29日行われた自民党総裁選はほぼ事前の予想通り、岸田文雄前政調会長が河野太郎行 政改革相らを下し、自民党総裁の座に就くことが決まった。第1回目の投票から事前の予想を覆す地方票を110票を獲得し、国会議員票の146票と合わせ256票となり、河野氏の255票を1票上回りトップとなり、その勢いのまま決戦投票では地方、党員票合わせて257票を獲得し、完全な勝利を得た。河野氏の”変人”ぶりが自民党議員の間に理解されなかったようで、冷静に考えれば候補者4人のなかでやはり岸田氏の総合力が一歩上をいったと言えそうだ。
これで岸田氏は来週4日の臨時国会で第100代首相となるが、それまでに幹事長はじめ党役員、閣僚の顔ぶれを決めなくてはならないが、そのなかで最も注目されているのが二階幹事長を後任と官房長官をだれにするか、ということだ。幹事長は来る衆院総選挙の舵取りをする重要なポストで , 官房長官は首相の右腕といわれ内閣の要と言われている。総裁選で争3人の候補者をなんらかポストに処遇する意向が伝えられているが、河野氏をどう配置するのかによっては岸田内閣の評判を損ねることになりかねない。
また、今回の総裁選では安倍 麻生両氏の暗躍があり、かつては安倍氏が岸田氏を後継に考えたこともあって、岸田氏が今後どうするにしろ、安倍・麻生氏の意向を考慮せざるを得ないことは十分に考えられる。岸田氏は思想的には保守系レフトに位置すると見られているが、安倍・麻生氏に忖度するような局面が出てこない、ともいえなくもない。現にかつて安倍氏の意見番だった今井尚夫氏がいま岸田氏の側に仕え、重要な役割りを担っている、というからあり得ないことでもない。
国民の間にはこの8年強、安倍、菅の両政権の時代、ずっと政権の欲しいままに政治が行われてきて、知りたいことも知らされず、聞いてもはぐらされてきて、政治が遠い彼方にあった感じがぬぐえないのである。真に国民のための政治を行ってほしい、というのが願いである。
その意味でも安部・菅政権の負の遺産である森友・加計問題、 桜を見る会、それに日本学術会議の認されなかった6人の会員をどうするのか、といった問題の処理が岸田新首相には課せられてる。こうした問題の処理を誤ると自民党の体質は変わらない、といった受け止めが国民の間に広まり、新首相への評価がガラッと変わることっとなる。