熟年新米弁理士のひとり言

平成18年に59歳で弁理士試験に合格した企業内弁理士です。弁理士試験、企業での知的財産業務について、気軽にお話します。

日本でいちばん大切にしたい会社

2010-08-22 18:23:53 | Weblog
坂本光司さん執筆の「日本でいちばん大切にしたい会社」を読みました。

会社経営とは、「五人に対する使命と責任」を果たすための活動であると、考える著者が選んだ、「日本でいちばん大切にしたい会社」について述べた本です。

著者が考える五人とは、
一番目が、社員とその家族です。
二番目が、外注先・下請け企業の社員です。
三番目が、顧客です。
四番目が、地域社会です。
そして五番目が、株主・出資者です。

先ず、疑問に思うのは、顧客が一番目ではないことでしょうか。
顧客第一主義と教えられた企業人には少し意外かもしれません。

著者によると、お客様を感動させるような商品を創ったり、サービスを提供したりしなければいけない当の社員が、自分の属する企業に対する不満、不信の気持ちに満ち満ちているようでは、顧客第一主義が実現できないことにあるそうです。
これはその通りですね。
私も企業勤務時代に同じ疑問を持っていました。

次に、市場原理主義を信奉する方々は、何で株主・出資者が五番目なのか、という疑問を持つと思います。
これも著者によると、株主・出資者の満足は、上位四人の満足度を高めれば、必然的に発生するものだそうです。
つまり、短期の業績・株価に一喜一憂する、お金至上主義の株主・経営者は、考え方が間違っているということです。
この意見にも大賛成です。

アメリカの市場原理主義にかぶれた大学教授出身の大臣が、日本社会の絆をズタズタに引き裂いてしまいました。
その反省もなく、大学で講義をしたり、テレビにも出演しているのは、まったく理解できませんね。

また、その大臣を任命した元総理。
自分は議員を辞める代わりに、息子を議員にしてくれと、講演会に頼んでいました。
党の政策として、世襲排除を掲げながら、自分の息子は例外だと言わんばかりの行動には、あきれるばかりです。
そう言えば、イラク戦争支持の反省もしていませんね。

政治の話はこれ位にして、本の話に戻ります。
この本は、著者が推薦する「大切にしたい会社」として日本理化学工業、伊那食品工業、中村ブレイス、柳月、杉山フルーツの5社を含む14社が紹介されています。

何れも優れた会社です。
以前、ブログで記載しましたが、日本理化学工業は、従業員50名の内、およそ7割が知的障害者であるという、障害者雇用率が高い会社です。
この会社は、50年前に知的障害を持つ二人の少女を、「私たちみんなでカバーしますから」という社員のたつての願いで採用したという、実にすばらしい会社です。

幸福の4条件とは、①人に愛されること、②人にほめられること、③人の役に立つこと、④人に必要とされること、だそうです。
そいて、この内、②から④は、働くことにより得られるので、全ての人にとって働くことが必要である(会社で働くことに限定されるものではありません)、ということです。
障害者を積極的に採用する理由は、このあたりにもありそうです。

この話には、続きがあります。
著者が、この会社を久しぶりに訪れたとき、応接室にコーヒーを運んできたおばあさんが最初に採用した少女の一人だそうです。
実に50年前に採用した少女を定年退職後も採用し続けているそうです。
この話を聞いて著者は涙をこらえることができなかったそうです。
私も感動して涙が出てしまいました。

この会社以外にも、感動する話が満載な本です。

企業の社会的責任、人間の生き方を考える上で、大変参考になる本です。
ご一読をお勧めします。



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