鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

我が国のデジタル社会にとって露呈した2つの危機ー-半導体不足と国際サイバー犯罪集団対策

2021-11-28 | Weblog

 27日夜のTBSテレビの「ニュースキャスター」で、このところのコロナウイルス感染禍の下で、世界で半導体不足が起きて、自動車生産が滞っているのは知られた事実であるが、いま全国的にガス給湯器が品不足になっている、と伝えていた。急に寒波がやってきて、ガス給湯器の故障が増えているが、ものがないため、交換を頼んでも来年春にならないと対応できない異常な状態をきたしている、という。また、今朝(28日)の朝日新聞は一面トップで、徳島県西部の人口8000人のつるぎ町の町立半田病院が国際的サイバー集団によりコンピューターウィルスに仕掛けられたウィルスに冒され、一切の電子カルテが使えなくなり、未曾有の脅威にさらされている、と報じている。いずれもデジタル社会のいわば落とし穴ともいえる象徴的な事件で、今後こうしたことが相次ぎそうなことをうかがわせる。

 半導体不足は世界的な現象で、かつてはこの分野では世界のトップをひた走っていた日本がいまや、台湾、韓国のはるか後を追うどころか、ほとんどの半導体を輸入に頼っている始末で、なんとも情けない事態に陥っている。半導体はなにもガス給湯器だけに使われているものではなく、テレビ、電気洗濯機はじめほとんどの家庭電器はいうに及ばず、各種の産業機材に広範に使われており、今後、半導体の供給不足はいろいろな製品、機器に広がっていく恐れは十分になり、たまたま季節柄、注目されたガス給湯器に続いて同じように供給不足になっていく製品、機材が出てくることは十分に考えられる。

 政府は半導体不足に対して台湾の大手半導体メーカー、TSMCが日本に半導体工場を新設する計画に出資することを決めているうえ、半導体生産の国策会社を設立方向で検討を進めているが、いずれも2~3年後に実現する見通しのもので、当面の半導体の供給不足に間に合うようなものではない。現下の半導体の供給不足に対する対応策としてはいまのところ、これといったものは見えていない。いまこそ、通商産業省は10年後、20年後を見すえた我が国の半導体産業の将来ヴィジョンを一刻も早く立案し、実行に移すべき時だ、と切に思う。

 冒頭の徳島県下の町立病院のコンピュータウィルスに対しても当の病院の事業管理者はサイバーテロ対策本部を立ち上げ、ただちに異常事態宣言を発し、まずは最低限の診療を行うことにしたが、中身は手作業で日常業務を行うことでしかないようだ。コンピュータウイルスを送り込んだ国際的なサイバー犯罪集団は自らを「Lock Bit」と名乗り、「あなた方のデータは盗まれ、そして暗号化された」、「盗まれたデータは公開されるだろう」と言い、いずれ暗号化されたデータの復元と引き替えに金銭を要求するランサムウェア(身代金ウィルス)攻撃を仕掛けてくるものと思われる。この犯罪集団がなぜローカルな中小病院を標的にしたのか、ならいはわかっていないが、これを突破口に日本各地の政府、企業、団体に同じような手口で攻撃を仕掛けてくることは十分に予想できる。

 こうした事態に対して、日本政府がいま行っていることは今年に9月デジタル庁を発足させ、マイナンバーの普及と政府各省庁、部局のデジタル化など専ら内向きなことばかりであって、外から襲ってくるコンピュータウィルスに対する対策のようなものは一切見えていない。こうした無防無策の日本は国際的なサイバー犯罪集団にとって極めて取り組みやすいカモに見えるに違いない。デジタル庁だけでなく、通産省はじめ関係省庁とすぐびでも協議を始めるべきだろう。

 

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