米トランプ大統領は今回のコロナウイルスの発生源は中国であるとして事あるごとに中国への非難を発していおり、来月中旬に米国での開催が予定されているG7首脳会議をワシントンで開き、先進国首脳に同意を求求めたい意向のようである。これに対し、トランプ大統領のポチと目される安倍首相は真っ先に参加を表明したが、いまだに衰えていないコロナウイルスの脅威で、各国が海外からの渡航者、および帰国者に対しおおむね2週間の隔離を強いており、米国への入国には2週間待機したうえ、帰国にあたっても本国で2週間隔離しなければならない状況にある。だからG7の首脳とはいえ、このバリアーは避けて通れず、わずか1、2日の米国滞在を強行するには約1カ月の政治的空白を強いられることになる。
日本政府(のだれかはわからないが)は米国で2週間の隔離が行われるかどうか不明のなかで、G7会議への参加を表明した安倍首相が寄帰国した際には2週間の隔離を行うことを決めたようである。黒川前東京検事長の麻雀賭博問題で「訓告」といおう軽い処分を決めたのが一体だれなのか、をめぐって再び国会で紛糾しており、安倍首相の支持率は過去最低の20%台に落ち込むなどここへきて安倍首相は辞任寸前にまで追い詰められており、安倍首相が公務を1カ月離れることになったとしても、なんら支障はない、とでも判断sれたのであろう、と推察される。史上最長の内閣を誇った安倍首相の存在感はもはやなくなってしまった、といってもいいであろう。
先進国のなかで最も早くG7会議への参加を表明した安倍首相は世界にトランプの”ポチ”であることをさらけ出したが、ドイツ、イギリス、フランス、イタリア、カナダの首脳が果たして参加するかどうかは疑問符が付く。約1カ月も公務を離れるようなことが許されるのだろうか。各国とも一時のようなパンデミック状態は脱しつつあるが、いまなお警戒の手は緩められない状況にあり、仮に米国が渡航者に対する隔離に特例の措置を取ったとしても帰国して2週間の隔離をないものにすることはできないことだろう。
25日の緊急事態全面解除の記者会見で安倍首相は「10万人あたり感染者は0.5人以下、1万人近くいた入院患者数は2000人以下となり、コロナウイルス防止は全面的にクリアーし、1カ月半で収束させることができ、日本モデルの力を示した。人口当たりの感染者数は圧倒的に少ないと世界中から注目を集めている」と語ったが、そんれをもたらしたのは国民すべてが自らの行動を自制して感染が広がらないように努めたからであって、安倍首相はじめ政府の指示なり、施策が適切であったからでは決してない。安倍首相は口では「コロナウイルス退治に全力を尽くす」と言いながら心のうちでは憲法改正や黒川前東京高検検事正の人事を画策することに懸命であった。
挙句の果てに尻尾をふりふり米トランプ大統領のご機嫌取りにワシントン詣でをしようと懸命である。本来の使命である”国民の生活と命を守る”ことなど頭の片隅にしかないのであろう。仮にイギリス以下他の先進国首脳が参加を見送って、たった1人になってもトランプ大統領のもとにはせ参じるのであろうか。日本のトップたる総理大臣がこんな時期に評判の落ちたトランプ大統領の膝下に屈する姿を見せつけてもらいたくないものである。国内で評価が上がらないトランプ大統領の中国牽制劇に付き合うとはとんだ国際的な恥さらしではなかろうか。
追記(31日)米トランプ大統領はドイツのメルケル首相からG7首脳会合への参加を断られたので、30日になって「G7は時代遅れ」と言い出し、9月以降に新たに「ロシア、韓国、インド、オーストラリアの首脳を交えたG11とでもいう会合を開きたい」と言い出した。中国を交えて対中国非難をまとめようとでもいうのだろうか。なんとしてでも11月の米大統領選への好材料でも引き出したい、とでも思っているのだろうか。実際に顔を突き合わせなくてもテレワークでもできるのに、あえて開催しようというのは理解できない。およそ外交の何たるかを知らない子供の思惑を存分にぶつけている、そんなトランプ大統領に安倍首相は尻尾を振って寄り添って、お互いレイムダックに追い詰められていることを慰めようとでもするのだろうか、いい加減にしてほしいものだ。