廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

これでやっと最後の買い替え

2013年12月06日 | Jazz CD
Blue Note が来年創立75周年を迎えるとのことで、その記念にファンによる人気投票を実施して、
最新リマスタ・SHM-CDとしてこの秋にまたズラズラと発売されました。(一体、何度目?)

普段なら見向きもしないのですが、今回だけは別です。
それは、Somthin' Else に「枯葉」の世界初の未発表テイクが収録されたからです。

元々この曲自体は好きではないし(どちらかというと嫌い)、もう手垢まみれの名盤ですが、さすがにこの高名な演奏の
初めて日の目をみる別テイクとなると、興味が沸きます。 まあ、ちょっとした事件かもしれません。



新テイクは正規テイクと比べるとごく僅かですがテンポが速いです。 そして、マイルスとキャノンボールが正規テイクよりものびのびと自由に
アドリブを吹いているのが特徴です。 正規テイクって、まるで楽譜に書かれた音符を見ながら吹いているようなカチッとした感じですよね。 
そこがまず大きく違います。 きっと、こちらのほうが後で録音されたんじゃないでしょうか。

それに、ブレイキーのブラシ音が正規版よりもキメが細かく、いい感じです。
彼がブラシをスティックに持ち替えたり、またブラシに持ち替える時の音が聴こえたりして、より臨場感があります。
ドラムはこちらのテイクのほうがいいなと思います。 シンバルの音も本当にデリケートで、なんだかしんしんと雪が降っているような感じです。

でも、これがボツ・テイクになったのは、きっとマイルスのせいじゃないかなと思います。
後半のアドリブが少し単調で一本調子なんです。 それを除けば、正規テイクとはまた違った味わいのある、素晴らしい演奏でした。


でも、ブログに取り上げた理由はこの別テイクのことではなく、このCDの音の良さのせいなんです。

聴いた瞬間に、ずっと探していたのはこの音だ、とすぐに思いました。 粒子の細かく、それでいて透明感のすごく高い、極めて上品な、
でも音圧も十分ある素晴らしい音です。 楽器の配置感も違和感なく、きちんと分離して濁りのないクリアな艶のある音。 実に素晴らしいです。

もちろん、元々この録音は音がいいことで有名なのですが、リマスタリングがとても丁寧にされているのが素人の私にもよくわかります。

私はここに収録されている Dancing in The Dark がとても好きで、この曲をいい音で聴きたくて、これまで何度もこのCDを買い替えてきました。 
今までは何年か前に発売されたモノラルのリマスター盤が一番いいかなと思っていたのですが、今回の盤を聴いてみて、
これはステレオを聴くのが一番いいんだということが本当によくわかりました。

以前はアナログのオリジナル盤を持っていました。 昔はこのレコードは割と安くて、2万円も出せば状態のいいオリジナル盤が買えたんです。
このレコードには元々モノとステレオの2種類があるけどモノのほうがオリジナルで価値があるとコレクターは言いますが、
今回のこのCDを聴いて、私はすっかり考え方が変わりました。 とうとう、これでもう買い替えはしなくて済むなあ、と嬉しくなりました。

じゃあ、同時に発売された他のタイトルも音がいいかも、と思って、Maiden Voyage(これもそれまでの音盤の音が不満で、いい音で聴きたいとずっと
思っていました)や Candy を買ってみましたが、Maiden Voyage は残念ながらイマイチ、Candy はややマシかな、
という感じでした。 そう何もかもうまくいく、というわけにはいかないようですね。



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