■本
12 猫を抱いて象と泳ぐ/小川 洋子
13 死ぬことを学ぶ/福田 和也
12 久しぶりに小説を夢中になって一気に読みました。主人公は決して恵まれていないですし、ハッピーエンドとはとても言い難いのですが、読後は妙にやさしく穏やかな気持ちになります。自分に与えられたささやかな居場所の中で、自分の好きなことをできることに感謝できれば、どんな境遇であっても豊かな人生を送り得るということを教えてくれます。まあ、その自分の居場所と好きなことを見つけるのが難しいのですが。友人の数や体験の多さと言った量ではなくて、どれだけ集中して一つのものごとをやり遂げたか、といった質によっても人生の意味は見出し得るということを教えてくれ、静かな覚悟のようなものを与えてくれるよい本です。ワールドクラスの傑作だと思います。
13 福田和也さんお得意の明治から昭和初期あたりの文化人のエピソード集です。今回は死の間際のエピソードが中心です。読み物としては面白いのですが、帯にあるような「死に方読本」という面に期待しすぎると少し期待外れかもしれません。結局は生き方と同様、死に方も千差万別、自分の個性が発揮できる面もありますが、運任せの面もあるということがよくわかる本です。どんな立派な人も、どんな嫌な奴も、結局はみんな平等に死んでしまうという当たり前のことが再確認できる本です。
■CD
9 Echoes Silence Patience & Grace/Foo Fighters
10 Wasting Light/Foo Fighters
11 2cellos/2cellos
Foo Fightersが今年のロック部門のグラミー賞を獲得したので、円高で安くなっていたこともあり直近2作を購入しました。
9 Foo Fightersの通算6作目。この作品も2008年にグラミー賞の「最優秀ロック・アルバム」を獲得しています。作品としては悪くないのですが、The Pretenderに代表されるキャッチーな曲と地味目の曲のクオリティの差が激しくて、アルバム全体としては、10と比べるとちょっと散漫な気がします。
10 今年度のグラミー賞の「最優秀ロック・アルバム」他全5部門で受賞した作品。9と比べるとスケール感の大きい曲が多くて、アルバム全体の統一感もあり、かなりの完成度だと思います。何より7作目でまだ進化しているところが凄いです。静かでかつ激しくもあり、繊細でかつ荒々しく、若者から渋い大人まで幅広い年代に通用する、普遍的なロック作品だと思います。
11 何よりカバーしている曲が僕のツボです。これらの曲をチェロで演奏しようと発想した時点で勝負ありです。超絶テクニックももちろんのことですが、元々の楽曲のよさを改めて認識できます。当分読書のお供になりそうです。
■映画
6 ドラゴン・タトゥーの女/監督 デビッド・フィンチャー
7 レスラー/監督 ダーレン・アロノフスキー
8 ウルヴァリン:X-MEN ZERO/監督 ギャヴィン・フッド
6 ちょっと長かったですし、デビッド・フィンチャーらしいグロい映像が必要以上に多すぎる気もしましたし、調査対象の一族の関係もわかりにくかったですし、真相のどんでん返しも若干力技っぽかったですが、それらの欠点を補って余りあるほど面白い作品でした。冒頭の「移民の歌」のカヴァーがバックに流れるイメージ映像から一気に引き込まれました。特に本編とは関係ないイメージ映像ですが、作品の世界観をうまく表していて、うまいやり方だと思います。ダニエル・クレイグがスタイリッシュで優秀だけど、どこか隙のある主人公のジャーナリストを想像以上にうまく演じていてよかったです。しかし、何よりも「ドラゴン・タトゥーの女」(リスベット)を演じるルーニー・マーラの演技が素晴らしかった。「ソーシャル・ネットワーク」での可憐な演技とはうって変わって、リスベットの持つトンガリ加減と弱さとかわいらしさ、を見事に演技切ってました。観客がリスベットに感情移入できた時点でこの作品は成功だと思います。この主演2人の演技とデビッド・フィンチャー監督のスピーディーな演出で、難解で陰鬱なサスペンスが一流のエンターテインメントに仕上がっています。観て損はありません。
7 アメリカ映画によくある過去の栄光から転がり落ちた男の挫折とその再生を描いた作品です。他の作品と異なるのは実際に挫折から這い上がろうとしている俳優、ミッキー・ロークを起用しているところと、その再生が必ずしも成功に終わらないことを予感させているところです。「猫を抱いて象と泳ぐ」と同じく、「自分に与えられたささやかな居場所の中で、自分の好きなことをできること」をテーマにしていますが、その居場所(リング)以外の現実社会がより一層に救いがなく、また、その数少ない救いを主人公自身が好むと好まざるにかかわらず、台無しにしてしまっている点が切ないです。大味なストーリーですが、キャスティングと細かいストーリー上の仕掛けに凝ったことにより成功した映画だと思います。
8 X-MENの主要メンバー、ウルヴァリンの過去に焦点を当てた外伝的作品。アクションは見応えありますし、悪役も憎々しくて作品に引き込まれますが、それぞれの登場人物の行動の動機がよくわからないので(兄の方が何で悪の道に染まって、弟の方はそうならなかったのかがよくわからないし、そもそも悪の親玉っぽい人も小粒で何をしたいのかがよくわからないです)、どの登場人物にも今ひとつ感情移入できません。それなりに楽しめますが、X-MENシリーズの本編の方から観ることをお勧めします。
12 猫を抱いて象と泳ぐ/小川 洋子
13 死ぬことを学ぶ/福田 和也
12 久しぶりに小説を夢中になって一気に読みました。主人公は決して恵まれていないですし、ハッピーエンドとはとても言い難いのですが、読後は妙にやさしく穏やかな気持ちになります。自分に与えられたささやかな居場所の中で、自分の好きなことをできることに感謝できれば、どんな境遇であっても豊かな人生を送り得るということを教えてくれます。まあ、その自分の居場所と好きなことを見つけるのが難しいのですが。友人の数や体験の多さと言った量ではなくて、どれだけ集中して一つのものごとをやり遂げたか、といった質によっても人生の意味は見出し得るということを教えてくれ、静かな覚悟のようなものを与えてくれるよい本です。ワールドクラスの傑作だと思います。
13 福田和也さんお得意の明治から昭和初期あたりの文化人のエピソード集です。今回は死の間際のエピソードが中心です。読み物としては面白いのですが、帯にあるような「死に方読本」という面に期待しすぎると少し期待外れかもしれません。結局は生き方と同様、死に方も千差万別、自分の個性が発揮できる面もありますが、運任せの面もあるということがよくわかる本です。どんな立派な人も、どんな嫌な奴も、結局はみんな平等に死んでしまうという当たり前のことが再確認できる本です。
■CD
9 Echoes Silence Patience & Grace/Foo Fighters
10 Wasting Light/Foo Fighters
11 2cellos/2cellos
Foo Fightersが今年のロック部門のグラミー賞を獲得したので、円高で安くなっていたこともあり直近2作を購入しました。
9 Foo Fightersの通算6作目。この作品も2008年にグラミー賞の「最優秀ロック・アルバム」を獲得しています。作品としては悪くないのですが、The Pretenderに代表されるキャッチーな曲と地味目の曲のクオリティの差が激しくて、アルバム全体としては、10と比べるとちょっと散漫な気がします。
10 今年度のグラミー賞の「最優秀ロック・アルバム」他全5部門で受賞した作品。9と比べるとスケール感の大きい曲が多くて、アルバム全体の統一感もあり、かなりの完成度だと思います。何より7作目でまだ進化しているところが凄いです。静かでかつ激しくもあり、繊細でかつ荒々しく、若者から渋い大人まで幅広い年代に通用する、普遍的なロック作品だと思います。
11 何よりカバーしている曲が僕のツボです。これらの曲をチェロで演奏しようと発想した時点で勝負ありです。超絶テクニックももちろんのことですが、元々の楽曲のよさを改めて認識できます。当分読書のお供になりそうです。
■映画
6 ドラゴン・タトゥーの女/監督 デビッド・フィンチャー
7 レスラー/監督 ダーレン・アロノフスキー
8 ウルヴァリン:X-MEN ZERO/監督 ギャヴィン・フッド
6 ちょっと長かったですし、デビッド・フィンチャーらしいグロい映像が必要以上に多すぎる気もしましたし、調査対象の一族の関係もわかりにくかったですし、真相のどんでん返しも若干力技っぽかったですが、それらの欠点を補って余りあるほど面白い作品でした。冒頭の「移民の歌」のカヴァーがバックに流れるイメージ映像から一気に引き込まれました。特に本編とは関係ないイメージ映像ですが、作品の世界観をうまく表していて、うまいやり方だと思います。ダニエル・クレイグがスタイリッシュで優秀だけど、どこか隙のある主人公のジャーナリストを想像以上にうまく演じていてよかったです。しかし、何よりも「ドラゴン・タトゥーの女」(リスベット)を演じるルーニー・マーラの演技が素晴らしかった。「ソーシャル・ネットワーク」での可憐な演技とはうって変わって、リスベットの持つトンガリ加減と弱さとかわいらしさ、を見事に演技切ってました。観客がリスベットに感情移入できた時点でこの作品は成功だと思います。この主演2人の演技とデビッド・フィンチャー監督のスピーディーな演出で、難解で陰鬱なサスペンスが一流のエンターテインメントに仕上がっています。観て損はありません。
7 アメリカ映画によくある過去の栄光から転がり落ちた男の挫折とその再生を描いた作品です。他の作品と異なるのは実際に挫折から這い上がろうとしている俳優、ミッキー・ロークを起用しているところと、その再生が必ずしも成功に終わらないことを予感させているところです。「猫を抱いて象と泳ぐ」と同じく、「自分に与えられたささやかな居場所の中で、自分の好きなことをできること」をテーマにしていますが、その居場所(リング)以外の現実社会がより一層に救いがなく、また、その数少ない救いを主人公自身が好むと好まざるにかかわらず、台無しにしてしまっている点が切ないです。大味なストーリーですが、キャスティングと細かいストーリー上の仕掛けに凝ったことにより成功した映画だと思います。
8 X-MENの主要メンバー、ウルヴァリンの過去に焦点を当てた外伝的作品。アクションは見応えありますし、悪役も憎々しくて作品に引き込まれますが、それぞれの登場人物の行動の動機がよくわからないので(兄の方が何で悪の道に染まって、弟の方はそうならなかったのかがよくわからないし、そもそも悪の親玉っぽい人も小粒で何をしたいのかがよくわからないです)、どの登場人物にも今ひとつ感情移入できません。それなりに楽しめますが、X-MENシリーズの本編の方から観ることをお勧めします。