廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

今週の成果

2015年01月31日 | Jazz CD
相変わらず、地味なところをモソモソと漁っております。 





■ Joe Farrell / Sonic Text  ( Contemporary OJCCD-777-2 )

ジョー・ファレル、と言えばまずはリターン・トゥ・フォーエヴァーだけど、私はこのグループ(と言えばいいのか?)に思い入れが全くないし、
その演奏を聴いてもいいと思ったことがありません。 だから、そこでのジョー・ファレルの演奏をうまく思い出すことができないし、
その名前を聴いてサックス奏者だったかトランペット奏者だったかもうろ覚えでした。 が、この音盤を聴いてみて、この人の名前はしっかりと
頭に残ることになりそうです。

1979年というジャズが最も下火になっていた時代にフレディー・ハバードらと録音されたもので、新しい時代のメインストリームを模索するような
4ビートを真面目に展開しています。 ファレルのテナーはアトランティック時代のコルトレーンを思わせるような芯の詰まった硬質で真っすぐに
伸びるとてもいい音で、演奏も上手い。 

古いスタンダードなどは持ち出さず全てメンバーのオリジナルで固めて硬派な演奏に終始しますが、ラストの "Malibu" という大曲がマイナー調の
素晴らしい楽曲で、演奏も渾身の出来です。 それまでのすべてがこの曲と演奏の前フリだったかと思わせる素晴らしさ。

70~80年代に自身の最盛期を迎えたこういう実力派たちは本当に不幸だったなあ、と思います。 もっと前に生まれていれば傑作をたくさん残すことが
出来ただろうし、そうすれば音楽家としても正当に評価されただろうと思います。 ジャズというのは本当に金にならない商売だそうで、
多くの豊かな才能がフュージョンなどに流れましたが、ファレルの本音はもちろんこちらだったんでしょう。


■ Tim Siciliano Trio / Live From The Past  ( Endeavor Records EV-1401 )

新宿ジャズ館限定の少量入荷、とのことで、ピアノのいないギター・トリオという最も好きなフォーマットなのですぐに買いに行きました。
これが、大当たりの内容です。

4曲がライヴ、4曲がスタジオでの録音ですが、これが3人が一体となってグイグイと前へ進んでいく若々しいのに上手い演奏で、全曲オリジナルという
内容も好ましく、これはジャズ・ギターの醍醐味が最高に満喫できる傑作です。 こういう感じの音盤は実はかなり少なくて、貴重な一枚です。

ギターの音がとにかく心地よく録音されていて、ジャズのフィーリングに溢れた素晴らしい演奏がいっぱいで、特にスタジオ録音の4曲は秀逸。
この路線でもっとたくさん出して欲しいです。 こういうフォーマットはある意味で最もジャズのムードが出せるものなので、こういうふうに
上手くハマるとたまらない魅力が味わえます。




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