ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

東ダム

2024-04-16 08:00:00 | 千葉県
2017年2月 4日 東ダム
2024年2月27日

東ダムは千葉県いすみ市山田の二級河川夷隅川水系上山田川にあるいすみ市水道課が管理する上水目的のアースフィルダムです。
旧大原町では1972年(昭和47年)に水道事業が認可され、その水源として1976年(昭和51年)に竣工したのが東ダムです。
当ダムと隣接する山田浄水場の完成により計画給水人口9080人となる水道事業が開始されました。
1984年(昭和59年)には第1次拡張事業により東第2ダムが完成、計画給水人口は12670人に拡大しました。
さらに1992年(平成4年)の第2次拡張事業により南房総広域水道企業団からの受水が開始され計画給水人口は2万650人まで増加しました。
2005年(平成17年)の3町合併によるいすみ市誕生に合わせて水道事業も統合され、現在はいすみ市水道課が管理を行っています。
2025年(令和7年)4月に 夷隅地域2市2町の水道事業統合が予定されており、当ダムや浄水場の運営は新たに設立される水道企業団が引き継ぐ予定です。

いすみ市水道課が管理する山田浄水場及び隣接する東ダム・東第2ダム、音羽浄水場及び岬ダムはいずれも関係者以外立入り禁止となっています。
再訪時は事前にいすみ市水道課にお願いして、職員様同行による上記施設の見学が叶いました。
掲載写真の多くは立入り禁止エリアのものとなります。
今回の見学は特例であり一般個人の立入りや見学は対応されておりません。
その点、強くご理解いただきたいと思います。
掲載写真はすべて再訪時のものです。

南総広域農道を南下し山田六区を右折すると東ダムに到着します。
こちらは東ダム南側に隣接する東第2ダムからの眺め
堤高22メートル、堤頂長175メートル
ダム下に汚泥(フロック)濃縮槽と天日乾燥床、右手高台には山田浄水場と配水池があります。

 
場所を変え左岸高台の山田浄水場からの眺め
右手が東ダム、左奥が東第2ダム

 
やや低い位置から
ダム下手前建屋が汚泥濃縮槽、その先が天日乾燥床。

 
これは右岸ダム下の仮排水路吐口
水管は水位低下放流用。

 
手前のオレンジ色のハンドルは水位低下放流のバルブ開閉用。
奥の水路は東第2ダムの洪水吐減勢部となります。
両ダムともに河川維持放流義務はなくあくまでも水位低下用の放流設備となります。

 
左岸の洪水吐斜水路

 
洪水吐導流部。

 
左岸の横越流式洪水吐。

 
上流から。


左岸湖畔にあるインクライン
今は使用されておらず厳密にはインクラインの遺構。

 
天端からダム下を見下ろすと
先述した汚泥濃縮槽と天日乾燥床が並びます。

 
天端と山田浄水場・配水池
高台に並ぶ建屋はまるで近世の山上城郭のよう
月山富田城!!

 
上流面はロック材で護岸
総貯水容量は45万立米。
ダム便覧には流域面積5.2平方キロのうち4平方キロが間接流域となっていますがこれは誤りで、東ダムについてすべて直接流域からの集水となっています。

 
取水塔
取水口は4段の多段式で、それぞれの操作用のハンドルが4つあります。
山田浄水場では東ダムと東第2ダムから交互に取水し、取水口の開閉は縮員さんが手動で行います。

山田浄水場では日量4000立米の水を浄水・配水しており、そのすべては東ダムおよび東第2ダムから取水しています。
いすみ市全体では配水量の約5割を南房総広域水道企業団から受水していますが、山田浄水場に関しては自己水源からの取水で賄っています。 
最後に特別のご配慮で見学要請に応じていただいたいすみ市水道課および職員様には厚く御礼申し上げます。
 
0672 東ダム(0829)
千葉県いすみ市山田
夷隅川水系上山田川
22メートル
175メートル
450千㎥/406千㎥
いすみ市水道課
1976年