記述のスペースを空けておけ──
なぜだ！どういうことだ！
これが世界の真実だ──そういいたい気もちはわかる
アウトラインを鮮明にして心を決める
アウトラインが決まらなければ心が決まらない
絶望、希望、なんでもいい
一つの色に塗りつぶされた確定項としての世界
それを手に入れたいと願う心がある
求めるものは一つ、シンプル解「This is the world.」
それを求めた記述の痕跡はあふれるほど歴史に刻まれている
痕跡、あるいはゴミ、クソの集積場としての歴史がある
その本質は一つだ。
「だよね、だよね、だよね」が蝟集する感情の共同体
思考の凍結を資格要件とする感情のスクラム、きもちよさの共同体
わかりやすく、情動の求めに応じただけのシンプル解
世界を刈り込んで情動のポッケに収めたつもりだけの絶対解
ほんとうにそれでオーケーか？
つねに陣痛に疼き、駆けるもの、おまえを走らせるものがいる
おまえに言葉を手に取らせ、記述し、しかし記述しきれずに
世界の姿を描き出すことを促し、促しつづけるものがいる
用在としての言葉、世界記述の一切は
「記述されざるもの」の海に立ち上がり、浮かんでいる
言葉を宿し、言葉を産み落とす──
世界の姿を確定させ、世界まるごとポッケに入れる。ばかな。
おまえが心を決めるよりはやく、心を決めたあとも
つねにその先に駆け出しているもののために
つねに記述のスペースを空けておけ──
なぜか？
世界を、じぶんを、なかまたちを
ピンでとめて博物館の展示物にしたくなければ
生きたまま歴史のゴミとして回収したくなければ
言葉でバインドして扼殺したくなければそうしろ
