18日は先月末に東京・日比谷にオープンしたばかりの日比谷ミッドタウン4階にあるTOHOシネマズで米アカデミー賞で主演男優賞、メーキャップ賞を受賞した「ウインストン・チャーチル~ヒットラーから世界を救った男」を観賞した。上映ぎりぎりに飛び込んだため、一番前の座席だったが、ヒットラーに対抗して英国のみならず西欧を立ち上がらせたty-シルの雄姿を見事に描いた傑作で、感動した。安倍首相がこの映画を見たというが、あまりにも違う姿に恥ずかしいとおもわなかったのだろうか。
「ウインストン・チャーチル」は第2次世界大戦が始まってヒットラーの欧州大陸制覇が一挙に進んだ1940年5月、英国のチェンバレン首相はなす術がなく、辞任に追い込まれ、保守、労働党が合同して海軍大臣のチャーチルに首相の座を譲ることとなった場面から始まる。チェンバレンは当初閣僚のハリファックス子爵を後継に推すが、本人が辞退し、挙国一致の形でチャーチルに委ねられることとなった。歯に衣きせね発言をしてきたチャーチルについては疑問を抱く向きも多く、国王のジョージ6世への就任挨拶もギクシャクとしたものとなり、国王とは毎週月曜日にランチを共にすることとなった。
就任早々にフランスに上陸した30万人の英国陸軍がヒットラーの攻勢を前に絶滅寸前となり、カレーに居を構えていた4000人の英国軍が独軍に歯向かうことで、その間に本国へ退去することとなった。しかし、カレーの4000人の英国軍も風前の灯で、ハリファックスがずっと主張してきたイタリアのムッソリーニが提案してきているヒットラーとの停戦交渉に乗り出すことを一度は了解する。その条件は英国の主権が確保されるのなら、という前提で進めていこう、というものだが、ヒットラーが必ずしもそれを認めてくれるものかは保証の限りではない。チャーチルは英国の誇りが失われてしまうのではないか、と悩みに悩む。
そんな悩みに打ちひしがれているある夜、チャーチルの自宅になんとジョージ6世が訪れてきて、英国の栄光を捨てないでくれ、ドイツとの交渉など行わないでくれ、と言う。そしてチャーチルにロンドンの街中で国民の声を聞くように勧める。その翌日、閣議に赴く車のなkで、街行く人々を眺めていたチャーチルはふと車を降りて、街中に歩き出し、地下鉄に乗り込む。首相の姿を目にしたロンドンっ子は驚くが、そのうちにチャーチルと話し始め、チャーチルが「ロンドンにナチスの旗が翻っていいのか」との問いに明確に「ノー」と口をそろえて答える。英国市民の声を聞いたチャーチルはそのまま議会に行き、下院の閣外大臣らを招集し、「ナチスの軍下に下っていいか」と聞き。ここでも「ノー」という言葉を聞く。
そして、チャーチルは下院で「ドイツとの交渉はしないし、あくまでも戦う」ことを大々的に宣言し、全員の力強い支持を取り付ける。これで、勢いを取り戻した英国陸軍は英国に無事生還し、ドイツ軍への逆襲を繰り広げていき、ついには米国軍の協力を得て、ドイツを下すことに成功する。映画はそのあたりは字幕で知らせるだけで、映画としてはフランスに上陸した英国陸軍30万人を無事に救出したところで終わる。
国を守るということはこういうことか、と思い知らせてくれる感動的な映画である。原題は「ダーケスト アワー」で最も暗い時代というもので、日本名の「ウインストン・チャーチル~ヒットラーから世界を救った男」のがわかりやすい。一国の首相たるもの、こうでなくては、と思わせてくれる映画でもあった。それにしても米トランプ大統領にしっぽを振りまき、挙句の果てに自国の最重要課題である北朝鮮の日本人拉致問題の解決をそのトランプ大統領に頼むなんてことをシャーシャーとやってのける安倍首相はチャーチルの足元どころか、百歩下がっても及ばない。爪の垢でも煎じて飲むといい、と思わざるを得ない。こんな首相を抱く日本人は本当に不幸だ、と思った次第。