文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
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書評:プロジェクションマッピング

2017-11-21 11:14:25 | 書評:学術・教養(人文・社会他)
プロジェクションマッピング
クリエーター情報なし
市井社

・三葉かなえ

 本書は、著者による五行歌を集めた詩集である。五行歌とは、本書の巻末に「五行歌五則」としてどのようなものか纏められている。もっと詳しいことが知りたければ、本書を読んで見るなり、ググってみれば「五行歌五則」の具体的な内容が分かるだろうが、端的に言えば、五行で表した詩のことである。

 本書は、表題の「プロジェクションマッピング」と各章題の「吐息の膜」、「秋の鱗」、「雲の額縁」、「深緑の氷山」、「星の精」、「生きている証」、「破壊と誕生」のいずれもが、収められている五行歌の一節から取られている。

 確かに、ひとつひとつの歌を見れば、著者の瑞々しい感性が感じられるような気がする。しかし、それを詩集に纏めるとなると、各章にそれなりのテーマというか纏まりが必要になってくるのではないか。

 そういった観点からこの詩集を見てみれば、例えば、第一章の「吐息の膜」はあまり順調ではない恋の苦しさ、第六章の「生きている証」には、生きることの辛さ悲しさといったものが感じられるので、そういった意味で纏まりがあると言えるだろう。

 しかし第二章の「秋の鱗」に収められている歌は、春夏秋冬すべてのものが入っている。それをなぜ「秋」で代表させるのだろう。また、第四章の「深緑の氷山」は、故郷の思い出を歌ったものが多いと思うが、それがなぜ抹茶かき氷で代表されるのだろう。感性の違いということかもしれないが、私にはよく分からない。

 また、私なら、別の章に入れるといったような歌もみられる。単なる好みの問題かもしれないが、その辺りの工夫も望まれる気がする。

☆☆☆

※初出は、「本が好き!」です。


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