27日から国会で衆院予算委員会が始まったが、野党は「桜を見る会」や「辞任した2閣僚の説明責任」、それに「IRをめぐる収賄」などで安倍首相に集中砲火をあびせる形で攻め立てている。さながらレームダックの安倍首相を辞任に追い込む情勢ともなっている。自民党内には「桜は散った」(二階俊博幹事長)と幕引きを図りたい声も出ているが、どっこい野党議員の追及は日ごとに厳しくなっており、安倍首相も防戦一方で、時には言葉に詰まる場面も見られ、久しぶりに国会論戦がマスコミ各社はもちろん国民の注目を集め始めてもいる。
「桜を見る会」について、安倍事務所が参加者に対して功績、功労の旨を記すことなく、周りに広範に参加を呼びかけてほしい旨の文書を配布していたことが明らかとなった。しかも内閣府が総理大臣、官房、諸官庁から推薦された人物を篩いにかけて審査したうえ、3月に正式な招待状を発送する前に安倍事務所が地元後援会の参加希望メンバーに案内状を送っていた新たな事実も判明した。予算委員会でのこうしたやりとりのなかで、安倍首相は「地元後援会の桜を見る会への参加ツアーの主催は後援会ではなく旅行代理店である」とのありえないことをぬけぬけと語った。ホテルニューオータニでの前夜祭パーティを主催したのはホテルである、と言い張っていることから、そんなありえないことを言い出したのだろう。政界の事情にうとい旅行代理店がどうして桜を見る会のツアーを主催できるのか、事情を知っている人なら即座に「そんなおかしなことはない」と思うに違いない。
これら一連のやり取りのなかで安倍事務所が後援会メンバーに「桜を見る会」への参加を募ると記しているのを「募集」と言ったのを安倍首相は「募集ではない」と答え、議場の失笑を買った。小学校の国語の勉強をしていなかったことが暴露されたわけでお粗末な場面であった。安倍首相は以前からAを聞かれたらBと答え、Cを聞かれたらDと答える詭弁を呈しているが、この背景に小学校の国語程度の学力すらないことがはっきりとしたことになる。
また、「辞任した2閣僚」問題では河井元法相の妻である河井案里参院議員の昨年7月の参院選での法外な1億5000万円もの金が自民党から選挙資金として拠出されたことが大きな問題となっているが、総務省によると、法定の選挙資金の上限が広島県の場合、約4300万円と規定されていることも明らかとなった。野党の議員はそれがいかなる問題であるかは追及しなかったが、上限の3倍以上の額を選挙に使用したのは大きな問題であり、その法的処置がいかなる取り計らいになるのか、注目される。河井案理陣営には選挙前から安倍事務所の幹部が応援にかけつけ、なにかとアドバイスをした、ともいう。安倍首相が一議員の立候補者にかくなる異例な応援をしたこと、さらには安倍首相自らも選挙応援にかけつけたのも周知の事実で、法定を超える金額を投じて議席を勝ち取ったことは政界にいかなる波紋を投げかけるのだろうか。
さらに、「IR収賄」はいまだに真相の解明が進んでいないが、安倍首相が数年前に渡米し、トランプ大統領と会談し、マイアミで米国の財界人15人くらいと懇談した際にIR関係で全世界にカジノ施設を展開しているラスベガス・サンズのシェルドン・アデルソン会長ら3人のIR関係者がいた、という。アデルソン会長はトランプ大統領に22億ドルの献金をしている、とも言われており、安倍首相は度々のトランプ大統領との会談でIRについての要請を受けている、と見るのは客観情勢からいって不思議なことではない。
米トランプ大統領はいま米上院での弾劾に遭っており、その証言にボルト前大統領補佐官が登場するかどうかが焦点となっているが、そのボルトン氏が出版した本のなかで、トランプ大統領は安倍首相のことを「与しやすい<軽い人」と語っている、という。トランプ大統領のポチとしてふるまっている安倍首相が少しも重んじられていないことが判明したわけで、今回の予算委員会でのやりとりから見て、日本国民もいい加減に安倍首相の底の浅さに気が付くべきだろう。国会での安倍首相への追及は今後とも激しく行われるだろうが、土俵際に立ちつつある安倍首相をさらに土俵の外に追い出してほしいものだ。