memories on the sea 海の記録

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放射線の放出で海洋生物に影響が

2011-04-28 00:00:20 | 東北地震津浪災害 3.11
研究者らは福島原発の影響把握のための調査を拡大の必要ありと。放射性同位元素が福島第一原発から海に放出された。(4月17日JIJI PRESS/AFP)

大平洋は広大であり大丈夫だというメッセージが何度も発せられた。同位体が希釈されることは疑問がない。にもかかわらず科学者らは福島原発周辺の生態系のダメージについての評価のための海洋調査をできるだけ早く行うことを提言している。しかし、汚染は海洋生物に直ちに影響が出るというものではない長期にわたる同位体が蓄積されて食物連鎖に影響しひいては魚類や海産哺乳類の死亡率の増加につながるものである。

「計測結果が直ちに危険というものではない」とマサチューセッツのウッヅホール海洋研究所の海洋地球科学者Ken Buesselerはいう。「しかしそれにしても、これは人類史上初めての人間の手で行った放射性物資の海洋への放出だ。我々がこの語がどうなるかを評価するに足るデータを持ち合わせていない。したがっていかなる方法であれさらなる監視体制が必要である」
過去2週間は放射性ヨウ素131(半減期8日間)とセシウム137(半減期30年)を福島原発近くの海水サンプルから検出、また30KM沖合にあっても同様であった。3月末の時点では事故の前の放射線数値の一万倍を示していた。その他の放射性同位元素も長期および短期の半減期のものを含め放出された。

しかしながら海洋に放出された放射線の総量は事故によるものおよび派生的なものを含め不明である。今も続いているかもしれないし、さらなる事故が原発で発生するかもしれない。こうした不明要因はあるが千葉県にある国立放射線科学研究所NIRSはイガイや海洋生物の臓器、卵、骨についての放射性核種の蓄積監視を目的にした研究の企画を行った。また彼らは海洋環境における放射性同位元素の長期にわたるふるまいのモデル解析も行うとともに海洋生命体が被ばくする放射線全体についても解明する。「我々は多様な海洋生物のセシウムとヨウ素同位体の濃度を知る必要がある」とアオノ・タツオ海洋放射能専門家はいう。

Dominique Boustがひきいるフランスの放射能防核安全チームは福島原発からの海洋性bつに与える汚染レベルと堆積物についての推定を海水の観測から得られた値により行っている。このチームによればおよそ50種の放射性同位元素により原発から300メートルの距離の海水1リットル当たりの濃度はおよそ1万ベクレルであるという。事故の前にはセシウム137の濃度は1リットル当たり0.003ベクレルであり、ヨウ素131は検出されていなかった。こうした数値をもとにIRSNの科学者らはこの地区での堆積物のレベルは1キロ当たり1万~1千万ベクレルであると推定。魚は1万から10万ベクレル、海藻やヨウ素の取り込みを行うものにあってはキロ当たり億ベクレルを摂取したと推定している。日本の法定基準値は魚の場合セシウム137でキロ当たり500ベクレル、ヨウ素137では2,000ベクレルとなっている。

「もしこれ以上の漏えいがなければ、施設からの距離と時間の経過によりレベルは急速に低下する。しかし長期間にわたり低い量の成分は海洋環境に残存を続ける」とIRSNのThomas Hintonは語る。「影響については国際的な長期にわたる評価を行うべきである」と。コロラド州立大学の環境と放射能管理の専門家のWard Whickerは調査が有用であることを認めている, 「そのためには放出位置および遠距離地点でのサンプル収集の多大な努力が必要である」という。 「水、堆積物、プランクトン、貝類、甲殻類、海藻、魚類における放射性核種の放射線管理が必要であり、環境の健全性と合わせ監視すべきである」

しかしながら、魚、貝類、海藻などの放射性同位元素の濃度は何週間も摂取制限量を超えることになるであろうという。Whicker 氏は科学者らが海洋生物の遺伝学的放射能影響を見出すことまではできないであろうという。影響を受けた生物はたぶん太平洋に分散するか、死んでゆくからだという。

「ベつの手法として褐藻類を対象の第一とすべきと考える」とIRNS,Cherbougの放射能生態学者Bruno Fievetはいう。褐藻類Laminaria digitataは日本の太平洋沿岸に偏在しており、海水汚染による環境ストレスから身を守るためにヨウ素を吸収する。状況によっては褐藻は周囲の海水の1万倍のヨウ素濃度となることがある。「この種はヨウ素摂取の世界チャンピオンであり、その他の海洋生物の放射能の良い指標となる」とFievet氏はいう。しかしながらサンプリング作業は福島原発の危険性の残存により阻まれるであろう。「いかなる調査も歓迎される」ドイツのキールにあるライプニッツ海洋科学研究所のUlf Riebesellはいう。「しかし、自分としては危機の持続する日本でのそうした作業を自分の学生に求めることはしない」