最初の一冊~松村比呂美

自著の宣伝のために始めたブログですが、今では、風景や食べ物の写真が主になっています。

『ねこ町 駅前商店街 日々便り』 柴田よしき(著)

2017-11-14 | 小説
柴田よしきさんの新刊、『ねこ町 駅前商店街 日々便り』(祥伝社)を読了しました。


離婚してふるさとに戻った愛美。
ふるさと根古万知は、「ねこまんち」と読むのが正しいのに、地元の人たちも「ねこまち」と呼んでいます。
そんなねこまちの、大好きだった商店街が、今やシャッター通りとなり、増え続ける赤字で鉄道までが廃止の危機に。
誰もが、もう過疎化は止まらない、この町は終わりだ、と諦めかけていたときに現れた一匹の猫。
はたして、猫は町の救世主となるのか。

でも、昔の賑わいを取り戻すのは簡単なことではありません。
このまま静かに暮らしたい、という反対派の心情もわかりました。
町興しのアイデアは、突飛なものではなく、地に足がついていて、それでいて、ほかでは聞いたことがないものばかり。
応援しながら読んでいるうちに、住人のひとりとして、町興しのプロジェクトに参加しているような気持ちになっていました。
やるだけのことはやろう、諦めるのはそれからだ。
猫が与えてくれたのは、やる気と、行動する力だったのかもしれません。

手にしたときに、温かいなあと思った装丁は、緒方修一さん、装画は那須香おりさんです。

456ページと、読み応えたっぷりなのに、ああ、もう終わってしまう、もったいない、と思いつつ読み終えました。
もちろん、町興しだけの物語ではありません。
登場人物たちのそれぞれの物語が胸に染み入って、切なくなったり、温かい気持ちになったり、元気が出てきたり。
ぜひ、読んでいただきたい一冊です。


既刊本等はここにまとめています。
勝手ながら、コメント、トラックバック機能はOFFにしておりますので、
ご意見などは、下記のメールアドレスまでお願いします。
hiromi20050115@yahoo.co.jp