本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

鴻上尚史のほがらか人生相談

2019-09-28 09:45:50 | Weblog
■本
88 裏切りのホワイトカード 池袋ウエストゲートパークXIII/石田 衣良
89 鴻上尚史のほがらか人生相談/鴻上 尚史

88 そのときどきの時事問題を池袋という身近な都市に落とし込んで、読者に自分ごと化させながら、エンターテイメントとして成立させている手際は相変わらず見事です。今回は、ネット炎上、DV、ドラッグ、スピリチュアル、クレジットカード詐欺、などが題材として取り上げられています。しばらくシリーズでは登場していなかった、暴力団幹部のサルや主人公の幼馴染の池袋署の署長、そして、カリスマハッカーのゼロワンが久しぶりに登場して、古くからのファンとしては楽しめました。読者ももはや謎解きは期待していないと思いますが、最後は主人公マコトの知略で、水戸黄門の印籠のように、さまざまな問題が解決する(敵が無駄な抵抗をした場合は、助さん、格さんのように、池袋のキング、タカシやその仲間が制圧する)定番の展開はもはや様式美とさえ言えると思います。

89 最近公私にいろいろと問題が発生したので、悩みを整理するために、ネットで評判の鴻上さんの人生相談をまとめて読みました。世間の「同調圧力の強さ」や自身の「自尊意識の低さ」に悩む人たちの相談に、やさしく、かつ、ほがらかに回答してくれます。ある行動をすべきか悩んでいる人には「やった後悔よりやんない後悔の方がでかい」と言って、そっと後押しし、精神的にギリギリに追い詰められている人には、自分で頑張り過ぎずに専門家の支援を仰ぐことを、きっぱりと提案してくれていて、私自身対処に悩んでいるいくつかの案件について整理することができ、読んでいてずいぶん楽になりました。しばらく、鴻上さんの本を読んでいなかったので、また、まとめて読んでみたくなりました。


■CD
23 Madman Across the Water/Elton John

 先日観たエルトン・ジョンの人生を描いた映画「ロケットマン」や、ずいぶん前に観た「あの頃ペニー・レインと」で、印象的に使われていた「Tiny Dancer」という、このアルバムの冒頭曲がずっと大好きだったので購入しました。本作は1971年の作品ですが、1975年の「Captain Fantastic and the Brown Dirt Cowboy」で完成する、エルトン・ジョンの音楽家としての昇り調子の勢いが感じられる、みずみずしい作品です。しばらくは「Tiny Dancer」を通勤電車で聴いて、一日を乗り切ろうと思います。


■映画
88 泥棒成金/監督 アルフレッド・ヒッチコック
89 ミュータント・タートルズ/監督 ジョナサン・リーベスマン

88 ヒッチコック監督の映画にしては、ゆるーい感じの恋愛を絡めたサスペンス作品です。「ルパン三世」に通じるものもありそうです。ストーリー展開的にはありきたりで、結末が結構早めに予想できますが、カット割りや音楽の使い方の巧みさで、緊迫感を高める手法はさすがです。リヴィエラの高級リゾート街の風景やヒロインのグレイス・ケリーの美しさが印象的です。ストーリーよりも、映像の豪華さ美しさを楽しむべき映画なのだと思います。

89 1990年代に制作された3部作ではなく、2014年に制作された方です。「トランスフォーマー」のマイケル・ベイが制作に関わっているだけあって、ミュータント・タートルズのCGや動きの滑らかさが、観ていてとても気持ち良いです。一方、俳優の演技は紋切り型で、わかりやすいと言えばわかりやすいのですが、ヒロインのミーガン・フォックスがゴールデンラズベリー賞を受賞したのも納得のクオリティです。作品の知名度を活かして状況説明を極力廃し、一気に本題に入るスピーディーな展開は成功していて、適度な上映時間もあり最後まで一気に楽しく観ることができました。最近、設定が難解なアクション映画が増えているので、こういう気楽に観られる作品がもっと増えてもよい気がします。
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よみがえる変態

2019-09-21 10:08:36 | Weblog
■本
86 事実 vs 本能/橘 玲
87 よみがえる変態/星野 源

86 橘玲さんによるコラム集です。基本的にはこれまでの主張の延長線上で、不都合な事実や人間の本能に基づくいろいろなバイアスと絡めながら、さまざまな社会問題について、わかりやすく解説されています。女児虐待死や徴用工判決などの、比較的新しい問題についての橘さんの意見が読めるので興味深いです。橘さん自身リベラル的立場を取りながら、日本のリベラル知識人に対して、容赦のない批判をされていて、私自身リベラル寄りの考え方を持っていると思っているので、いろいろと考えさせられます。自分が正しいと思いすぎる、傲慢さに陥らないようにすべきだと思いました。

87 星野源さんのエッセイ集です。二度にわたるくも膜下出血の手術の時期の文章なので、冒頭のエロ話から次第に壮絶な闘病日記へと進む展開に少し戸惑ってしまいます。星野さんの文章を読んでいていつも思うのですが、飄々とした風貌や優しい楽曲からはなかなかイメージしにくい、凄まじいまでの自分の作品に対するストイックさに圧倒されます。その自分をとことんまで追い込む創作スタイルが、発病の要因の一つであることも容易に想像でき、一ファンとして、これからも継続的に新作に接することのできる幸運を感謝すべきだと思いました。


■映画
85 エイリアンVSプレデター/監督 ポール・W・S・アンダーソン
86 TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ/監督 宮藤 官九郎
87 スカイ・クロラ/監督 押井 守

85 噂に違わぬ怪作です。前半はもっともらしい人間ドラマや謎解きが展開されますが、後半はひたすらエイリアンが人間を虐殺し、そのエイリアンをプレデターが虐殺します。主人公の女性とプレデターがコミュニケーションをし始めたときは、思わず笑ってしまいました。ここまで潔く、ご都合主義な展開をされると清々しささえ感じます。プレデターが地球に来た理由のスケールの小ささも含め、凄惨な映像が続く割にはどこか微笑ましいです。大勢で突っ込みながら観ると楽しいと思います。

86 「いだてん」での神木隆之介さんの演技が素晴らしいので、同じく宮藤官九郎さんと組んだこの映画を観ました。宮藤官九郎さんらしい中二男子感溢れる展開で、そのグダグダ感が時にやり過ぎな気もしますが、総じて楽しく、最後にほっこりとした気持ちにもなります。大河ドラマとは違って、宮藤さんが気心の知れた仲間とやりたいことを自由にできている感じが好ましいです。向井秀徳さんによる音楽も素晴らしく、ゆるーく楽しめるロック・オペラです。長瀬智也さんの鬼役もインパクトがありますが、中村獅童さんの贅沢な使い方には度肝を抜かれました。

87 森博嗣さんのエッセイや問答集はいくつか読んだことがあるのですが、そういえば、小説は読んだことがなかったので、森さんの小説をアニメ映画化した本作を観ました。カズオ・イシグロさんの名作「わたしを離さないで」的な静かな諦念が満ちた世界観が印象的です。戦争についてのかなりメッセージ性の強い作品ですが、その打ち出し方はダイレクトではなく(ただし、癖のあるかたちで提示されているので評価は分かれそうですが)、エンターテイメント性を損なっていないところも評価できます。戦闘機の飛行シーンはシンプルに爽快で格好よく、押井守監督のセンスが光っています。
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劇場

2019-09-14 09:57:51 | Weblog
■本
84 劇場/又吉 直樹
85 不登校・ひきこもりの9割は治せる/杉浦 孝宣

84 芥川賞作家ピース又吉さんによる純愛小説です。「火花」と同様に、0からものを生み出す人々の、苦悩と喜びそして嫉妬が描かれていますが、「火花」以上に、作品へのこだわりが強くなればなるほど、自分が大切に思う人を傷つけていくことになってしまう皮肉が切ないです。主人公の恋人が、男性にとって都合がよすぎてリアリティを感じにくいという「火花」と同様の欠点はありますが、これまで何度も取り上げられてきたテーマを、又吉さんしか書けないオリジナリティ溢れる作品として完成させているところは素直に素晴らしいと思います。脚本執筆に疲れた主人公が散歩に行くシーンがあるのですが、そこで描かれる駅前の人々や風景の描写が、一段テンションが上がったかのように素晴らしく、日常の何でもない光景に価値を見出す、又吉さんの作家としての視線の細やかさにも感動しました。

85 長男が夏休み明けから不登校になったので、参考にしたいと思い読んでみました。長年この問題に取り組み、成果を上げられてきた方だけあって、不登校、ひきこもりから立ち直るための、「規則」「責任」「自律」の3ステップモデルは、とても説得力があります。親や先生ではなくて、同じ経験から立ち直った同世代の人間からアドバイスさせるという対処法などは、とても効果が高そうですが、著者が立ち上げられたようなNPO法人が近くにない場合の対処は少し困ってしまいそうです。とりあえず、ファーストステップの「規則」に則り、決まった時間に起こして三食きちんと食べさせる規則正しい生活と、スマホの使用時間を限定するなど、引きこもりが快適になり過ぎないような対策から取り組んでみたいと思います。


■映画
84 マリー・アントワネット/監督 ソフィア・コッポラ

 ソフィア・コッポラらしい、少女が成長の過程で感じる戸惑いと、それを克服していくしたたかさ、そして、破滅にいたる道のりを、カラフルにかつポップに描いた作品です。これもソフィア・コッポラらしく、音楽の使い方が個人的にもツボで、フランス革命前の時代に流れる、ニュー・オーダーやザ・ストロークスといったオルタナティブ音楽の違和感が、作品世界をとてもクールなものにしています。マリー・アントワネット役のキルスティン・ダンストは、可憐さ無垢さの背景にある狂気のようなものを、存在感たっぷりに演じています。女性の強さ弱さが、過度に誇張されることなくニュートラルに描かれているので、男性目線から見るとかえって、不気味な感触が残ります。極めて作家性が高い作品で、私はとても気に入りました。
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ロケットマン

2019-09-08 10:26:13 | Weblog
■本
82 刑事弁護人/亀石 倫子、新田 匡央
83 自由思考/中村 文則

82 先日の参院選で亀石さんが大阪選挙区から立候補されていたので読みました。あまり期待していなかったのですが、専門のノンフィクションライターの方が著者として参加されていることもあってか、読み物としてとても面白かったです。亀石さんを一躍有名にした、令状がないGPS捜査が憲法違反であるという判決を勝ち取った裁判の模様は「プロジェクトX」を見ているかのような、ドキドキワクワクするストーリーです。刑事弁護人の意義(強大な国家権力と対峙する微力な被告人の権利を守ることは、結局は全国民の権利を守ることにつながる、ということだと私は理解しました)や刑事裁判の仕組みについてもわかりやすく解説してくれていて、自分の身を守るという観点からの裁判に対する知識を得る上でも有益でした。亀石さんのキャラクターは癖が強いので、取っつきにくく感じる人もいらっしゃると思いますが(私もそうでした)、この本は素直に読んでよかったです。

83 もともと中村文則さんの小説の愛読者ですが、いろいろな新聞に掲載されている中村さんの政治やメディアに対する、舌鋒鋭い批判にも共感するところが多かったので、このエッセイ集も読んでみました。中村さんのエロやギャグのセンスには、正直あまりついていけないところがあるので、前半はなかなか読んでいてしんどかったですが、中盤以降の中村さんご自身の読書体験や学生時代のエピソードはとても興味深く読みました。予想通り、かなり苦しい思春期を過ごされたようですが、温かくのんびりとした土地柄の福島で大学生活を過ごされたことにより、窮屈だった心が徐々に開かれていくエピソードには特に共感しました。その福島での経験があったが故の、原発問題での当事者意識の高い発言であるということもわかり、中村さんの中での一貫性がよく理解できました。「今の世の中の流れに危機感を覚えているのに、それを書かないのであれば、それは読者に対する裏切りだと思いました」という言葉に象徴的なように、中村さんの作家としての使命感がひしひしと伝わってきます。


■CD
22 New Day Rising/Hüsker Dü

 ボブ・モールドがシュガーの前に組んでいたバンド、ハスカー・ドゥの代表作です。ずっと欲しいと思っていたので、中古盤屋さんで探してきました。シュガー時代の作品は、洗練されたメロディの背後の荒々しさが魅力で、特にファースト・アルバムの「Copper Blue」はその完成度の高さに今でも驚愕しますが、この作品は衝動的な激しいギターの背後にある、キラリと輝くメロディセンスが印象的です。ニルバーナやピクシーズにも影響を与えた作品ですが、彼らと比べてカラッとした乾いた突き抜け感が(その分、音楽的な深みのなさが、物足りなく感じる人もいるかもしれませんが)、聴いていて心地よいです。


■映画
81 ミケランジェロ・プロジェクト/監督 ジョージ・クルーニー
82 ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド/監督 クエンティン・タランティーノ
83 ロケットマン/監督 デクスター・フレッチャー

81 第二次世界大戦末期に、ヒトラーによって強奪された美術品の奪還を試みた連合軍のプロジェクトに関するお話です。ジョージ・クルーニー監督作品らしい、性善説に立った、逆境にもポジティブに挑む登場人物が印象的です。監督、主演を兼ねたジョージ・クルーニーを筆頭に、マット・デイモン、ビル・マーレイ、ケイト・ブランシェットといった超豪華キャストが、さほど花のない地味な登場人物を手堅く演じているところも、好感が持てました。世界規模の大戦争であっても、そうドラマティックなことばかりは起きず、こういう健全な使命感を持った人々が、人知れず偉業を成し遂げているのかもしれません。ミケランジェロの絵だけを対象にしたわけではないので、邦題の「ミケランジェロ・プロジェクト」はあまりよくないタイトルだと思います。私は観る前、ミケランジェロの絵を盗む窃盗団の話だと思っていました。

82 レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットの共演で話題の作品です。絶頂期を過ぎた中年男性二人の枯れた感じの友情が格好いいです(特にブラッド・ピットはやはり見とれてしまいます)。この二人の関係や没落感を軸に、1960年代後半のハリウッドやヒッピームーブメントの描写が、タランティーノ作品らしく、ダラダラと本当にダラダラと続きますが、最終盤の急転直下のバイオレンスシーンが、これも実にタランティーノ作品らしく痛快です。ある事件をモチーフにしているのですが(ロマン・ポランスキーとシャロン・テート夫妻に関して事前に予習していくことをお勧めします)、この事件に対するタランティーノの怒りがひしひしと伝わってきて、コミカルなまでに残虐なシーンが続きますが、不思議と後味は悪くないです。シャロン・テートを演じるマーゴット・ロビーがとにかくキュートで、男臭い作品の絶妙のアクセントとなっています。いろいろと突っ込みどころもありますが、それも含めて監督の作家性が前面に出たかなり個性的な作品で、私は気に入りました。

83 エルトン・ジョンの生涯を描いた作品です。「ボヘミアン・ラプソディ」がリアルな演奏シーンが印象的だったのに対し、この作品はミュージカルがベースでファンタジックな要素が含まれているので、日本人の好みには合わないかもしれませんが、エルトン・ジョンの楽曲の良さが体感できるいい作品だと思います。特に、「Tiny Dancer」の使い方が絶妙で、この場面は涙腺が崩壊しました。名前はよく聞くものの、その功績がよくわからなかった、作詞家バーニー・トーピンとエルトン・ジョンの友情を知ることができたのも収穫でした。若干エピソードを詰め込み過ぎな印象もありますが(女性との結婚から離婚への流れは数分程度で処理されていました)、美談だけでなく、醜悪なエピソードもバランスよく盛り込まれていて、エルトン・ジョンという人間の過剰さと繊細さを理解した上で、共感できる巧みな構成となっています。初めてピアノを弾くシーンや王立音楽院の入学試験シーンなど(一度聞いた曲を完全にコピーします)、天才とはこういう人のことを言うのだと、圧倒されました。過度にそっくりさん的演技になっていない点も含め(役者の個性を活かしつつ、登場人物のキャラクターに巧みに寄せています・・・幼少時代のエルトン・ジョンを演じた子役は瓜二つでしたが)、とてもよく計算された作品でした。存命のアーチストを描いた作品ということで、あまり期待せずに観に行ったのですが、いい意味で予想を裏切られました。
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ぱくりぱくられし

2019-09-01 07:38:38 | Weblog
■本
79 働き方2.0vs4.0/橘 玲
80 ぱくりぱくられし/木皿 泉
81 読みたいことを、書けばいい。/田中 泰延

79 引き続き橘玲さんの本を。橘さんの著書「貧乏はお金持ち」の延長線上で、会社から独立したフリーエージェントとしての働き方について掘り下げて考察されています。「働き方2.0」を成果主義に基づいた働き方、「働き方4.0」をフリーエージェントと位置づけ(ちなみに、「働き方1.0」は年功序列・終身雇用の働き方、「働き方3.0」プロジェクト単位でスペシャリストが離合集散する働き方、「働き方5.0」がAI、機械がすべての仕事を行う世界、と位置付けられています)、グローバル化などで急速に変化する労働環境下で、我々がどのように生き残って行くべきかについて考察されています。「好きなことで生きていく」しかない、「長く働く、(夫婦)いっしょに働く」、「知識や人脈を惜しげもなく共有」など、「ライフシフト」や「GIVE & TAKE 」といったここ数年のベストセラーと同様の主張が多いですが、複雑性が高まりストレスが増す一方の世界で、自由にかつしたたかに生きていくための示唆に溢れた本です。

80 大好きな木皿泉さんのエッセイと、アウトプット担当の妻鹿さんのデビュー作のラジオドラマシナリオが収録された本です。書店で買ったら、サインが入っていたのでとてもうれしかったです。木皿さんの、いろいろな邪悪な情念や偏執的なまでの執念をいったん経た上での、果てしなく大きな包容力にいつも励まされています。ネガティブさを乗り越えた上でのポジティブさ、大きな欲望を抱いた果てのささやかなものに感じる価値、のようなものを私も大事にして生きていきたいと思いました。
まずは、その前提の激しさのようなものが私には欠けているとも思うのですが。

81 元電通のコピーライターの方による本です。最近、書店でよく目にするので読んでみました。単なる文章術ではなくて人生論としても読める本です。木皿泉さんの本を読んだときにも感じた、膨大なインプットを経たアウトプットの輝きのようなものを実感しました。無名のビジネスマン(といっても電通のコピーライターの方なので、普通の無名の方ではないでしょうが)が、組織を離れた後に、自分のアウトプットがさまざまな方に見出されて、次第に有名になっていくサクセスストーリーとしても読むことができてわくわくしました(この本が売れていることも一つの到達点かもしれません)。読者に対して、孤独な人生を格闘している同志として励ますような視点もあり、生きたいように生きていけばよい、というポジティブな気持ちにさせてくれます。


■CD
21 Razorlight/Razorlight

 イギリスのロックバンド、レーザーライトの2006年に発表された2作目です。冒頭の軽快な「In The Morning」から一気に掴まれます。最近あまりいない、素直ないい曲を書く素敵なバンドだと思います。当時の世界は今よりもっとシンプルだったのかもしれません。日本人好みのメロウな「America」という曲が、当時よくラジオから流れていた記憶があり、私もこの曲が聴きたくて改めてこの作品を購入しました。今聴いても色あせない名曲だと思います。


■映画
79 ターザン:REBORN/監督 デヴィッド・イェーツ
80 グリンチ/監督 ヤーロウ・チェイニー、スコット・モシャー

79 「ハリー・ポッター」シリーズの監督作品だけあって、コンゴ奥地のジャングルの雄大な映像は見事です。主演のアレクサンダー・スカルスガルドの肉体美や、ヒロイン、マーゴット・ロビーの「スーサイド・スクワッド」とは真逆の正統派の美しさも煌びやかです。「イングロリアス・バスターズ」でアカデミー賞を取った、クリストフ・ヴァルツも、「イングロリアス・バスターズ」とほぼそのままの演技で悪役を好演しています。一方、ストーリーの方は、誰もが知っているターザンのその後を描いた割には、説明不足やご都合主義なところが多く、なかなか感情移入できませんでした。最後はターザン率いるジャングルの動物と現地部族対ベルギー軍の対決で、壮大な乱戦となります。その破天荒なストーリーと大迫力の映像で、なんとも形容しにくい不思議な感覚になりました。

80 劇場公開当時、日本でも結構宣伝されていたので、クリスマスをテーマにした大作かと思っていましたが、意外とこじんまりとした秀作でした。3D上映のための予算上の制約か、小さい子どもでも集中力が保てる範囲の上映時間が想定されていたのかもしれません。イルミネーション・エンターテインメントらしい、適度な毒とキャラクターのかわいさ(特に、シンディ・ルーという女の子とその友達の子どもたちが、ミニオンズばりのかわいさです)が印象的です。幼児期にトラウマを抱えたグリンチが改心するシーンなどはとても啓蒙的で、そのド直球のメッセージがかえって新鮮でした。家族揃って安心して観られる作品です。
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