■本
78 40歳を過ぎて最高の成果を出せる「疲れない体」と「折れない心」のつくり方/葛西 紀明
79 鈍足だったら、速く走るな/中竹 竜二
80 プレイバック/レイモンド チャンドラー
78 先日ジョギング中に転んでしまい、Apple watchを壊してしまったことにショックを受けたので読みました。タイトル通り、40歳を過ぎてからのコンディション維持に必要なノウハウが満載です。最近つまづくことが増えたのは、筋肉の「柔軟性の低下」が原因だということがわかったことが最大の発見でした。アスリートではなくビジネスパーソン向けの視点(フィジカルだけでなくメンタル面の配慮と継続するために無理はしない、ということが強調されているところが驚きでした)で書かれているところと、簡単にできるストレッチなど具体的な実践方法についてもわかりやすく書かれているので参考になります。そこに、葛西さんご自身の若い時の失敗談やソチオリンピックで銀メダルを取るに至った過程も書かれているので読み物としても面白いです。ビジネス書としても読めるのでお勧めです。
79 以前に中竹さんの「リーダーシップからフォロワーシップへ」を読んで非常に感銘を受けたので読みました。タイトル通り、弱点を踏まえた自分の特徴をいかに磨き上げて「スタイル」として昇華させ、自分の強みにするのかという考え方が丁寧に説明されています。中竹さんご自身の幼少からの経験を振り返りながら、なぜ、このような考え方に至ったかについても触れられているので、より具体的に理解できます。常識を疑い独自の視点をロジカルに方法論として磨け上げる知性と自身の成長につながる機会を貪欲に求める行動力は見習わねばならないと思いました。以前から主張されている内容の類似性を感じでいたので、中竹さんが楠木健さんから影響を受けられていたことにも納得しました。子どもたちにも内容を伝えたくなる素敵な本です。
80 村上春樹さん翻訳によるレイモンド・チャンドラー作品の6作目。長さも登場人物の数も適切で、これまでのチャンドラー作品の中で、一番さくさくと読み進めることができました。個人的には、チャンドラー作品の脇役を混同し見失うことが多いのですが、この作品はどの登場人物もキャラクターがしっかりと立っていたのがよかったです。逆に言うと文学的な深みが足りないのかもしれませんが(村上さんもご指摘の通り、女性と関係を持つシーンは不要だと思います)、プロットもしっかりしていて(その謎の解き明かされ方はかなりご都合主義ですが)、エンターテイメント小説として読むとかなり面白かったです。例の決めセリフの訳し方も興味深く、村上さんの翻訳に対する姿勢を具体的に知る上でも興味深い本だと思います。
■CD
15 ソングライン/くるり
「ロックンロール」のようなキラーチューンも前作に収録されていた「Liberty & Gravity」のような挑戦的でトリッキーな曲もなく、リラックスした雰囲気の聴き込むほどに味がでる「するめ系」の楽曲が多く収録された作品です。なにより、岸田さんの声がとてもみずみずしく、優しくなった印象なのが驚きです。岸田さんが自分の加齢を強く意識されているのか、若い世代を見守るような視線に満ちたくるりというバンドの良心がたっぷり詰まった作品です。逆に次作では、このバンドの過激さが前面に出る様な予感もして、今後の展開も楽しみです。
■映画
73 映画 聲の形/監督 山田 尚子
74 悪人/監督 李 相日
75 きみの鳥はうたえる/監督 三宅 唱
73 粗の多いストーリーですが(登場する先生達があまりにもひどすぎます)、聴覚障害やいじめという難しいテーマを真っ向から取り上げ、観る側に当事者として考えることを迫る心に残る作品でした。特に、いじめた側やそれを傍観した側の心の動きを丁寧にかつ刺激的描いたところが(その描き方にも粗が多い気はするものの)、この作品に独特の存在感を与えています。好みがはっきり分かれるタイプの作品ですが、その点も含めて生産的な議論を喚起する社会的意義の高い作品だと思います。不思議と心を揺さぶられます。
74 先日亡くなられた樹木希林さんが日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を取った作品ということで、観たいと思いつつずっと観れていなかった本作を見ました。こちらも善悪という普遍的かつ簡単に答えの出ないテーマを観客に投げかける挑発的な作品です。原作小説は登場人物の内面を掘り下げた描写が多かった記憶がありますが、映画の方は対話や印象的な灯台のシーンなどの映像で、登場人物のやるせなさが巧みに描写されています。主演の妻夫木聡さんはいつもの喜怒哀楽がはっきりとしたコミカルな役柄から一変した、感情表現が下手な役を熱演されていますし、深津絵里さんは美しさはそのままに幸薄さを絶妙に表現されています。脇を固める岡田将生さん、満島ひかりさんも大好きな役者さんなので、その演技に惹きつけられました。エンディングの余韻は原作小説の方が好きですが、樹木希林さんや柄本明さんが演じる、残されたものの深い悲しみとそれでも生き続ける強い覚悟が伝わるサイドストーリーが胸を打ちます。
75 佐藤泰志さん原作小説の映画化4作目です。4作全部観ましたが、この作品が一番函館の街並みを美しく描いている気がします。函館にとても行きたくなりました。どの登場人物も共感されにくいキャラクターなので(特に、「自己責任」を植え付けられた今の若者がどう反応するかが興味あります)、それが受け入れられるかで評価が分かれると思いますが(ちなみ、私にとっても上の世代の価値観が強く反映されている印象です)、ある年代の青春の雰囲気をうまく切り取っていると思います。携帯でのコミュニケーションなど、現代化されていますが、価値観はモラトリアムがまだしっかり残っていた時代の若者のもので、そのアンマッチさが観ていて不思議な感覚になりました。主演の柄本佑さんは味わい深い演技をされていますが、佐藤泰志さん原作作品では、「海炭市叙景」での加瀬亮さん、「そこのみにて光輝く」での綾野剛さん、「オーバー・フェンス」での オダギリジョーといった、役者さんがキャリアハイとも呼べる素晴らしい演技をされていたので、それらと比べると飄々とし過ぎていて少しインパクトが弱い気がしました(逆にそこが持ち味なのだと思いますが)。
78 40歳を過ぎて最高の成果を出せる「疲れない体」と「折れない心」のつくり方/葛西 紀明
79 鈍足だったら、速く走るな/中竹 竜二
80 プレイバック/レイモンド チャンドラー
78 先日ジョギング中に転んでしまい、Apple watchを壊してしまったことにショックを受けたので読みました。タイトル通り、40歳を過ぎてからのコンディション維持に必要なノウハウが満載です。最近つまづくことが増えたのは、筋肉の「柔軟性の低下」が原因だということがわかったことが最大の発見でした。アスリートではなくビジネスパーソン向けの視点(フィジカルだけでなくメンタル面の配慮と継続するために無理はしない、ということが強調されているところが驚きでした)で書かれているところと、簡単にできるストレッチなど具体的な実践方法についてもわかりやすく書かれているので参考になります。そこに、葛西さんご自身の若い時の失敗談やソチオリンピックで銀メダルを取るに至った過程も書かれているので読み物としても面白いです。ビジネス書としても読めるのでお勧めです。
79 以前に中竹さんの「リーダーシップからフォロワーシップへ」を読んで非常に感銘を受けたので読みました。タイトル通り、弱点を踏まえた自分の特徴をいかに磨き上げて「スタイル」として昇華させ、自分の強みにするのかという考え方が丁寧に説明されています。中竹さんご自身の幼少からの経験を振り返りながら、なぜ、このような考え方に至ったかについても触れられているので、より具体的に理解できます。常識を疑い独自の視点をロジカルに方法論として磨け上げる知性と自身の成長につながる機会を貪欲に求める行動力は見習わねばならないと思いました。以前から主張されている内容の類似性を感じでいたので、中竹さんが楠木健さんから影響を受けられていたことにも納得しました。子どもたちにも内容を伝えたくなる素敵な本です。
80 村上春樹さん翻訳によるレイモンド・チャンドラー作品の6作目。長さも登場人物の数も適切で、これまでのチャンドラー作品の中で、一番さくさくと読み進めることができました。個人的には、チャンドラー作品の脇役を混同し見失うことが多いのですが、この作品はどの登場人物もキャラクターがしっかりと立っていたのがよかったです。逆に言うと文学的な深みが足りないのかもしれませんが(村上さんもご指摘の通り、女性と関係を持つシーンは不要だと思います)、プロットもしっかりしていて(その謎の解き明かされ方はかなりご都合主義ですが)、エンターテイメント小説として読むとかなり面白かったです。例の決めセリフの訳し方も興味深く、村上さんの翻訳に対する姿勢を具体的に知る上でも興味深い本だと思います。
■CD
15 ソングライン/くるり
「ロックンロール」のようなキラーチューンも前作に収録されていた「Liberty & Gravity」のような挑戦的でトリッキーな曲もなく、リラックスした雰囲気の聴き込むほどに味がでる「するめ系」の楽曲が多く収録された作品です。なにより、岸田さんの声がとてもみずみずしく、優しくなった印象なのが驚きです。岸田さんが自分の加齢を強く意識されているのか、若い世代を見守るような視線に満ちたくるりというバンドの良心がたっぷり詰まった作品です。逆に次作では、このバンドの過激さが前面に出る様な予感もして、今後の展開も楽しみです。
■映画
73 映画 聲の形/監督 山田 尚子
74 悪人/監督 李 相日
75 きみの鳥はうたえる/監督 三宅 唱
73 粗の多いストーリーですが(登場する先生達があまりにもひどすぎます)、聴覚障害やいじめという難しいテーマを真っ向から取り上げ、観る側に当事者として考えることを迫る心に残る作品でした。特に、いじめた側やそれを傍観した側の心の動きを丁寧にかつ刺激的描いたところが(その描き方にも粗が多い気はするものの)、この作品に独特の存在感を与えています。好みがはっきり分かれるタイプの作品ですが、その点も含めて生産的な議論を喚起する社会的意義の高い作品だと思います。不思議と心を揺さぶられます。
74 先日亡くなられた樹木希林さんが日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を取った作品ということで、観たいと思いつつずっと観れていなかった本作を見ました。こちらも善悪という普遍的かつ簡単に答えの出ないテーマを観客に投げかける挑発的な作品です。原作小説は登場人物の内面を掘り下げた描写が多かった記憶がありますが、映画の方は対話や印象的な灯台のシーンなどの映像で、登場人物のやるせなさが巧みに描写されています。主演の妻夫木聡さんはいつもの喜怒哀楽がはっきりとしたコミカルな役柄から一変した、感情表現が下手な役を熱演されていますし、深津絵里さんは美しさはそのままに幸薄さを絶妙に表現されています。脇を固める岡田将生さん、満島ひかりさんも大好きな役者さんなので、その演技に惹きつけられました。エンディングの余韻は原作小説の方が好きですが、樹木希林さんや柄本明さんが演じる、残されたものの深い悲しみとそれでも生き続ける強い覚悟が伝わるサイドストーリーが胸を打ちます。
75 佐藤泰志さん原作小説の映画化4作目です。4作全部観ましたが、この作品が一番函館の街並みを美しく描いている気がします。函館にとても行きたくなりました。どの登場人物も共感されにくいキャラクターなので(特に、「自己責任」を植え付けられた今の若者がどう反応するかが興味あります)、それが受け入れられるかで評価が分かれると思いますが(ちなみ、私にとっても上の世代の価値観が強く反映されている印象です)、ある年代の青春の雰囲気をうまく切り取っていると思います。携帯でのコミュニケーションなど、現代化されていますが、価値観はモラトリアムがまだしっかり残っていた時代の若者のもので、そのアンマッチさが観ていて不思議な感覚になりました。主演の柄本佑さんは味わい深い演技をされていますが、佐藤泰志さん原作作品では、「海炭市叙景」での加瀬亮さん、「そこのみにて光輝く」での綾野剛さん、「オーバー・フェンス」での オダギリジョーといった、役者さんがキャリアハイとも呼べる素晴らしい演技をされていたので、それらと比べると飄々とし過ぎていて少しインパクトが弱い気がしました(逆にそこが持ち味なのだと思いますが)。