■本
105 心を鍛える言葉/白石 豊
106 ことば、身体、学び/為末 大 、 今井 むつみ
105 タイトルと著者の経歴(オリンピアンのメンタルコーチもされている大学教授です)から、トップアスリートの名言を集めたものだと勝手に思っていましたが、メンタルトレーニングの基本について語られた本でした。個人的にこの分野の本はこれまでも読んできたので、目新しい気づきはさほど多くありませんでしたが、シカゴ・ブルズのヘッドコーチだったフィル・ジャクソンさんや、元巨人軍監督の川上哲治さんのエピソードは興味深かったです。両者とも禅の影響を大きく受けていて、瞑想を取り入れ集中力を高めつつ、チームの全体最適を説く姿が印象的でした。よいパフォーマンスを発揮するためには、メンタル面と身体面双方の鍛錬が必要なことがよくわかります。
106 続けてトップアスリートの考え方をテーマにした本を。こちらは男子400mハードルの日本記録保持者であり、アスリートとしての学びについて情報発信を続けておられる為末大さんと、著書の「言語の本質」が話題になった言語心理学者の今井むつみさんの対談本です。各章とも、為末さんがアスリートとしてのお立場から考えられていることについて語られてから、為末さんの問いに今井さんが答えるというかたちで対談が進みます。冒頭いきなり、我々が身体の動きを学ぶ上で効率的だと思いがちな「映像で確認することの問題点」(たくさんある情報の中で、本当に見なければいけないところはどこなのかわからなくなってしまう)を指摘され、「大事なところにスポットライトを当てることができる」ことばで指導することの重要性について語られるなど、実体験に基づく新しい視点を次々と提供して下さる刺激的な本でした。その為末さんのお考えに、今井さんがことばや学びの専門家としてのお立場から考察を深めてくれます。「言語の本質」で語られていた、「記号接地問題」(記号を具体的に生活体験に根ざした例でイメージできるか否かという問題)についてもより理解が深まりました。学びについては、一定のレベルに達するまでは、ある程度定石に従った方が効率的だが、アスリートにおいても、学問においても、超一流になるためには、そこから自分に合ったやり方を試行錯誤しながら見つけないと到達できない、というような指摘はとても興味深かったです。結局は自分が好きなこと、得意なことも含めた、唯一無二の自分に対する理解を深め、それに適した方法で学び続けるしかないのだと思います。他者の教えに従う部分と、自分で探求する部分とのバランスが難しいとも感じました。超一流の域に達し、言語化能力にも秀でたお二人だからこそ語れる、重い言葉に溢れた良い本です。
■映画
93 ホワイトナイツ/白夜/監督 テイラー・ハックフォード
94 ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー/監督 アーロン・ホーバス、マイケル・イェレニック
93 挿入歌で当時大ヒットした、ライオネル・リッチーの「セイ・ユー、セイ・ミー 」や、フィル・コリンズとマリリン・マーティンの「セパレート・ライヴス」のプロモーションビデオで、観た気になっていましたが、映画の方はまだでした。ところどころ作りの粗いところはありますが(いくらなんでも当時のKGBがそこまで無能ではないはずです)、国家と個人の関係を、ソ連とアメリカのそれぞれの問題点(ソ連は自由がないですし、アメリカは格差と差別がひどい)を交えながら、緊張感たっぷりに描かれている点がよかったです。ロシアとアメリカとの関係が悪化している今となっては、この緊張感が妙にリアルです。音楽はもちろんのこと、主演二人のダンスも見事で、耳も目も楽しませてくれます。一方で、ストーリーが、あまりにも非現実的な点が残念でした。長編のミュージックビデオとして観るのがよいのかもしれません。
94 ずっと観たかったので、アマプラの配信開始日に観ました。すでにいろいろなところで語られていますが、本作もストーリーを楽しむというよりも、ゲームの世界観をよりダイナミックにした、各キャラクターの動きを楽しむ作品だと思いました。子どもの頃に夢中になった、「スーパーマリオブラザーズ」や「マリオカート」のキャラクターやその動きが、最新CGで解像度高く描かれているので、とにかく楽しいです。マリオのジャンプや、カーチェイスの動きにずっとワクワクしていました。あと、マリオシリーズの音楽のクオリティがとても高かったことを再認識しました。適切にアレンジされた音楽もとても心地よかったです。観客の感覚を快適にする工夫が行き届いている作品です。子どもが10歳未満のときに一緒に観たら大いに盛り上がれた気がします。そんなポジティブな世界観の中、「イカれた世界じゃ正気なんてクレイジー」など、一人だけネガティブな発言をし続ける、星のキャラクターが絶妙のアクセントとなっていて、個人的には大好きでした。
105 心を鍛える言葉/白石 豊
106 ことば、身体、学び/為末 大 、 今井 むつみ
105 タイトルと著者の経歴(オリンピアンのメンタルコーチもされている大学教授です)から、トップアスリートの名言を集めたものだと勝手に思っていましたが、メンタルトレーニングの基本について語られた本でした。個人的にこの分野の本はこれまでも読んできたので、目新しい気づきはさほど多くありませんでしたが、シカゴ・ブルズのヘッドコーチだったフィル・ジャクソンさんや、元巨人軍監督の川上哲治さんのエピソードは興味深かったです。両者とも禅の影響を大きく受けていて、瞑想を取り入れ集中力を高めつつ、チームの全体最適を説く姿が印象的でした。よいパフォーマンスを発揮するためには、メンタル面と身体面双方の鍛錬が必要なことがよくわかります。
106 続けてトップアスリートの考え方をテーマにした本を。こちらは男子400mハードルの日本記録保持者であり、アスリートとしての学びについて情報発信を続けておられる為末大さんと、著書の「言語の本質」が話題になった言語心理学者の今井むつみさんの対談本です。各章とも、為末さんがアスリートとしてのお立場から考えられていることについて語られてから、為末さんの問いに今井さんが答えるというかたちで対談が進みます。冒頭いきなり、我々が身体の動きを学ぶ上で効率的だと思いがちな「映像で確認することの問題点」(たくさんある情報の中で、本当に見なければいけないところはどこなのかわからなくなってしまう)を指摘され、「大事なところにスポットライトを当てることができる」ことばで指導することの重要性について語られるなど、実体験に基づく新しい視点を次々と提供して下さる刺激的な本でした。その為末さんのお考えに、今井さんがことばや学びの専門家としてのお立場から考察を深めてくれます。「言語の本質」で語られていた、「記号接地問題」(記号を具体的に生活体験に根ざした例でイメージできるか否かという問題)についてもより理解が深まりました。学びについては、一定のレベルに達するまでは、ある程度定石に従った方が効率的だが、アスリートにおいても、学問においても、超一流になるためには、そこから自分に合ったやり方を試行錯誤しながら見つけないと到達できない、というような指摘はとても興味深かったです。結局は自分が好きなこと、得意なことも含めた、唯一無二の自分に対する理解を深め、それに適した方法で学び続けるしかないのだと思います。他者の教えに従う部分と、自分で探求する部分とのバランスが難しいとも感じました。超一流の域に達し、言語化能力にも秀でたお二人だからこそ語れる、重い言葉に溢れた良い本です。
■映画
93 ホワイトナイツ/白夜/監督 テイラー・ハックフォード
94 ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー/監督 アーロン・ホーバス、マイケル・イェレニック
93 挿入歌で当時大ヒットした、ライオネル・リッチーの「セイ・ユー、セイ・ミー 」や、フィル・コリンズとマリリン・マーティンの「セパレート・ライヴス」のプロモーションビデオで、観た気になっていましたが、映画の方はまだでした。ところどころ作りの粗いところはありますが(いくらなんでも当時のKGBがそこまで無能ではないはずです)、国家と個人の関係を、ソ連とアメリカのそれぞれの問題点(ソ連は自由がないですし、アメリカは格差と差別がひどい)を交えながら、緊張感たっぷりに描かれている点がよかったです。ロシアとアメリカとの関係が悪化している今となっては、この緊張感が妙にリアルです。音楽はもちろんのこと、主演二人のダンスも見事で、耳も目も楽しませてくれます。一方で、ストーリーが、あまりにも非現実的な点が残念でした。長編のミュージックビデオとして観るのがよいのかもしれません。
94 ずっと観たかったので、アマプラの配信開始日に観ました。すでにいろいろなところで語られていますが、本作もストーリーを楽しむというよりも、ゲームの世界観をよりダイナミックにした、各キャラクターの動きを楽しむ作品だと思いました。子どもの頃に夢中になった、「スーパーマリオブラザーズ」や「マリオカート」のキャラクターやその動きが、最新CGで解像度高く描かれているので、とにかく楽しいです。マリオのジャンプや、カーチェイスの動きにずっとワクワクしていました。あと、マリオシリーズの音楽のクオリティがとても高かったことを再認識しました。適切にアレンジされた音楽もとても心地よかったです。観客の感覚を快適にする工夫が行き届いている作品です。子どもが10歳未満のときに一緒に観たら大いに盛り上がれた気がします。そんなポジティブな世界観の中、「イカれた世界じゃ正気なんてクレイジー」など、一人だけネガティブな発言をし続ける、星のキャラクターが絶妙のアクセントとなっていて、個人的には大好きでした。