29日、東京都の都議会本会議の傍聴に出かけたところ、議庁舎1階の入り口で、「本日は傍聴はできないことになっています」とのことだった。議会は開いているので、中継画面、もしくはオンラインでやり取りを視聴することはできる、ということだったが、やはり生の状況を見たいので、すげなく帰ってきた。コロナウイルスの感染拡大を防ぐためのようだが、来月1日からのゴーツートラベルで東京発着のものが解禁されるということなので、まさか都議会が傍聴できなくなっている、とは思いもしなかった。
帰ってから東京都のサイトで確認したところ、今回の令和2年第3回都議会はこの18日から開催されており、その2日前の16日付けで、コロナウイルス対策の一環として都議会の傍聴を遠慮いただく、と明示していた。この秋の地方議会では横浜市議会も川崎市議会も、神奈川県庁も市民の議会傍聴は前回通り、可能だったので、東京都だけが議会の傍聴を許さないとは思わなかった。
東京都のコロナウイルス感染者数は100人から200人台で全国では断トツに高水準を保っているものの、昨日は休み明けだし、PCR検査が3000件余だったせいもあって78人と今月に入って最低を記録した。ただ、29日の感染者数は212人といまだに要注意段階ではあることを示している。それでも政府はゴーツートラベルに引き続いてゴーツーイート、ゴーツートラベル、それに海外への入出国についても緩和の方向を打ち出しており、一挙に経済の活性化へ舵を切り始めている。
それに逆らって東京都はコロナウイルス感染はまだ拡大中と判断して、都議会の傍聴を許さなかったのだとしたら、小池知事は以前から感じているのだが、コロナウイルス退治に対してこれといった対策はほとんど取っていない。東京都医師会が再三にわたって警告しているのに毎日、感染者数を発表するのに感染者の年代がどうのこうのと言って、「引き続き3蜜を避けて下さい」と宣うだけで根本的な対策を打ち出さない。相変わらず、東京版CDCを創設すると力んでいるが、現場を一向にその気を見せようともしない。
都議会の係員に「傍聴させないのを決めたのは小池さんですか」と聞いたら、首をかしげていたが、間違いなく決めたのは小池百合子知事であるのは間違いないところだろう。29日は都議会第1党の都民ファーストを皮切りに自民、公明、立憲民主党、共産各派の代表者が代表質問を繰り広げることになっていた。、毎回、冒頭の都民ファーストの質問は小池知事に阿いたもので聞くに耐えない内容のものであり、反小池路線の自民党の質問が面白いのだが、今回はなにか爆弾的なものでもあったのか、と訝れる。まあ、来年7月には都議会議員選挙があり、都民ファーストの会の議員の大半が議席を失うのは確実で、それを見越していろいろ思惑が錯綜しているのだろう。ともあれ、小池知事には都議会を市民に公開したくない、なにかがあるのだろうか。
小池知事は常にオープンであることを広言しており、開かれた都政を標榜している。なのに周りの神奈川県庁、横浜市議会などは議会の傍聴を許しているのに、都議会だけが閉鎖しているのは何としても納得がいかない。なぜなのか、今週末の10月2日の知事の定例記者会見ではその理由を明らかにすべきだろう。
追記(令和3年2月25日)東京都議会の本会議一般質問の傍聴に出かけたが、今回も緊急事態宣言下を理由に傍聴を拒否された。前回は図書館での補正関係予算の資料の閲覧は許されたのだが、今回はそれもダメということだった。今回も同じく緊急事態宣言下にある神奈川県、横浜市、川崎市の議会は傍聴を認めている。独裁政治を行っている小池知事の独断なのだろうが、これだけコロナウイルス感染が収まっているのに相変わらずの自らのパフォーマンス優先の姿勢は変わりないということなのだろう。いまさら、その姿勢は変わらないのだろうが、いずれ都民から見放される時が来ることを期待したい。