ASAKA通信

ノンジャンル。2006年6月6日スタート。

「愚かな文明」

2020-04-12 | Weblog

 

――「情報空間の特性」から、文明の審級を知ることができる。

 「愚かな文明」は、ユニラテラルであり、クローズドであり、エクスクリューシブであり、収束的である。
 「高貴な文明」は、インタラクティブであり、オープンであり、インクリューシブであり、展開的である。

――「子どもの教育」から、文明の審級を知ることができる。

 「愚かな文明」は、規律・協調・集団・標準・位階、総じて線形的な価値コードに準じて、
  人権にまさる愛国と忠君、自己犠牲を子どもの心に書き込むことができると妄想する。
 「高貴な文明」は、歴史が成就したすべての悲劇と錯誤と不実の由来を悲しみと共に学び、
  子どもの非線形的で自律的成長に最大の敬意を払い、愚かさの感染を防圧する知恵の果実を蓄える。

――「代表者のクオリティ」から、文明の審級を知ることができる。

 「愚かな文明」には、自由と秩序がゼロサムのゲームだと考えるトンマたちと、
  サムライのつもりで吠えるだけの誰かの番犬でしかないなりすましが溢れる。
 「高貴な文明」には、未規定な現実の遷移に開かれた、終わりなき探求者たる智者の群れがいる。
  自由と調和が一つに結ばれる、未だ顕現せざる包括的ゲシュタルトの探求がその主題を構成する。

――「エージェント(権威者・専門家)との関係特性」から、文明の審級を知ることができる。

 「愚かな文明」は、エージェントに過剰に依存し、学ばないことを学び、生命の簒奪と毀損を放置する。
  単体として作動できないメンバーたちは、絶えず接続先を探してエージェントの宇宙をさ迷い続ける。
 「高貴な文明」には、無数の思考が織りなすギャラクシー上に、新たな星座が奇跡のように出現していく。
  エージェントは出現した星座を最初に指さす人として存在し、メンバーたちはその役割を相互に交換しあう。

――「外交の手法」から、文明の審級を知ることができる。

 「愚かな文明」は、外なるものへの敵対と罵倒にブルータルな血をたぎらせ、寛容なき滅びの美学に自滅していく。
  世界の区分線はコンクリートに固定され、神話化され、「価値/非価値」をめぐる確定記述へ思考を収束させる。
 「高貴な文明」は、すべての魂に寛ぐスペースを誂え、エレガントな〝もてなしの作法〟であらゆるゲストを迎える。
  もてなしの作法は、エコメンタルなコスモスのゆらぎに共振しながら、みずからと世界の区切りを更新していく。

 「愚かな文明」は、実線で太く描かれた漫画の吹出しに似た、特殊な公理系の宇宙を至上化してノイズを排除する。
 「高貴な文明」は、メンバー一人一人の内部に、公理系の外とつながる〝第四次〟のアンサンブルの宇宙を夢見ている。


   

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