本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

イエスタデイ

2019-10-26 10:12:21 | Weblog
■本
97 歴史戦と思想戦/山崎 雅弘

 「南京虐殺」や「慰安婦問題」などの問題を取り上げる周辺国や日本国内の人々は日本を貶める存在と捉え、これらの問題に対する日本に有利な解釈を広めることを「歴史戦」と位置付けて戦闘的な態度で取り組む人たちの主張を、歴史研究者としての立場からロジカルに反論されている本です。少し前に話題になった映画「主戦場」と似たような視点で、いわゆる歴史修正主義者の主張の矛盾をわかりやすく説明してくれます。彼らの主張する、日本の利益や名誉とは、実は現在の日本ではなくて「大日本帝国」のそれであるということ、また、彼らの姿勢が大日本帝国の軍部のような権威主義的傾向を持っている、という主張には説得力がありました。個別の論点については賛否が分かれると思いますが、「自分の姿を第三者的な目線で『客観視』する能力がなければ、相手や第三者から信頼されたり、尊敬されたりすることはあり得ません」という指摘には双方が歩み寄れる余地があると感じました。結局は現在そして未来の日本(大日本帝国ではなくて)の国益を最大化するためには、これらの歴史問題にどういう姿勢で臨むべきかという視点が必要だと思います。個人的にも、少なくとも戦闘的な態度一辺倒では、国益が損なわれる可能性が高いと感じました。


■CD
25 Ode To Joy/Wilco

 大好きなWilcoの3年ぶりの新作です。激動の時代への反発か極めて地味で内省的な印象の作品です。アコースティックなしみじみとした味わい深い楽曲が多く、一曲一曲は素晴らしいのですが、トータルで聴いてみると少し一本調子です。私が少し気分が落ちているタイミングで聴いたためかもしれませんが、アッパーな楽曲も聴いてみたかったです。もう少しメリハリの効いた構成でもよかったと思います。


■映画
98 ザ・ウォーカー/監督 アルバート・ヒューズ、アレン・ヒューズ
99 50回目のファーストキス/監督 福田 雄一
100 東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜/監督 松岡 錠司
101 イエスタデイ/監督 ダニー・ボイル

98 ずいぶん前に観た予告編が印象に残っていて、こういうディストピア的な世界観の作品が好きなので観ました。ネタバレになるので書きませんが、終盤で明らかにされる主人公の特性についてはツッコミどころが満載で、それは作品の重大な瑕疵だと思うのですが、それでも全体的には大いに楽しめました。「マトリックス」シリーズの制作者が関わっているだけあって、チャンバラを思わせるクセの強い戦闘シーンは迫力満点ですし、その超人的な主人公をデンゼル・ワシントンが好演しています。ケンタッキー・フライド・チキンのお手拭きで身体全体を拭くシーンなど、核戦争後の物資の乏しい世界で生き延びる人たちの、細かい生活描写もよく考えられています。主人公が肌身離さず持っている本がこの作品のキモなので、原作と同じく(原作タイトルは「The Book of Eli」です)、「本」がタイトルに入っていた方が、より分かりやすかったと思います。

99 ドリュー・バリモアとアダム・サンドラーが共演した元ネタが完成度の高い作品だったので、あまり期待していなかったのですが、福田雄一監督らしい、アドリブかと思わせるほどの自由奔放な演出がいい味を出していて、予想以上に楽しめました。主演の長澤まさみさん、山田孝之さんはもちろんのこと、脇を固める佐藤二朗さん、ムロツヨシさん、太賀さんの魅力的な演技もさることながら、改めて原作の脚本がよくできていると感じました。繰り返される日常のコメディと悲劇の要素のバランスが絶妙で、さらにそれをロマンティックな要素でコーティングするという構造が秀逸です。ハワイの美しい映像もストーリーにうまくマッチしていて、絶妙のアクセントとなっています。

100 リリー・フランキーさんの原作も松尾スズキさんのこの映画の脚本も読んでいたのですが、なぜか映画の方はまだだったので観ました。評判度通り樹木希林さんの演技は圧巻で、オダギリジョーさんの演技も安定感抜群です。この二人の演技を観るだけでも価値があると思います。ストーリーの方も、親子の愛情と地方から上京した人間の喜びと焦燥をうまく掛け合わせて、重層的な厚みを感じました。前者はリリー・フランキーさんの、後者は松尾スズキさんの個性が滲み出ている気がしました。ただ、有名俳優のカメオ出演があまりにも多い点が気になりました。タイトル通り、「オカンとボクと、時々、オトン」3人の関係が中心の作品なので、主要登場人物に焦点を当てるという意味でも、この過度に営業面を配慮したキャスティングは逆効果だったと思います。

101 ビートルズが存在しなくなったパラレル世界で、彼らの存在を記憶しているミュージシャン志望の青年が、その音楽を演奏してスターになっていくという、極めて危なっかしい設定ですが、さすがダニー・ボイル監督だけあって、ストーリーの持つ力への信頼感とビートルズの音楽に対する敬意に溢れる、素晴らしい作品となっています。幼馴染の女性との煮え切らない恋愛など、ダニー・ボイル監督にしては、若干甘すぎる展開ですが、マーケティング重視の音楽業界や、本人として登場するエド・シーランのいじり方など、適度な毒も痛快です。パラレル世界での、ジョン・レノンの登場シーンの描き方は特に秀逸で、目頭が熱くなりました。構造的には、タランティーノ監督の「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」と似ているところもあり、変化球的なかたちで、自分が影響を受けた1960年代のカルチャーに対する敬意を表すことが、円熟期を迎えた映画監督の間で流行っているのかもしれません。
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「空気」を読んでも従わない

2019-10-19 09:33:19 | Weblog
■本
94 「空気」を読んでも従わない/鴻上 尚史
95 暴走するネット広告/NHK取材班
96 直感と論理をつなぐ思考法/佐宗 邦威

94 鴻上さんの名著「『空気』と『世間』」を、中高生向けにわかりやすく焼き直されています。引きこもり中の長男に読ませようと思い購入しました。日本社会の背景にある同調圧力の強さを、場の雰囲気を過度に意識する「空気」という側面と、農業を基盤とした地域共同体が重視した「世間」という側面から、論理的に説明してくれています。その同調圧力の強さとどう折り合いをつけて、息苦しさからラクになるかについても、丁寧に説明されています。単なる精神論やゼロイチの議論に陥ることなく、したたかに社会と折り合いをつける方法を一緒に考えていこうというスタンスに共感が持てました。じわっと心に染み入るものがあります。

95 「情報商材ビジネス」などで用いられることの多い「フェイク広告」(実際にはかかわりのないタレントがその商材について称賛しているかに見える広告、など)や海賊版漫画サイト「漫画村」の収益構造を探る取材を通じて、ネット広告の隆盛という光の部分と、その不正利用という闇の部分とが説明されています。NHKの「クローズアップ現代+」での取材に基づく本で、結末があいまいな部分があるなど(結局漫画村の運営主体が誰かは明らかにされません)ドキュメンタリー作品としては食い足りないところがありますが、ネット広告の仕組みとその問題点を知る上では、とても有益な本だと思います。インターネット運用型広告に関する解説本はたくさん出版されていますが、その仕組みと留意点について最もわかりやすく書かれた本の一つだと思います。結末があいまいと申しましたが、読み物としてもそれなりに面白いので、この業界の知識を手っ取り早く得たいという方にはかなりお勧めです。

96 少し前に流行した「デザイン思考」をさらに発展させた「ビジョン思考」に基づき、タイトル通り「直観と論理をつなぐ思考方法」について、具体的に解説されています。冒頭にある、「自分がどう感じるか」よりも「どうすれば他人が満足するか」ばかりを考えている「他人モード」に我々が陥っている、という指摘は耳が痛いです。不確実性が増す時代では、外部環境への適合を過度に目指しても成果が出ず停滞感に陥るばかりなので、自分の内面から湧き上がる直観や妄想に基づく「自分のやりたいこと」(「自分モード」)を駆動力にすべきということがこの本の最大のメッセージだと思いますし、最近の哲学やリベラルアーツが再評価される風潮もこの流れにあると思います。背景にある考え方は非常に共感できますが、ただの直感や妄想に終わらせないための方法論をいかに具体的に実践していくかが難しく、理解するよりも実際に行動に移せるかで有益度が格段に違ってくるタイプの本です。とりあえず、私も新しいノートを買って自分の妄想を書きつける時間を作るところから始めたいと思います。



■映画
97 ファイヤーフォックス/監督 クリント・イーストウッド

 東西冷戦時代を舞台に、ベトナム戦争のPTSDに悩む元米軍パイロットが、ソ連に潜入し最新鋭戦闘機「ファイヤーフォックス」を盗み出すという1982年制作の映画です。前半はソ連に潜入し空軍基地で戦闘機を奪うまでのスパイ活劇です。こちらは、クリント・イーストウッドらしい、脇役も含む丁寧な人物描写で、緊迫感のある展開が面白かったです。後半は、戦闘機を奪ってからアメリカに帰還するまでの空中戦シーンが中心です。CG全盛の今から観ると、かなりプアな映像ですが、それなりに迫力はあります。一方、主人公の帰還を阻止しようとするソ連側の描写が官僚的な無能組織の典型で、意外とあっけなく危機からも逃れられた点が拍子抜けでした。尻つぼみな印象は否めませんが(今のクリント・イーストウッドなら、前半パートだけで映画を完結させた気がします)、主演クリント・イーストウッドの引き出しの少ない演技も含めて、らしさ全開の作品で、クリント・イーストウッド監督作品ファンとしては、その後の変遷も踏まえて興味深く鑑賞しました。
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ジョーカー

2019-10-12 07:05:13 | Weblog
■本
92 生きづらさについて考える/内田 樹
93 カスタマーサクセス/ニック・メータ、ダン・スタインマン、リンカーン・マーフィー

92 タイトルに魅かれて読みましたが、「生きづらさ」そのものについて考えるというよりも、その背景にある政治や教育上の問題について考える、いつもの内田節全開の時事評論集です。内田さんの本は文庫本になってから読むことが多く、過去の出来事の振り返りといった読み方ばかりだったので、令和になってからの状況等、ほぼリアルタイムの出来事についての内田さんの見解を読むことができたのは、よい体験でした。ネットニュースや新聞では掘り下げられることの少ない、今起きているさまざまな問題について、多面的に理解するために必要な視点を提示してくれます。受験生向けに書かれた、不透明な時代での学びのスタンス(要は「やりたいこと」に注力するということですが)について書かれた文章が特に印象に残ったので、息子たちにも読ませてみたいと思います。

93 サブスクリプションサービスの普及により、売り切りの導入費用よりも継続的な定額利用料で稼ぐビジネスが増加したことに伴い、新規顧客獲得以上に既存顧客の維持管理が重視されるようになったので、それを実現するための「カスタマーサクセス」という考え方について説明された本です。従来の「カスタマーサポート」という受け身の姿勢から、対人かテクノロジー活用かのスタンスの違いは顧客単価により差はあるものの、顧客に積極的に働きかけていく姿勢が重視されています。翻訳もののビジネス書の宿命か、冗長で読みにくい点も多いですが、外資系ソフトウエア企業等で「カスタマーサクセス」という肩書の人が増加している理由を知り、自分の会社でもどのように取り込んでいくべきか、を学ぶ上では有用な本だと思います。


■CD
24 見っけ/スピッツ

 いつもの安定したスピッツ節です。各曲の時間も収録曲数もコンパクトにまとめられていて、とにかく潔いです。細かい工夫がされている楽曲もありますが、大きな新機軸もドラマティックな展開も控え、ひたすら良い楽曲を届けようという職人芸のような気高さが感じられます。複雑化する一方の社会や音楽に、シンプルさで対抗しているのかもしれません。


■映画
94 バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生/監督 ザック・スナイダー
95 ジョーカー/監督 トッド・フィリップス
96 蜜蜂と遠雷/監督 石川 慶

94 「アベンジャーズ」シリーズとよく似た、ヒーローの強大すぎる力に対する普通の人間側の抵抗を描いた作品ですが、「アベンジャーズ」シリーズと比べて説明不足な点が多いところが気になりました。関連作を観ていない人には理解しにくい面があることは、こういう壮大な世界観を描いたシリーズものでは、ある程度仕方がないと思いますが、それにしても不親切です。特に、この作品の後で公開されることになる「ワンダーウーマン」が、さほど説明されることもなく、登場している点に違和感が残りました。「ワンダーウーマン」を観た後でこの作品を観た私でさえ混乱したので、公開時にこの作品を観た人はかなり理解に苦労したと思います。この後のDCコミックス版「アベンジャーズ」とも言える、ヒーロー総出演の「ジャスティス・リーグ」は、まだ、観ていませんが、その期待値もかなり下がりました。大味なマーベルよりも、繊細なDCコミックスの世界観の方が好きなので残念でした。

95 そのDCコミックスシリーズ映画化作品の失望感を、一気に解消するのが、現在話題のこの作品です。ヒーローアクション映画として観に行くとかなり面食らうと思いますが、社会的な不公正により理不尽な出来事が連続して起こった人間の怒りや混乱が、ひりひりするほどの臨場感をもって描かれた傑作です。ベネチア国際映画祭で金獅子賞を獲ったのも納得です。ホワキン・フェニックスは評判通り圧巻ですが、ロバート・デ・ニーロの使い方も絶妙で、思わず「タクシー・ドライバー」と比較して、世界がより複雑になっていることが身に染みます。現代社会への風刺という点でも、その毒の強さは強大で、各国のデモ活動に影響を及ぼすのではという不安の高まりも、杞憂で済まされないかもしれません。かなり気分が滅入る描写が続くので、体調が良い時に観ることをお勧めしますが、観る側の何かを揺さぶる、引っ掛かりの多い必見の作品だと思います。

96 長大な原作を2時間で収めるのはかなり苦労されたと思いますが、メリハリをつけた演出で、映画だけを観ても楽しめる作品だと思います。さらに、小説では味わえない(逆にそこを想像で補えるところが小説の利点とも言えるのですが)、音楽や映像での表現も工夫されていて、観客を飽きさせません。松岡茉優さんは、過去に傷のある元天才ピアニストを印象的に演じられていますし、年齢的に働きながらラストチャンスに賭ける市民ピアニストを松坂桃李さんが好演されています。賛否両論あると思いますが、四人の主要キャラクターのうち、この二人に焦点を当てた割り切りもよかったと思います。なにより、変に前後編とかにしなかった点も好感が持てました。原作小説の魅力を味わい尽くすためには、小説の方を読むしかないのですが、サブテキスト的に観る分には十分合格点を与えられると思います。
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学校に行きたくない君へ

2019-10-05 09:45:46 | Weblog
■本
90 学校に行きたくない君へ/全国不登校新聞社
91 人生のサバイバル力 17歳の特別教室/佐藤 優

90 夏休み明けから長男が不登校になったので読みました。不登校経験者が著名人(必ずしも不登校だった方ばかりではありません)に聞きたいことをインタビューするという構成で、個人的には、樹木希林さん、西原理恵子さん、内田樹さん、リリー・フランキーさんといった、人選がツボでした。共通するのは、意図的にまたはなりゆきで、ある種のレールから外れた生き方をされた方ばかりで、それなりに苦労はありますが、もっと自由に生きていいというメッセージに励まされます。特に、辻村深月さんの「傷つけた人を許さなくてもいい」や「生き方の比重は自分で決めていい」というコメントが印象に残りました。辻村さんの「かがみの孤城」を読んでみたくなりました。

91 同じ理由で17歳の長男が読めばいいなと思い、佐藤さんがお母さんの母校でもある久米島高校で講演された内容をまとめたこの本を読みました。基本的には、佐藤さんがさまざまな本で書かれた、歴史から学ぶことや資本主義の基本的な構造を知るとことなどの重要性を、高校生向けにわかりやすく解説された内容ですが、久米島の歴史や文化に特化して語られている点と、昨年漫画版がベストセラーになった「君たちはどう生きるか」をテキストとして用いられている点が印象的です。「つらい過去には向き合わなくていい」、「その問題は取りあえずカッコの中に入れて、きちんと勉強していくことで、将来、問題は解決できるんだと考えてほしい」というメッセージが長男にも伝わればよいな、と思いました。


■映画
90 僕のワンダフル・ライフ/監督 ラッセ・ハルストレム
91 アド・アストラ/監督 ジェームズ・グレイ
92 王様になれ/監督 オクイシュージ
93 ヒックとドラゴン2/監督 ディーン・デュボア

90 前世の記憶を持ったまま何度も転生する犬を描いた、ラッセ・ハルストレム監督らしい、ド直球のハートウォーミング作品です。混迷を極める世界で、ここまで衒いなくイノセンスを描ける人は貴重な存在だと思います。何故この犬は、他の生物や地域に生まれるのではなく、何度もアメリカ在住の犬として生まれ変わるのか、という疑問がわかなくもないですが、全く迷いなく描かれているので、素直に感動してしまいます。同じく犬がタイトルに入っている(この作品の原題は「A Dog's Purpose」です)、この監督の「マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ」という作品が大好きなので、また、観たくなりました。こちらは、イノセンスにほどよい苦みが加わっていてお勧めです。

91 ブラッド・ピットとトミー・リー・ジョーンズが親子を演じるSF大作という情報や、予告編の意味深な映像で、かなり期待して観に行ったのですが、正直あまり面白くなかったです。「2001年宇宙の旅」を意識した、哲学的要素とエンターテイメント性を両立させた作品を目指した気がするのですが、悪い意味で冗長で、かつストーリーの深みにも欠けているので、途中かなり退屈しました。LCCを思わせる月へのロケット定期便や火星の宇宙基地の描写など、リアリティのある独特の世界観や映像は興味深かったのですが、それにストーリーが追い付いていない印象です。改めて、「インターステラー」、「ゼロ・グラビティ」そして「オデッセイ」といった作品の完成度の高さに気づかされました。

92 先日、ザ・コレクターズの30周年記念として制作された映画を観て面白かったので、ザ・ピロウズの30周年記念企画として制作されたこの作品も観に行きました。ザ・コレクターズの方がドキュメンタリー作品だったのに対し、こちらは、フィクションのオリジナル・ストーリーの中に、ザ・ピロウズの存在や音楽が巧みに盛り込まれています。また、ザ・コレクターズの方は、彼らのモッズカルチャーへの思いが強調されていたのに対し、こちらは、ファンや他のアーティストの、ザ・ピロウズへの思いが強調されているところが印象的でした。ストーリー的には、よくできた学生映画という域を脱していないと思いますが、山中さわおさんの予想以上に上手な演技やライブシーンの迫力は観に行く価値があります。「ハイブリット・レインボウ」は改めていい曲だと思いました。

93 「シュレック」シリーズで有名なドリームワークスによる青年とドラゴンの友情を描いた、CGアニメーションシリーズの2作目です。日本では劇場未公開だったとは思えないほどの抜群のクオリティーで、北欧を思わせる風景の美しさやドラゴンの飛行シーンの爽快感がとても印象的です。ストーリーの方も、「人は変わることができる」というテーマに好感が持てますし、展開も速く快適に作品世界に浸れます。キャラクターもただの美男美女ではなく、微妙に癖があるところも個人的には好きです。バイキングの世界観が馴染みにくいのかもしれませんが、日本でももっと多く観られて欲しい秀作です。
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