本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

隠し砦の三悪人

2024-02-11 06:41:32 | Weblog
■本
11 がんばらない戦略/川下 和彦
12 すごい音楽脳/宮﨑 敦子

11 脱力系「夢をかなえるゾウ」といった趣のストーリー形式の自己啓発本です。「意志の力には限りがある」という前提にたって、習慣化することにより無意識で自動運転できるところはそれに徹し、本当に重要なことにのみ「意志の力」を用いようというメッセージが貫かれています。また、「得意なこと」であれば、意志の力の消耗を控えることができるので、頑張ったり、我慢したりしなくてすむ「得意なこと」に取り組む必要性についても強調されています。「夢をかなえるゾウ」と比較するとストーリーの完成度が今ひとつで、ギャグも滑り気味ですが、類似書でも語られることが多い内容の中から、重要な点にのみ焦点が当てられていて、基本的にはわかりやすく、かつ納得感の高い内容でした。私も読書やジョギングの時間など習慣化を心がけていますが、過度に日々の行動をルーティーン化してしまうと、新たな出会いや気付きを得る機会が減る気がするので、そこに偶然性も盛り込むようにしてバランスを取ろうとしています。

12 音楽が脳に与える影響に関する筆者の研究成果が、わかりやすく解説されている本です。在宅勤務が増え、音楽を聴きながら仕事をする機会が増えたので、その効果について知りたくて読みました。音楽を聴くだけでなく、歌本カラオケ(歌うタイミングを教えてくれる映像を見ながらではなく、歌詞カードを見て自分で歌い出しのタイミングを取るタイプのカラオケ)、ダンス、ドラムなどの効能についても説明されています。DJでもある筆者のオリジナルハウスミュージックもダウンロードできます。ハウスミュージックのようなややテンポの速い曲を作業や運動前(聞きながらよりも事前の方がよいそうです)に聴くと、効率が上がるそうです。エビデンスとして脳のどの部分に作用するのかも教えてくれているのですが、脳の各部位の役割をよく理解していないので、個人的にはその方面の知識の補強が必要だと感じました。


■映画 
10 スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース/監督 ホアキン・ドス・サントス、ケンプ・パワーズ、ジャスティン・K・トンプソン
11 キングスマン:ファースト・エージェント/監督 マシュー・ヴォーン
12 隠し砦の三悪人/監督 黒澤 明

10 劇場版アニメーションの方の「スパイダーマン」のシリーズ2作目です。前作以上にマルチバースの世界観を前面に出しています。ヴィラン(悪役)との戦いよりも、並行世界のスパイダーマン同士の、価値観の違いによる争いが中心に描かれています。その過程で主人公の特異な状況が明らかにされていきます。そのため、どうしても内輪揉めの印象が強く、また、次作に結末が持ち越されるシリーズの中継ぎ的な位置づけの作品なので、世界的には大ヒットした作品ですが、個人的な評価は低めです。上映時間も必要以上に長く、ダラダラとした印象も残りました。とはいえ、アニメ特有のダイナミックな動きは、スパイダーマンと相性がよく、ヒップホップ文化を意識したテイストもユニークで、実写版とは異なる魅力を放っています。前作が少年の成長に焦点が当てられていたのに対し、本作は家族関係やそこからの自立がテーマとなっていて、ティーン世代の悩みに寄り添う内容な点ところも好感が持てました。次作がどう着地するかによって、このシリーズ全体の評価が左右されると思いますので、公開を楽しみに待ちたいと思います。

11 「キングスマン」シリーズのスピンアウト的な作品です。このスパイ組織が誕生した背景が描かれています。ストーリーやアクション的にはよくできていて、とても楽しめたのですが、これまでのシリーズ作品と比較すると全体的に地味な印象です。第一次世界大戦当時が舞台なので、ハイテクスパイ道具が登場しないのと、全体的に登場人物の年齢層が高く、先日観た「キングスマン:ゴールデン・サークル」ほどのスピード感に欠けた点がその理由だと思います。また、実際の史実とフィクションの部分を組み合わせて、作品に深みを作ろうとしているのですが、第一次世界大戦当時の歴史背景について、私が詳しくない点も完全にこの作品の良さを理解できなかった理由だと思います。シリーズを通しての上品なテイストは印象的ですが、その反面の過激な毒に満ちた描写が少なめだった点も残念でした。完成度は高いですが、わざわざスピンオフ的な作品を作る必要があったかと言うと、少し疑問が残りました。同じキャストと設定で押し切ってもよかったと思います。

12 「スター・ウォーズ」1作目(エピソード順では4つ目)の元ネタという話もある、黒澤明監督によるアクション時代劇です。序盤は欲にまみれた百姓ふたりの苦難の描写を通じて状況を手際よく説明しておいて、この二人がヒーローと出会ってからの怒涛の展開がとても巧みで心地よいです。三船敏郎さんの馬上での戦闘シーンのスピード感や、槍を用いた一騎打ちでの力感溢れる迫力に圧倒されました。特撮がなくても、工夫次第で魅力的なアクションシーンを表現できることがよくわかります。ストーリー的には、過度に伏線を引っ張ることなく、早々にネタばらししつつ、登場人物の関係性の変化に重点を置いているところが興味深かったです。なんといっても、観客を楽しませるエンターテインメントに徹している点が素晴らしいです。火祭りなど日本の伝統的な風習についての描写も丁寧にされていて、外国の観客の受けも良さそうです。喜怒哀楽のいろいろな感情を刺激され、後味もよい、黒澤明監督の巧みな演出力が光る傑作だと思います。
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