東京都のコロナウイルス感染者数は27日、4227人と今週に入ってから5日連続前週の数字を下回って、一見感染者数はピークを迎えた感があるが、どっこい重症者数は一挙に前日より18人増えたうえ、死者数も18人とこれまでより大幅に増えており、いよいよ医療崩壊への道を確実に辿っており、決して楽観視できる状況にはない。しかも東京パラリンピックを開催している関係からか、このところの東京都のPCR検査数は3日平均で2万件を切る状況で、27日に発表された前3日間の平均検査数は1万5436件と大幅に少なく、これによる陽性率は27.3%もの高い数字となる。小池知事が感染者数を抑えるためにPCR検査数を意図的にしぼっているのではないか、と見る向きさえ出ている。
それ以上に27日に東京都渋谷区勤労福祉会館で実施された若年層向けコロナワクチン接種が事前に予約不要と謳ったため、前夜から徹夜で並ぶ若者が出るなど大量の人がつめかけ、ほとんどの人が接種を受けられずすごすごと帰宅の途に就いた、という。なかには「意味がない」と怒りの声をあげる若者もいた、という。今年初めから医療関係者を皮切りにコロナウイルスのワクチン接種が始まったが、多くの会場で予約がとれない、といった声が起きて、ワクチンを受けられない人が数多く出た、というのにこの不手際は全く許されない。
数週間前に小池知事が若者向けにワクチン接種を行う、と表明したが、予約不要と宣言したので、都内でそんな大きな会場があるのかな、と疑問に思っていた。よく聞くと当初の1日の接種数は200だったようで、急遽これを300に増やした、というが、それでも午前7時半には受付を終了した、という。都心でやる以上は少なくとも1日1万件は接種しないととても追いつかない、と思わなかったのが不思議なことである。ワンマンで都政を仕切っている小池知事のもとにはそんな初歩的なことすら気が付かない部下ばかりなのか、とても進言しても受け付けてもらえない、と諦めきって仕えている無能な部下ばかりしかいないのか、どちらにしても褒められたことではない。東京都は明日28日から「抽選制にする」ということだが、基本的にはまずはワクチンの数量を大幅に増やすことが先決だろう。
もっとも小池知事は心中それどころではないのだろう。公明党の国会議員が環境で政界に出入りしていたベンチャー企業の代表から賄賂を受け取ったことで検察の捜査を受けているが、その企業トップと最も親しかったのは小池都知事だった、との噂が流れており、その事情聴取に小池知事も検察に呼ばれた、ということである。それが7月の都議会選挙前のことで、小池知事が体調不良で雲隠れした時期と重なり、検察からの事情聴取をごまかすために体調不良で休養した、ということが取りざたされている。
しかもここへきてにわかに自民党総裁選が来月29日にも執り行われることが本決まりとなり、小池知事も二階幹事長のもとで、その一翼に名を連ねるのではないか、との政界筋でささやかれるような様相となってきて、小池知事の一挙手一投足にもなにかと注目が集まるような情勢となってきて、小池知事の心ここにあらず、といった様相になってきた。もちろん、小池知事がその中に入るには都知事を辞めないといけないが、年齢からいっても最後のチャンスといえなくもない。ここでそんなことをすれば、コロナウイルスから逃げ出した、と言われるのは間違いないが、だからといって今後の政治生命を考えたら一歩も後へは引けない、との感じにもなるだろう。最後は知事にとどまる道しかないと思われるが、そこへたどり着くまで二転三転するのだけは間違いないところだろう。
追記(30日) 小池知事はその後、受付を抽選制に変えたが、抽選券をもらうのに並び、接種を受けるのに再び並ぶ過大な負荷を若者らに押し付けている。河野ワクチン担当大臣が「なぜネットでの受付をしないのか」と疑問を投げかけているが、本当、いまどき抽選券をもらうのに並ぶという前時代的な手法を取るというのは解せない。まさか、東京都にはネットで受け付けるという考えがないのか、信じられないことである。それと1日にわずか300件程度の接種というのも理解できない。小池知事のパフォーマンスはこの程度のものなのだろう。