米国マイアミで開催されているWBC準決勝で日本チームが不振だった村上選手のが9回裏に逆転の2塁打でメキシコチームを撃破して、明日の決勝で宿敵の米国チームと雌雄を決する運びとなり、日本中が大喜びしている最中に海外から岸田首相がウクライナ入りするとの驚くべきニュースが飛び込んできた。岸田首相は数日前に急遽、インドに行き、モディ首相と会談するとのニュースが報じられ、この時に鈍想愚感子は「この後にウクライナに向かうのではないか」思ったが、まさかその予想通りになるとは思いもしなかった。
というのはこの1カ月前から岸田首相が事務方に対し、なんとかウクライナに訪問することを検討させている、との噂が伝わってきて、この5月に地元広島で開くG7サミット会議に臨むにあたって、G7首脳のなかでウクライナを訪問していないのは岸田首相だけで、議長を務める岸田首相としてはロシア・ウクライナ戦争に向けてなんらかの声明を発したい、と思っているのになんとも締まりのないことで、まずは自らウクライナを訪れ、G7広島サミットでロシア・ウクライナ戦争に対する非難決議に花を添えたいと願っている、とも囁かれていた。
岸田首相はインドのモディ首相にもG7サミットへの出席を求めており、ゼレンスキーウクライナ大統領にも出席を要請する構えで、すっかりG7サミットをロシア・ウクライナ戦争への非難決議でまとめよう、と必死になっているようである。このところ、岸田首相は韓国、ドイツ、インドの首脳と相次いで会談を開いており、すっかり5月のG7サミットへ向けて、外交の岸田を内外に印象付けようとあの手この手を駆使しているようにも見える。
一昨年9月に首相に就任して以来、ほとんど内閣支持率が低迷状態だったのが、このところやや上向き始めていることに自信を得て、外交分野で攻勢をかけているような感じであるが、どっこい、国民は相変わらず決め手を欠く岸田首相の経済施策に不信感を強めており、いくら外交で成果を上げているようなパーフォーマンスをやたらに繰り出しても、思い通りにはいかない、と醒めた目で見ている輩が多いことを忘れてもらっては困る、と言いたい。
岸田首相になってから、いいことがあったのか、胸に手を当ててよく考えてほしい。物価は上がる一方だし、相変わらず賃金の上昇ははかばかしくない。日本経済の動向は先進国のなかでどんどん地位が低下していて、先行きの見通しも芳しくはない。本当に国民のためになる施策が施されているのか、というとあまりめぼしい成果はないのではないだろうか。こんなパフォーマンスに力を注ぐよりももっと国民の命と暮らしを守るために何をなすべきか、胸に手をあてて、よく考えてほしい、と切に思う。岸田首相は何をするために首相になったのか、先日福島など東日本大震災の被災地を訪れ、現地の子供たちと懇談した際に子どもから「岸田さんは何のために首相になったのですか」と聞かれ、「日本で一番大きな権力を持っているから」と答えていたが、首相になって何をやりたいかが一番だろう、その時思った。今回のウクライナ電撃訪問のような派手なパフォーマンスばかりを繰り返す岸田首相のやり方にはもうついていけない。もっと地に足のついた地道で、本当に国民の生活向上をもたらす施策をやってほしいものだ。
追記(3月24日)この日行われた参院予算委員会で立憲民主党の石垣のり子議員が岸田首相に対し、「ウクライナ訪問でゼレンスキー大統領に広島特産の必勝祈願の大シャモジを贈ったのは問題ではないか。一国の首相が戦争当事国の大統領に必勝を祈願することはどう考えてもおかしい。首相が行うのは和平を勧めることで、当事国に勝利を願うのはお門違いではないか」と迫った。これに対し、岸田首相は「よく行われることで、そうではない」と答えたようだが、ロシアに対して事前にウクライナ訪問することを通告していたとされているが、こんな実態を知ったロシアがどんな反応を見せるか、大きな国際問題になりかねないし、岸田首相のセンスが疑われるのは間違いない。岸田首相がねらっているのは来月末にでも行われるかもしれない衆院の総選挙で大勝利で、ウクライナ訪問はその前哨戦とでも言いたいようだ。が、実態はとんだ事前興行でもあったようで、岸田首相の首が飛ぶことにでもなりかねない大失態だったようだ。