぶりに復活させる、というあらすじだけでなんとなくどんな映画か想像できる作品ですが、丁寧なキャラクター設定、スピーディーなストーリー展開、くど過ぎない実演シーンなど、気の利いた演出ですんなりと作品世界に入り楽しむことができました。この辺りは名優ダスティン・ホフマンが監督した作品だけあって、優れた現場感覚が貫かれています。本作のテーマを象徴する「老年は弱虫では生きられない」というキラーフレーズにダスティン・ホフマン監督の思いが、ど直球で込められていると思いました。

 
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AS YOU WERE

2017-10-14 09:40:54 | Weblog
■本
79 新しいメディアの教科書/佐々木 俊尚
80 人類の未来 AI、経済、民主主義/ノーム・チョムスキー、 レイ・カーツワイル
81 やりたいことは二度寝だけ/津村 記久子

79 アマゾンのPrime Readingで無料だったので読みました。タイトル通りの「新しいメディアの教科書」という内容かどうかは微妙ですが、最近盛り上がりを見せる分散型メディア(誘導する自社メディアを持たず、ファイスブックなどのユーザー滞在時間の長いプラットフォーム上でコンテンツを提供するメディア)とそれをマネタイズするためのネイティブ広告(そのプラットフォーム上のコンテンツの一部として流れる記事風の広告)という手法について、その発展の歴史と思想についてわかりやすく解説してくれます。コンパクトに最新のネットメディア事情について知るには有益な本だと思います。

80 サイエンスライターの吉成真由美さんが、AI、世界経済、民主主義などをテーマに、それぞれの分野の専門家である世界中の「知の巨人」にインタビューした内容をまとめた本です。地球温暖化問題やAIが進化した未来に対する姿勢など、これだけの知識人の間でもそれぞれのスタンスが異なることが新鮮でした。難解な概念もわかりやすく理解できるように注が工夫されている一方で、過度に読者に妥協せず、難しい話題をそのまま提示されているところに知的好奇心が刺激されます。タイトルにあるような「人類の未来」がくっきりと浮かび上がるような本ではないですが、複雑な世界が向かうべき未来を過度に単純化せず複雑なまま理解しようと考え続けることや、ものごとをいろんな観点からとらえることの大切さを実感できる本です。

81 芥川賞作家津村記久子さんのエッセイ集です。津村さんの「働くこと」に対する姿勢と、大阪に対する独特の距離感に共感できるので、たまに作品を読みたくなります。1章のその週に検索した内容をテーマにした連載エッセイは、いかにも無理やりな感じがして少し読みにくかったですが、2章以降の日々の雑感やテーマ設定が自由なエッセイは抜群に面白かったです。人生に過度な期待をしていないそぶりを見せつつ、時に人生を味わい尽くすかのような貪欲で鋭い表現があるところも津村さんの魅力です。朝日新聞の夕刊に連載中の小説は1回読むのを忘れて途中で挫折しましたが、久しぶりに津村さんの小説の方も読んでみたくなりました。


■CD
40 AS YOU WERE/Liam Gallagher

 元オアシス弟の方のリアム・ギャラガーの初ソロアルバム。以前に所属してたビーティ・アイよりも、リアムの声の魅力を存分に発揮できるシンプルな楽曲が多い気がします。逆に、オアシス末期や兄のノエルのプロジェクト「Noel Gallagher's High Flying Birds」に似たような曲もあり、素直にオアシスを再結成すればよいのにという気もします。いろいろ思うところはありますが、素直にいい曲を作るなという思いを新たにしました。どの曲もすっと身体に入ってきて、心を揺さぶられます。


■映画
61 龍三と七人の子分たち/監督 北野 武

 元やくざの親分とその古い仲間たちがオレオレ詐欺集団を懲らしめるというお話。このようなメインとなるストーリーはあるものの、基本的には北野武監督が以前から温めていたやくざをテーマにしたミニコント集のようなテイストです。これを「アウトレイジ」のようなリアルなキャスティングで映画化すると、古臭くかつ嘘くさく感じたかもしれませんが、70才以上の超ベテラン俳優が演じたことにより、ファンタジックなコメディに仕上がっています。過度にモラリスティックにならず(龍三親分たちの方が時に法を豪快に犯しています)、徹底的に馬鹿馬鹿しい内容になっているので、気楽に作品を楽しめます。クライマックスの盛り上がりと痛快なエンディングも爽快です。エンターテイメントに徹した北野武監督のセンスを感じられる作品です。
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モンスター

2017-10-07 10:27:30 | Weblog
■本
78 究極のBtoBマーケティング ABM(アカウントベースドマーケティング)/庭山 一郎

 最近BtoBマーケティングで話題のABM(アカウントベースドマーケティング)について知りたくて読みました。マーケティング活動から取得・育成した見込み顧客の情報を一方的に営業サイドに渡すのではなく、営業サイドが攻略したい企業(アカウント)について、製品ごとに各社のキーパーソンを定め、マーケティング側と営業サイドが連携しながら、デジタル、リアルを問わず継続的にコミュニケーションを行い、受注に繋げていく手法について書かれています。この分野の日本での第一人者の方が書かれた本だけ合って、実務者目線で書かれていて理解しやすいです。また、日米のマーケティング、営業活動の違いに目配りしつつも、この分野の先進国であるアメリカの最新事例についても触れられていて参考になります。この本の筆者もおっしゃっているように、部門横断的な施策なのでトップダウンでないとなかなか成功しにくい考え方だと思いますが、BtoBマーケティングを進化させる上では強力な手法だと感じました。


■映画
60 モンスター/監督 パティ・ジェンキンス

 美貌のシャーリーズ・セロンが、あえて醜い容姿の殺人犯を熱演しアカデミー主演女優賞を取った作品ということで、関心を持ちつつずっと放置していたのですが、この作品を監督したパティ・ジェンキンス監督が、最近「ワンダーウーマン」でもメガホンを取り注目されているので観ました。人間の弱さ、醜さ、自分勝手さを丁寧に描いた良質な作品です。シャーリーズ・セロンの演技が注目されがちですが、その恋人役を演じたクリスティーナ・リッチも、なかなか一筋縄ではいかない演技で印象的です。いかにも不幸な境遇の主人公が殺人犯へと落ちていくのと対照的に、比較的常識人として育てられたその恋人が、自立して生きる術を持たないが故に、結果的に主人公を追い込み犯罪を助長させていく構造が非常に巧みです。「モンスター」というタイトルの多義性も含め引っかかりが多く、考えさせられるところの多い作品です。
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