本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

シティ・オブ・ゴッド

2009-07-27 06:18:30 | Weblog
■本
59 「空気」と「世間」/鴻上尚史

 「空気」(「空気を読め」とよく言われる方の「空気」です)と「世間」、そして「社会」との関係を過去の書籍からの引用も踏まえ論理的にわかりやすく整理されたいい本です。基本的には、最近の鴻上さんの本のテーマに共通した「生きにくい時代だけど、その中で少しでも楽に生きていける方法を、自分で選び取って行こう(生きにくい場所から逃げると言う選択肢も含めて)」というメッセージに溢れています。僕が漠然と考えて実践している「丁寧語」の使用(「『タメ口』はむき出しの権力関係を持ち込んだ不平等な言語空間を作り出す」)など、肌感覚で納得できるところも多いです。僕も他人とは2種類の距離感(非常に親密か、ディフェンシブに距離を置く)しか使えないので、もっといろんな距離感(社会的に節度を持って接しながらもどこか親密、など)を身につけるべきだと思いました


■映画
22 ハンコック/監督 ピーター・バーグ
23 シティ・オブ・ゴッド/監督 フェルナンド・メイレレス

22 アルコール好きでやさぐれた、少し孤独感のある嫌われ者のヒーローという設定は個人的に凄くツボでした。また、予告編の鯨を投げ飛ばしてヨットに当てる映像などもおもしろく、かつ、ウィル・スミスの主演映画は大はずししないので、それなりの期待感を持って観たのですが、結果は一言「残念」な作品です。この設定とこれだけの映像を作れるお金があるなら、もっと、もっと面白くできたはず。敵もしょぼいし、ハンコックの孤独の理由も、家庭的というか個人的な理由で、あまりのスケールの小ささに愕然としました。シャーリーズ・セロン の使い方も意味不明だし。彼女の分のギャラを削ってでも、脚本家にもっとお金を払うべきでしたね。

23 IMDBのユーザーレビュー上位の作品中、この作品だけ観たことがなかったので、ずっと気になっていたのですが、ネットDVDレンタルに加入したこともあって借りて観ました。完璧すぎるところが唯一の欠点というべき素晴らしい映画です。映像がスタイリッシュで斬新ですし、リオデジャネイロ現地のスラム街で募集された素人中心の出演者の演技も素晴らしいです。基本は救いのない、人生の皮肉に溢れた絶望的な話なのに、妙なユーモアがあるところも素敵です。スラムドック・ミリオネアと非常に似たバックボーンを持つ映画だと思うのですが、あまりに完璧すぎてリアルすぎるところがフィクションの映画としてはある意味で欠点となっているかもしれません。それなら、ドキュメンタリー映画を観ればいいのですから。かなり素晴らしい映画だとは思いますが、そういう点では個人的にはスラムドック・ミリオネアの方が好きです。作り物のにおいがぷんぷんしつつ、ある種の人生の秘密っぽいところを描いているところが、逆に映画としての大きなパワーにつながっている気がします。あるメッセージを伝えるには、リアルにそのまま伝えるよりも、ある種のメタファーを使って婉曲的に伝える方が、より心に響く場合もあると思います。本作はエネルギッシュではありますが、完成度が高すぎて、メッセージが直接的過ぎるので、爆発的なまでのパワーにまでは至っていない気がします。とはいえ、必見の作品であることは間違いないです。
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