居心地の良い場所は必要だ、何よりも
このうえなく、そう言ってもいい
そのことを知ることではじめて
この世の居心地の悪さの本質をえぐり出せる
そして、その次がある
計り知れない未記述の生の地平がある
この直観に従えば
同時にそれが、居心地の良さの本質をえぐり出す
わかりあえる水準でわかりあう
その先へ──
直観が告げる
したり顔で語りたがる分別の口を塞いで黙らせろ
黙らせたうえで
居心地の良さに満ち足りた関係の外へ出ろ
どんなに世界が確定された姿で現れても
俺たちは未決の空域を携えて生きている
世界記述を書き換えるフリーハンドがある
手つかずのまま放置されたフリースペースがある
身についた分別を解除して耕すべき生の圏域がある
この圏域とリンクすることで沸き立つ原理的作動がある
だれかに求められたモチーフ、絵ではない
世界を黙らせたうえで始められる絵がある
分別が別の分別に入れ替わっても世界は変化しない
分別なんぞはじめから問題にならない展開領域がある
野蛮さと繊細さの極みが溶け合って耕される人間の地平
アートと呼ばれるものに許された試行の方法がある
(後出しにちがいない──そういう提案だった)