中国の習近平国家主席の動向が注目されている。中国各地で白色革命ともいうべき中国国民の反政府運動が広がり始めているからだ。発端はコロナウイルスの感染が3年前に中国・武漢で見つかって世界に広がっているためか、習近平主席は早くからゼロコロナ政策を打ち出し、1人でも感染者が見つかるとその地域を封鎖し、市民に閉塞な監禁ともいえる生活を強いることで、感染拡大を阻止してきた。3年経って中国がコロナの封じ込めに成功したか、と見られていたところ、またまた北京市内でコロナ感染が3万、4万人と広がりつつあることから、習近平主席は都市封鎖に乗り出し、もう堪らないとばかり、中国市民が一斉に反ゼロコロナに立ち上がり、それが反習近平の様相を呈し始めたのだ。
中国はついこの10月に開かれた第20回中国共産党大会で、次の5年間の政治の方針を決め、習近平主席を引き続き国家主席とすることを決めたばかりで、党の首脳もほとんど習近平主席の息のかかったメンバーばかりを選出した。こうした習近平の独裁ぶりもあって、反ゼロコロナ運動が反習近平にもつながったものと見られる。中国全土で若者を中心に広がる”白色革命”ともいえる市民運動は反ゼロコロナ、反習近平を謳うものの、実際にそれを表記して掲げると反政府活動を見られ、官憲に逮捕されかねないとして、何も書いていない白色の紙を手に持って振ることで、訴えていることから白色革命と言われているようだ。
こうした運動は北京のとある建物でコロナウイルス感染者が発生したことから、その建物が封鎖され、逃げ出そうとした住民を出ないようにしたことから、10人の死者が発生したことから中国政府の強権的な押さえつけに反して一斉に市民が立ち上がったことがきっかけだとされている。強権的なゼロコロナ政策に反対を唱える市民にかねて独裁的な志向を強める習近平主席に異を唱える市民が加わり、反政府、反習近平を唱えだしたのが真相なようである。
習近平主席はかつての胡錦涛主席を党大会で露骨に斥けるような姿勢を見せるなど中国政府内でやり過ぎだとの声が出るほどで、今回の白色革命に対する対応次第では政権の座を揺るがすような事態に陥るようなことも十分に考えられる。
世界の工場と言われ、グローバルなサプライチェーンを構築してきた中国はいまはゼロコロナ政策の影響でサプライチェーンに罅が生じているような状況で、おかげで中国の経済成長も赤信号がともり始めている。そうなれば米国に次いで世界第2の経済大国の行く末も危うい状況にもなりつつある。中国経済に赤信号が灯れば、世界経済にも大きな影響を及ぼすのは間違いないが、中国にとっても大きな痛手をもたらすのは間違いない。
これらすべてが習近平主席が譲ろうとしないゼロコロナ政策にあるのは確かなことで、まずはウィズコロナの政策に舵を切ることが何よりも求められている。そのうえで、中国として今後の経済成長政策をいかに立てていくか、内外にはっきりと示すべきである。