川上弘美の「風花」を読んだ。前作の「真鶴」や前々作だかの「古道具 中野商店」と同様、例によって男と女の恋愛の雑誌連作小説で、それぞれの短編はそれなりに話の筋は通っているが、それらをまとめて読むとひとつの長篇小説となるから不思議だ。単に登場人物が同じということではなく、現代の男女の恋愛風景を切り取った趣きがある。女流作家なので、女性の心理描写は抜群にうまいのに男性が薄っぺらく描かれているのがやや気になるが、いまの世相を反映したものとしては面白く読めた。
主人公、のゆりはいかにも現代風のとんでる奥さんで、結婚7年目で夫の卓哉の女性問題で離婚の危機に直面している。とはいえ、それで深刻に悩むということもなく、今日も叔父と東北新幹線に乗り、花巻からバスで行く鄙びた温泉旅行に出かけるところから小説は始まる。夫の恋人、里美と直接会って話を聞いたところ、別れて結婚する意志はない、と言われたのに、夫の卓哉は離婚することも辞さない構えで、思いあまったのゆりは叔父の真人に相談したら、一緒に温泉に出かけることになってしまった。
だからといって、今後の身の振り方が決まったわけでもなく、とりあえず今後の生活のメドをつけるため、叔父の紹介でクリニックの受付のバイトを始め、母と気晴らしに横川の温泉に出かけたり、医療事務の講座で知り合った年下の瑛二とじゃれあったり、学生時代の友人、唐沢知子と沖縄旅行に出かけたり、ふわふわと生活を送っていた。
その間に、夫の卓哉が姫路に転勤になったりしても、離婚問題は一向に進展しない。その間に夫の以前の女性が現れ、さらに問題をややこしくするが、夫の福島出張に誘われ、最初のゆりはついて行く気はなかったのに行きがかり上、行くことになってしまい、離婚問題は解消するのか、と夫は期待を抱くが、結局そんなこともなく姫路へ帰ってきて、離婚を決意したところで小説は終わる。
男女の間の微妙なやりとりを絶妙なタッチで綴っていく筆捌きは川上弘美の独壇場ともいえるうまさがある。読む方としてはいまの30前後の女性の感覚はこんなものか、という感じを持ちながら楽しく読めた。
主人公、のゆりはいかにも現代風のとんでる奥さんで、結婚7年目で夫の卓哉の女性問題で離婚の危機に直面している。とはいえ、それで深刻に悩むということもなく、今日も叔父と東北新幹線に乗り、花巻からバスで行く鄙びた温泉旅行に出かけるところから小説は始まる。夫の恋人、里美と直接会って話を聞いたところ、別れて結婚する意志はない、と言われたのに、夫の卓哉は離婚することも辞さない構えで、思いあまったのゆりは叔父の真人に相談したら、一緒に温泉に出かけることになってしまった。
だからといって、今後の身の振り方が決まったわけでもなく、とりあえず今後の生活のメドをつけるため、叔父の紹介でクリニックの受付のバイトを始め、母と気晴らしに横川の温泉に出かけたり、医療事務の講座で知り合った年下の瑛二とじゃれあったり、学生時代の友人、唐沢知子と沖縄旅行に出かけたり、ふわふわと生活を送っていた。
その間に、夫の卓哉が姫路に転勤になったりしても、離婚問題は一向に進展しない。その間に夫の以前の女性が現れ、さらに問題をややこしくするが、夫の福島出張に誘われ、最初のゆりはついて行く気はなかったのに行きがかり上、行くことになってしまい、離婚問題は解消するのか、と夫は期待を抱くが、結局そんなこともなく姫路へ帰ってきて、離婚を決意したところで小説は終わる。
男女の間の微妙なやりとりを絶妙なタッチで綴っていく筆捌きは川上弘美の独壇場ともいえるうまさがある。読む方としてはいまの30前後の女性の感覚はこんなものか、という感じを持ちながら楽しく読めた。