国連総会が27日、イスラエルとハマスの軍事衝突をめぐり「敵対行為の停止につながる人道的休戦」を求める決議案を採択した。注目されるのはイスラエルや米国など14カ国が反対する一方、アフガニスタン、中国、ロシア、キューバなど過半を上回る120カ国が賛成して成立したもので、日本はなぜか棄権に一票を投じた。これまで国連総会では米国に追随してきた日本が米国から一歩引いて棄権に回ったのは一歩前進と見る向きもあるようだが、なぜ賛成しなかったのか、日本の今後の国際外交に大きな汚点を残すこととなった。
国連には193カ国が加盟しており、今回の人道的休戦に賛成したのは120カ国で、今回のイスラエル、ハマスの軍事衝突に対して、いま国際社会が両国に求めるべきことはだれが考えてもまずは休戦であることは間違いないところで、まずは人質としてガザに囚われているイスラエルはじめ先進諸国の人々を救出することこそが一番求められていることではなかろうか。そのためにはイスラエル、ハマスなどパレスチナ双方に対して少なくとも戦争状態から遠ざかることではなかろうか。
たとえ、ハマスの先制攻撃が今回の軍事衝突にきっかけとなったことは事実としてあるものの、現実にまだ200人以上にのぼる人質がガザ地区に囚われの身となっているのは事実で、それを放置して衝突を繰り返すようなことが続けられていいわけがない。まずは休戦とし、そのうえで人質の救出を図り、そのうえで、イスラエル、パレスチナ双方が話し合うなり、第3国の仲介で対話の場を持って事態解決に努力すべきで、そのために国連なり、国際的な機関がイスラエル、パレスチナ双方の歩み寄りに力を貸すことしか先の見通しはない。
そのためにまずは休戦が一番いい処方箋であることはだれしもが認めることであろう。なのに日本は今回の休戦決議に対して棄権ということに一票を投じたのは一体、だれが決断したこのなのだろうか。岸田首相、もしくは先の内閣改造で外相に就任した上川陽子氏の選択なのだろうが、事ここに至っての棄権選択は日本の置かれた状況からして、極めて立場の悪い選択であったとしか言いようがない悪手であると言わざるを得ない。いまの国際情勢から言って、ここでそんな悪手を打つということは日本がいかに外交で展望がないことを如実に表してもいる。岸田首相は首相就任の前には外相を務めていたことは広く知れ渡っており、何も外交をい学んでこなかったことを示してもいる。
岸田首相はいま先進7カ国でつくるG7先進国の議長を務めている身分でもある。その御仁がこんな”悪手”を打ったということはその職を任せておいてはいけない、ということでもある。まして国内では内閣支持率はいまや最低ラインの20%そこそこしかない、ということになれば、もう国際的な場においては誰も聞く耳を持たないということにもなりかねないのである。今回の国連決議は拘束力を持たないからといって無視するような向きもあるようだが、日本が棄権に回った事実はどうしようもない事実で、国際政治上、今後の日本外交で大きなマイナスとなるのは避けられないことだろう。