駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

宝塚歌劇星組『Bow Singing Workshop~星~』

2016年07月02日 | 観劇記/タイトルは行
 宝塚バウホール、2016年6月28日11時半。

 宙BSWについてはこちら
 日頃このブログを読んでくださっている方々にはすでにご理解いただけていると思うのですが、全組全演目を観劇する私ですが(今年は『One Voice』が鬼門で達成できなさそう…)ホームは宙で、雪と星には今までもずっと愛が比較的薄かったかもしれません…ノルユリとかは好きだったんだけどなあ。
 それはともかく、そんなわけで、前回の宙は完全に保護者モードで見守りのち大感動、といったノリでしたが、今回は完全に一観客としてフラットに楽しく眺めつついろいろ比較してしまう…といった感じの観劇となりました。
 長が94期の計16人、というのは同じでも、男役9娘役7のほぼ半々だった宙と違って、星は娘役が4人のみという男所帯。宙では新公主演&ヒロインがずんちゃん、ゆうりちゃん、そら、もえこ、らら、まどかと揃っていましたが、星はまおくん(麻央侑希)としどりゅー(紫藤りゅう)、あいーり(綺咲愛里)だけ…ですよね? そして小公演やNW!、DSなどでずんちゃんやしーちゃん、そら、あーちゃん、もえこあたりの歌上手ぶりはよく知られていたと思うのですが、星の今回のメンバーだと、ヒーロー(ひろ香祐)といーちゃん(音咲いつき)が上手いのが有名で、あとは華鳥礼良ちゃんが新公『こうもり』ロザリンデが良かったと聞くね…?という程度かな? ゆうりちゃんとあいーりという、路線なんだけど(あいーりに至っては次期トップ娘役!)歌がアレレな娘役が何故かメンバーにいる、という点は、同じかな(^^;)。
 まあでも各組それぞれ事情はあるのでしょうし、下級生の顔や声が覚えられるいいチャンスだし、楽しみにして行きました。
 第1幕では男役は黒燕尾に銀のタイとベスト、青のシャツとポケットチーフ。娘役はロイヤルブルーのドレス、黒の長手袋。第2幕では男役は白シャツ白タイの黒燕尾になって胸元に青い花、娘役は白の長手袋になり、組カラーの生かし方など宙組版を踏襲していました。これは続く組も同様になるのでしょう。

 私が観た回は前楽で、ふうちゃんまこっちゃんせおっち以下『One Voice』組が大量に観劇していたので、その盛り上がりもありましたが、プロローグは『ノバ・ボサ・ノバ』の「ソル・エ・マル」でのっけから客席が手拍子! さすが星組、熱い立ち上がりでした。
 続く自己紹介にも客席からいちいち歓声が上がっていて微笑ましかったけれど、まおくんのMCには早くもぐだぐだ感が漂っていましたかね…あれは「まおくん」じゃないな、「ゆっこちゃん」だな。さおはしっかりしていたんだなあ、と感心。
 というか宙は、トップバッターだった緊張感もあっただろうし、千秋楽とかではもう少しほぐれていたのかもしれませんが、すごく硬く真面目にきっちりと仕上げてきていて、客席もそれをしっかり受け止める、必要以上に騒いだり持ち上げたり持て囃したりしない、という空気だったかもしれません。完全に私個人の印象ですが。
 たとえば生徒が歌うためにスタンバイしたりライトが当たったりしたときに、宝塚ルールに慣れた観客としてはつい反射的に拍手を入れたくなるところなのですが、宙ではこれはお稽古発表会みたいなノリもあるものなのだから、とあえて我慢して、歌い終わりにのみ心から、盛大に、拍手する…みたいな空気があったように思うのです。もちろん宙ファンが単にノリきれていないだけ、ということもあったかもしれませんが。でも私はそういう抑制に好感を持ちました。
 それからすると今回は、生徒がスタンバイしただけで拍手が入って、それはそれでもちろんいいんだけど、それで肝心の歌が肩すかしだったときも残念ながらあったね…?という、なんかそういうところも客席含めてすべて、いかにも星っぽいノリだなと思ったりしました。不快に思われた方がいたらすみません、ノリノリで楽しかったよ!という感想だった方もいるとは思うのですが。私がアウェイ感を一方的に感じていただけなのかもしれませんが。
 他組もチャンスがあれば観てみて、また考えたいです。

 まあそれはさておき、まずはしどりゅーが『太陽王』より「太陽のごとく輝け」。おお懐かしい、この曲なかなか良かったよね、と記憶がいろいろ蘇りました。しどりゅー、華が出てきたよね、新公主演はやはり生徒を磨くなあ…まあ、お歌はそこそこ、だったかな?
 続いてあやな(綾凰華)が『ロミジュリ』より「いつか」。実は『鈴蘭』でちょっと気になって、顔が好きかも?と思っていたのですが、プロローグではなんかメイクダウンして見えた気が…? そして毛量が多いのか、せっかくの金髪リーゼントがなんかもっさり見えた気が…? でもピンになると素敵に見えた、不思議だわ。甘い歌声で良かったけれど、ヤバいオチた!という沼ではなかった、まだ。よかった、大丈夫(笑)。
 そして遥斗勇帆くんが『NEVER SAY GOODBYE』より同名主題歌。上手い! でもちょっとナルシスティックに聞こえたかも…?
 続く天翔さくらくんの「幸せの鐘が鳴る日」、大空担思い出の『誰鐘』ですよ! 「♪ラララ…」のところから歌ってくれたので懐かしさに胸が詰まりました。こちらも上手かった! ただ、ブレスの音がいちいちマイクに入るのが気になりました。これは避ける何かいいテクニックがあるのだと思うので、改善されるといいなと思います。
 そして一幕前半で早くもトリがキタ!?と思わせられたのが華鳥さんの「Wishing You Were Somehow Here Again」! 英語でしっとり、かつドラマティックにしかし繊細に…! 美しいクリスティーヌでした。絶品!!
 このパフォーマンスのあとではいかにも幼く、初々しいというよりは子供っぽく聞こえてもったいなかったかなー、というのが峰里ちゃん(天彩峰里)と極美くん(極美槙)の「エル・アモール」。フツーに上手かったと思うんだけど、カラオケチックに聞こえた気がしました。でもまだ下級生だもんね、芝居歌として歌えというのは酷かもしれません。ちなみに話題の極美くんをやっとちゃんと認識しましたが、スタイル良くて素晴らしいですね!!!
 続いて颯香凛くんの「かわらぬ思い」、うっまー!
 さらに夕陽真輝くんの『エドワード8世』より「退位の歌」、うっまー!! なんじゃこのコンボ!!!
 そこからの天路そらくんの「さあ行こう、マキシム」は、手拍子の入れづらさがちょっとかわいそうだったかもしれません…明るく陽気でよかったです。
 そして紫りらたんがモンローチックに「The 20th Century Fox Mambo」! シメのウィンクも良かったわー!!

 8人口で「CARIOCA」を歌い踊ったら後半戦、まずはまおくんが「エジプトは領地を広げている」。なかなかいい感じでした! まぁ様が銀橋でやった振りもやってくれてもよかったのになー。
 続いて桃堂純くんがスカピンの「君はどこに」を、なんと英語で! 上手いんだコレがまた!! 聴かせてくれました。
 そしてあいーりが「夢やぶれて」、地声だといけるのかな、すごくよかった! ヒロイン役者がキーの合うちょっと濃い歌を歌うというのは、なかなかイイですね。正解!
 いーちゃんの「All By Myself」、やっぱり上手い!
 1幕トリはヒーローの「エル・アルコン」、大カゲコーラスにも押されてどかんと盛り上げて、幕。

 2幕は8人で「Sing,Sing,Sing」から。
 そして天路くんの「トゥナイト」、うん、やはり上手い!
 極美くんの「ひとかけらの勇気」はすごーくまっすぐで甘く柔らかでした。単純、と言ってもいいかもしれませんが、こんなに素直に歌われるこの歌は聞いたことがない気もするので、大器を感じました。大きく育て!
 峰里ちゃんの「白い花がほほえむ」、かっわー! 超古典的な、というか古くさいと言ってもいい歌ですが、可愛かった似合ってた上手かった! リリカルでクラシカルで素敵でした。
 そこからの遥斗くんの「カンツォーネ」は、何事かと思う上手さが圧巻でしたね!? そしてそこはかとなく漂う昭和スター感…大物だわ。
 歌上手トリオ、颯香・夕陽・天翔くんの「Stand by Me」はさすが綺麗なハモりでした。しかし不思議とフレッシュさがないな、これはこれで不思議な個性だな。
 再びあやな、『キャッチ・ミー~』より「Goodbye」。せっかくなんだから、もうちょっと芝居歌として歌えるとよかったのではないかしらん、と高いハードルを掲げてみたり。
 そしてまたキタ華鳥さんのトリ感、「I Have Nothing」! ホイットニーも裸足で逃げ出すわ…
 台詞入りにしたのが正解か、桃堂くんの「主役は俺だ」。ノリノリでよかったです。「純ちゃんカッコいい!」という合いの手があればなお良かった。
 あいーりの「Think of Me」、大健闘! 愛らしいクリスティーヌでした。
 そしていーちゃんの「そばにいて」、ちょっと淡々として聞こえちゃったかな…?

 MCは上級生6人で。やはりま6くんのゆっこちゃんっぽさが際立っていました。
 しどりゅーの「朝日の昇る前に」はやや背伸びを感じましたが、その意気やよし!
 ヒーローの「星を継ぐ者」、組ファンに喜ばれたことでしょう。こういう選曲は大事ですよね。
 再びりらたん、「You Raise Me Up」。しみじみと美しい、素晴らしい。
 大トリはまおくんの「JACKPOT」、イイねイイね! そしてラストは全員で「エメ」。今に続く宝塚フレンチ・ミュージカル上演の嚆矢となった『ロミジュリ』初演が星組であったことは、組の財産だと思います。この選曲もよかったです。

 英語の歌が多かったことに対する不評もちらほら耳にはしています。日本語の歌詞でないと何を歌っているのかわからない、というような意見には、有名な曲が多かったので聞き手側の問題では?とも思いましたが、チャレンジの意味もあったのでしょうが確かに多いは多かったし、どういう選曲コンセプトだったんだろう?とは思いました。
 みちふうバウはさらにほとんど英語の曲だとも聞くし、それに習ってのことなのかなあ。ちえねね政権からみっちゃんになって、確かにいろいろ変わってきているのかもしれないですね。
 歌唱力の底上げはもちろん大事。コンサートやディナーショーみたいなイベントももちろん大事。でも最終的には宝塚の歌はミュージカルのためのもの、歌入り芝居を上演するためのものであり、役の気持ちを伝え演技を補完する手段として歌われるものだと思うから、もっと気持ちを乗せる、伝える、芝居歌として歌う、みたいな意図が見られるとよかったのかな、とは思いました。
 今後も楽しみです! しんどいスケジュールの中がんばったであろう下級生たちに、本公演でも活躍の場が与えられますように。






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