鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

ヒットラー率いるドイツ軍に敢然と戦った英ウインストン・チャーチルの足元にはるかに及ばない安倍首相。爪の垢でも煎じて飲むといいい

2018-04-18 | Weblog

 18日は先月末に東京・日比谷にオープンしたばかりの日比谷ミッドタウン4階にあるTOHOシネマズで米アカデミー賞で主演男優賞、メーキャップ賞を受賞した「ウインストン・チャーチル~ヒットラーから世界を救った男」を観賞した。上映ぎりぎりに飛び込んだため、一番前の座席だったが、ヒットラーに対抗して英国のみならず西欧を立ち上がらせたty-シルの雄姿を見事に描いた傑作で、感動した。安倍首相がこの映画を見たというが、あまりにも違う姿に恥ずかしいとおもわなかったのだろうか。

 「ウインストン・チャーチル」は第2次世界大戦が始まってヒットラーの欧州大陸制覇が一挙に進んだ1940年5月、英国のチェンバレン首相はなす術がなく、辞任に追い込まれ、保守、労働党が合同して海軍大臣のチャーチルに首相の座を譲ることとなった場面から始まる。チェンバレンは当初閣僚のハリファックス子爵を後継に推すが、本人が辞退し、挙国一致の形でチャーチルに委ねられることとなった。歯に衣きせね発言をしてきたチャーチルについては疑問を抱く向きも多く、国王のジョージ6世への就任挨拶もギクシャクとしたものとなり、国王とは毎週月曜日にランチを共にすることとなった。

 就任早々にフランスに上陸した30万人の英国陸軍がヒットラーの攻勢を前に絶滅寸前となり、カレーに居を構えていた4000人の英国軍が独軍に歯向かうことで、その間に本国へ退去することとなった。しかし、カレーの4000人の英国軍も風前の灯で、ハリファックスがずっと主張してきたイタリアのムッソリーニが提案してきているヒットラーとの停戦交渉に乗り出すことを一度は了解する。その条件は英国の主権が確保されるのなら、という前提で進めていこう、というものだが、ヒットラーが必ずしもそれを認めてくれるものかは保証の限りではない。チャーチルは英国の誇りが失われてしまうのではないか、と悩みに悩む。

 そんな悩みに打ちひしがれているある夜、チャーチルの自宅になんとジョージ6世が訪れてきて、英国の栄光を捨てないでくれ、ドイツとの交渉など行わないでくれ、と言う。そしてチャーチルにロンドンの街中で国民の声を聞くように勧める。その翌日、閣議に赴く車のなkで、街行く人々を眺めていたチャーチルはふと車を降りて、街中に歩き出し、地下鉄に乗り込む。首相の姿を目にしたロンドンっ子は驚くが、そのうちにチャーチルと話し始め、チャーチルが「ロンドンにナチスの旗が翻っていいのか」との問いに明確に「ノー」と口をそろえて答える。英国市民の声を聞いたチャーチルはそのまま議会に行き、下院の閣外大臣らを招集し、「ナチスの軍下に下っていいか」と聞き。ここでも「ノー」という言葉を聞く。

 そして、チャーチルは下院で「ドイツとの交渉はしないし、あくまでも戦う」ことを大々的に宣言し、全員の力強い支持を取り付ける。これで、勢いを取り戻した英国陸軍は英国に無事生還し、ドイツ軍への逆襲を繰り広げていき、ついには米国軍の協力を得て、ドイツを下すことに成功する。映画はそのあたりは字幕で知らせるだけで、映画としてはフランスに上陸した英国陸軍30万人を無事に救出したところで終わる。

 国を守るということはこういうことか、と思い知らせてくれる感動的な映画である。原題は「ダーケスト アワー」で最も暗い時代というもので、日本名の「ウインストン・チャーチル~ヒットラーから世界を救った男」のがわかりやすい。一国の首相たるもの、こうでなくては、と思わせてくれる映画でもあった。それにしても米トランプ大統領にしっぽを振りまき、挙句の果てに自国の最重要課題である北朝鮮の日本人拉致問題の解決をそのトランプ大統領に頼むなんてことをシャーシャーとやってのける安倍首相はチャーチルの足元どころか、百歩下がっても及ばない。爪の垢でも煎じて飲むといい、と思わざるを得ない。こんな首相を抱く日本人は本当に不幸だ、と思った次第。

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国際情勢緊迫化でジョージ・オーウェル作の「1984」が改めて注目されている

2018-04-14 | Weblog

 14日は東京・初台の新国立劇場でジョージ・オーウェル原作の演劇「1984」を観賞した。世界的にロシア、中国で独裁的国家が出現し、独裁制がはびこり始めているなか、独裁国家の出現を皮肉ったジョージ・オーウェルの「1984」が改めて評価されている風潮にあやかって、今年度から新国立劇場の演劇監督に就任した小川絵梨子が演出を手がけた注目の作品である。そのせいか、会場は満員で、期待の高さがうかがえた。

 演劇「1984」は世界がオセアニア、ユーラシア、イースタシアの3つの国に分割され、主人公ウインストンが生きるオセアニアではビックブラザーが率いる党のもとに市民の思想、言語、行動などすべての行動が監視されていて、そんななかウインストンは自らの思いを記録にとどめることで、後世へあるべき体制を築くうえでの資料をすることを決意し、他の党員がミーティングを開く横で必死になって、思いをメモにとっていた。そrtでも他の党員たちはなにかとウインストンに話しかけたり、一緒に党員活動をしよう、と誘ってきて、いやいやながら従ってきた。そんななかで、女性党員のジュリアとはなんとなく話が合いそうな気がして、いつか話しかけよう、と思っていて、ある日、ふとしたきっかけで話をすることができ、他の党員に見られない郊外で逢うこととなった。

 そこで、ウインストンはジュリアと二人きりで、話すうちに打ち解けて思いをぶつけ、愛し合うようになり、その後も機会を見つけ、急速に仲を深めていくこととなった。その間にもオセアニアは他国と戦争をし、勝利を得て国中がお祝いムードに包まれたり、ウインストンが司令官のオブライエンから目をかけられ、読むようにと本を紹介されたりし、オセアニア国の統制が緩むことはなかった。

 そんなある日、ウインストンとジュリアは仲間から知らされた秘密の部屋、101号室でいつものように幸せな時間を過ごしていたら、幹部に知られるところとなり、叛逆行為を行ったとして逮捕されるに至ってしまう。牢獄に連れられてしまったウインストンに対し、オブライエンは党の意向に従わないとウインストンを責め、。そして指を立てながら、「2足す2は?」と尋ね、答えを聞くと、今度は「党は2足す2は5としている。そこで、改めて2足す2は?」と尋ね党の決定に従うように促すが、ウインストンは頑として応じない。オブライエンはその都度、肉体的 な責めを強化していく。そしてウインストンは最後には自ら正体をなくし、ジュリアをも裏切ることとなる。

 後日、オブライエンはいつものように集会室で党員がミーティングを開く横でメモを取っている。そこへやってきたジリアがコップに水を灌ぐと、「ウインストンが「僕は君を裏切った」と謝るが、ジュリアは「私にとって大切なのは自分に関することだけ」と言って、逆に「気分が悪いの?といなす。党員のミーティングは「2050年より前に党は確かなことは何も言えない。ウインストン・スミスはいなかった」と言って散会する。これを窓越しに見ていたオブライエンの姿を見つけたウインストンは「ありがとう」と頭を下げたところで、幕となった。

 主演の井上芳雄とともさかりえの力演が目立ったが、オブライエン役を務めるはずだったろう大杉連が急逝したため、配役の変更があったせいか、どこか消化不良のような面もみられような感じがあった。ただ、要所要所で場面を壁に映し出した映像で展開するところが斬新な印象を与えていた。プーチンロシア大統領や習近平中国主席だけでなく、トランプ米大統領はもちろん北朝鮮の金正恩労働党委員長にも見てもらいたい、と思った次第。

 

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