駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

宝塚歌劇宙組『New Wave!-宙-』

2015年04月14日 | 観劇記/タイトルな行
 宝塚バウホール、2015年4月2日ソワレ(初日)、3日マチネ、ソワレ、4日ソワレ、5日マチネ、ソワレ、10日ソワレ、11日マチネ、ソワレ、12日マチネ、ソワレ(千秋楽)。
 宙組によってこれまでに上演された作品の名場面を再現すると共に、古今東西の名曲をエネルギッシュにお届けするエンターテインメント・ショー。作・演出/三木章雄。

 お友達に友会入力のときからがっつりご協力いただいて、当てていただいたり譲っていただいたり誘っていただいたりで、センターブロック最前列に二度も座り、自力手配と会席が半々くらいで前方後方上手下手ひととおり座り、ひとりで観るのとどなたかとご一緒するのとのバランスも良く、全17回公演のうち11回も通えて常に新鮮に観られて常に発見がある、楽しい観劇になりました。もちろん本公演でもリピートすることはあるけれど、普通は一応毎回同じことを上演しているわけじゃないですか。でも今回はMCなど毎回変わることが前提であるような、かつ短期集中で演目としての変化もめざましい作品で(最初から完成させておき常に変わらないものを提供するのがプロだろう、というお叱りは甘んじて受けるとして。いや私にはそんな権利はないのですが、一ファンとして謝る用意だけはある)、そういう公演に通うというのは私は初めてで、とっても楽しい経験になりました。なかなか得がたい体験だったと思います。お世話になりました方々に厚く御礼申し上げます、ここで言ってもアレかもですが。
 というワケで、まずは公演の感想を。

 オープニングはラテンで『コパカバーナ』からまずは「アイ・カランバ」。宙組ではかしるいで博多座でやったのかな? 私はだいぶ以前に映像でしか観たことがなく…
 というか幕が上がったら階段の一番高いところに! センターに! 板付きで! あっきーがいて! 正面向いてライト当たってバン!って始まるんで最初の頃はアタマ真っ白、「New Wave!へようこそ!!」って掛け声があるのに気づいたのが五回目くらいの観劇ででしたよ私…
 メイン四人は新調の白と金のお衣装、男役さんの紫と金のお衣装も新調だそうな。娘役ちゃんは紫のダルマだから、これはまあよくあるものかな? 腰につける白と金の段々スカートは花や月で使っていたのと同じかな。ゆうりちゃんだけはこのスカートが白一色で、ターバンにも飾りがありました。
 ラテンといいつつかなり端正でお行儀がいいのがすがすがしくも物足りなくもあったのですが、公演終盤ではかなりいい感じにわちゃわちゃと盛り上がるようになり、やっとパッションが感じられるようになって良かったです。あくまで上品でスマートなのも得がたい持ち味で素晴らしいとは思うのですけれどね。
 そこからあーちゃん留依薪世くんのソロで「ボレロ」(「愛のボレロ」という曲名かと思っていたのですが…)、のちにもえこ瑠風輝くんがハモりに加わり、順にりんきらエビちゃん、ずんちゃんと花咲あいりちゃん(なっちゃんという愛称をやっと覚えましたがまだ使える気がしない)、りくくんとゆいちゃんのカップルが踊ります。りくくんの腿にひょいっと乗って美脚を高々と上げるゆいちゃんに見惚れました!
 そして満を持してという感じであきゆうりの美男美女カップルがするすると進み出る…おおおおお、って感じです。その後四組になって、下手手前から上手奥に一列に斜めに隊形組むのも素敵だったなー。
 キメたあとは四人が残ってご挨拶、持ち込まれるティンバレス。花ではやって月ではなかったので、宙ではやると聞いたときは「やるのか…」と思ったと澄輝茶で話が出ましたが(どちらかと言えばやりたくなかったのね(笑))、三木先生のこだわりでは、楽器テクニックを見せるというよりはこのくだりで各キャラクターを見せたい、ということだったようで、確かに正解です。見えましたね、ずんちゃんの明るく元気で自由なキャラ、りくくんのいじられ体質やおもしろさ、でも意外に気が遣えてちゃんとしているところ、りんきらがゆるキャラっぽいけど意外としっかり者でちゃんと締めてくれるところ、あっきーが一見シュッとしてそうなのに実はゆるゆるで常にノープランでまったく仕切れないこと…内心ヒヤヒヤ心配しながら毎回観ていましたが、最後の二日は臨機応変っぽいアドリブも出て楽しくて、これもまあみんなのいい経験になったかと思います。甘くてすみません…お稽古ではほとんど落とさなかったというスティックキャッチが、初日と千秋楽に失敗するというあっきークオリティよ!(笑)
 最後に四人のパフォーマンスでキメたあとは出演者全員が出てきて、「コパカバーナ」で客席下り。うちわを胸元に掲げながら手拍子するのにもすぐ慣れました。
 そのあとは新しい波として下級生から順に出演者をひとりずつ(初日のみふたり)紹介するコーナー。めいちゃん瑞希めいちゃんが予科は男役だったということで「フッ!」って掛け声キメてみせたり、りりちゃん潤奈すばるくんがバレエが得意ということで「飛びます!」と言ってジュテを見せたり、さよちゃんが宝塚オタクということで四人とそれぞれカップルポーズを決めたり、もえこが元バスケ部ということであっきーのゆる~いディフェンス抜いてシュートする振りをしたり、あーちゃんがラッスンゴレライをやらかしたり、あきもがボイパを披露したり、せとぅーが阿波踊りを披露したり、ゆいちゃんが同期のりくくんとリフトを決めたり、まっぷーが振り起こしが上手いというのでEXILEのダンスを披露して同期のりんきらが熱唱したり、エビちゃんをセンターにして五人でロケットやったり、あいこちゃんがルドルフ歌って四人がマリーをやる「うたかたの恋」が披露されたり…
 千秋楽は大トリ、あおいちゃん。初代スカイレポーターズということで逆に四人をレポートするというていで、今回の公演で得た男役らしさをご披露せよ!と四人に強要(笑)。おたおたしながらもりくが投げキスを決め、ずんちゃんが掛け声を決め、りんきらが「みんな、愛してるよ」という台詞からの噛みつくようなウィンクを決め…ハードル上がったあっきーでしたが、しゃらんと歩いてからくるんとターンしてパッチンとウィンク…だったかな? いやぁがんばっていましたよ! さらにこれからの夢を語るパートでは、ずんちゃんが次の公演でも輝きますと宣言し、りくくんが宙組を宝塚を愛し続けますと宣言し、りんきらがいろいろなキャラクターになれる大人の男役を目指しますと宣言したあとで、あっきーはタメもせずさらっとフツーに「今回バウでいろいろな曲を歌わせていただいて楽しかったので、もっといろいろな曲にチャレンジしていきたいのと、バウでひとりで歌って楽しかったので、次は大劇場で!」となんかもう妙に真面目で手堅いこと言うんで、ああもうなんだかなあ可愛いなあ、もっとトリとしてタメてから言ってもいいしもっとデカいこと言ったって許される空気なのに、あくまでフツーだなあそら物足りないと言われるよなあ、と歯噛みしつつ結局デレました私すみません。でも実はけっこう目ウロコだったんですよね。だっておちついて考えたら現状ゆりかより愛ちゃんよりフツーに歌えるんですもん。そりゃ彼女たちは路線スターとして今後さらに歌を与えられ歌唱力をつけていく必要がありますよ、でも一方であっきーがあくまで歌手として重宝され起用されていくっていうのは実はアリですよね…!?
 ちなみにあおいちゃんの夢は「今の宙組で海外公演に行ってみたい」でした。宙組の母体は香港公演チームだもんね。
 ここは毎回わちゃわちゃするので次への切り替えが大変だったとお茶会では語っていましたが、私にはいつもしれっとスイッチ切り替えているように見えて、そういうところが怖いわーと思っていた「Venus」。「聞いてください、Venus!」という台詞から四人が客席下りして、狩り場が展開されます。紳士的な釣りが私は好きでしたけれどねー。間奏にはお客さんを立たせたりしてダンス! ここがやはり最後の二日はエンジンかかってました、後述。ちなみに「♪I’m your venus,I’m your fire」のあとの歌詞が「見つめて」「落として」「燃やして」とかが交互に来るのですが、どうも怪しいらしく声が自信なさげに一瞬ちょっと落ちるんだよね四人とも(笑)。ダメじゃん!なんだけど個人的には毎回聴いていてツボでした。
 そのあとはずんちゃんとりくくんが残って(下級生は大変だな!)「銀河のロマンス」。銀色の傘を持った娘役ちゃんたちがアンサンブルとして現れるのですが、ずんちゃんが最初のフレーズを歌っているときにりくくんは彼女たちを見つけて「わあ!」って顔する芝居をちゃんとしているんですよね、可愛かったなあ。
 さらにりんきらが加わって三人で「星屑のスパンコール」、私は知りませんでしたが少年隊の歌だそうですね。昭和のアイドル歌謡を歌うジェンヌもいいものです。まだけっこう序盤なのに「♪もう一度アンコール」と歌っちゃうのが個人的にはツボでした。みんなここでウィンクやらなんやらちゃんとやっていて、センター客席は狙い撃ちされたことでしょう。
 やがて電飾が星空ふうになって娘役ちゃんたちが傘をたたむと、あっきーが飾りのついた黒燕尾で出てきて「星に願いを」を歌います。初日、タイヘン舞台にひとりになっちゃったよ…!?と震えました私。でも本人はホントにのどかそうに楽しそうに、朗らかにリリカルに歌っていたなあ…4日14時半かな、マイクトラブルで後半音声が出ない回があったのですが、バンドがすぐに伴奏音量を下げてくれて、客席最後列まで聞こえていたかはわかりませんが生声で動揺も見せず押し切りました。エラい!
 歌終わりとハケ際に拍手が入るようになったのも、スターさん!って感じで嬉しかったなあ。ロケットガールズを嬉しそうに呼び寄せ盛り立ててハケ、娘役ちゃんたちのロケット。ロケット大好きで研11で久々に出られて嬉しいと言っていたエビちゃんがにこやかでキレッキレで、中高ロケットのため最後は最下手になって、それでもガンガン脚上げてるのが本当に可愛かったです!
 ゆらりと現れたあおいさんが「Jupiter」を歌い出すと、あっきーがほの暗い中スタンバイのポーズを取って、そこから秘やかで熱い黒燕尾場面になります。「♪夢を失うよりも悲しいことは、自分を信じてあげられないこと」「♪望むように生きて、輝く未来を。いつまでも歌うわ、あなたのために」といった歌詞が本当に良くて、泣けました。途中から笑顔を見せるようになるのも素敵でした。初日はお衣装のサイズが合っていないのか踊り方が真ん中には激しすぎるのか、特に右肩が抜けて身頃が外れたり襟が裏返っちゃったりしたことが何度もあったのですが、千秋楽では最小限になっていました。がんばれ…!
 静謐な空気から一転、りくくんセンターの「エトランジェ」場面。白と紺のスーツは花でだいもんが着たヤツかな? 娘役ちゃんのブルーのビニール素材みたいなドレスは月のリベルタンゴで使ったもの。ミキティもうちょっと考えてくださいよ…でもゆいちゃんがキレッキレでゆうりちゃんの鬘が素敵で、りくくんのダンスがカッコいいのでいいことにします。やはり自分の見せ方というものがわかってますよね、りくくんは。スターとしての場数をきちんと踏んでいるのがよくわかるし、こういう場面を任せたくなるのも納得です。あとは歌だな、がんばろう!
 ミストレスのゆいちぃは素敵だったけれど、ひとつのショーで二回も女役させんでも…とは思いました。あの脚は至宝だけれどね!
 続いて同じくOGによる外部公演『Dancing Crazy』より「ミュゼット」場面。老人かけるの若い頃であるアコルディオニストがりんきらで、恋人がずんちゃん。この女装、良かったなあ…! 私はものすごくツボでした。上級生がやるときの隠しきれないオカマ感とかもなく、下級生がやって普通に可愛くておもしろみがない、みたいなのとも違う、普通の健康的で伸びやかなお色気がありました。膝を落としたりもせず凝った鬘をつけることがなかったのも個人的には好みでした。「ニューヨーク・タンゴ」素敵だったなあ!(パリの場面のはずだけれどね!)
 一幕ラストはタカハナ時代の『ザ・ショー・ストッパー』より巴里万博場面の再現。かつてミホコが歌ったソロを歌うあいこちゃんの美しい鼻濁音に聞き惚れました。コーラスのせとぅー、さよちゃんはお化粧をもっとがんばればもっと可愛く見えそうなんだけどなあ…残念でした。
 で、「エル・チョクロ」を歌いながら溌剌と登場する若者あっきーとファムファタールゆうりちゃんがすごくツボ。明るいブルーのジャケットと、桃色と言いたいような鮮やかなピンクのドレスの、恋の喜びに満ちあふれた若く美しいカップル。るんるんでラブラブなタンゴも愛らしい。このタンゴが後半豹変するわけですね。ゆうりちゃんにジャケットを脱がされ、黒のシャツとベストとパンツ姿になるあっきーの、まあほっそりして美しいこと!
 こんな美青年が、なんか急に彼女が見当たらなくなっちゃったよどうしちゃったのかなー、とぽかんとしていると、当然のごとく(笑)ワルモノたちに絡まれる流れになり、相手方の筆頭はボディをやや太く作ったりくくんです。かーっこいーい! 挑戦状をつきつけるような帽子のやりとりと、男同士のタンゴ。これも終盤はチラリと妖しい色気が漂って良かったなー。まあここは若者に誘い受けの空気が別になくてもいいところだと私は思っているので、あっきーのまっすぐですこやかな清潔感をどこまでも愛しましたけれどね。
 男たちが去り、若者がなんかヘンな難癖つけられちゃったなーとまたまたぽかんとしていると、黒いドレスになったファムファタールが再び現れます。そして今度はなかなか若者の腕に抱かれてくれない、誘うように微笑むのに一緒に踊ってくれない。若者の方がすがりつき奉仕するようなタンゴになり、そして彼女は再び腕からすり抜けていく…
 またしてもひたひたと、妖しい男たちが現れる。続いて女たちも。若者は美女の幻を追いますが、見つけられず惑わされ、翻弄され、そこにやっと現れた彼女は真紅のドレス姿になっていてこちらを見てもくれず、男たちにかしずかれ妖艶に君臨しています。やっとその体に触れられたと思ったら、振り払った彼女が指し示すのは十字架…
 台詞はなくサイレントで踊られますが、高笑いするゆうり様からは「私の愛が欲しければ、私のために死んでごらんなさい!」というような台詞が聞こえてきました。美しい魔女、怖いわー。そしてよろめき乱れ反り返るあき様が美しかったわー。最後までタカコみたいに綺麗に前髪がバラけなかったけれど、十分な乱れっぷりでした。仰向けられた美しい顎を見つめているうちに幕が下りる…
 あきゆうりの美男美女っぷり、同じ絵柄っぷり同じ掲載誌っぷりを見せ付けてくれる、ドラマティックな名場面でした。私は好きだ!!!

 二幕はコスモス・クロニクルから。りくくんの「コスモス・トゥループ! 宇宙の組です」という台詞が毎回妙にツボでした。全員がポスターのときのお衣装で出て、まずは「シトラスの風」。
 続いてあーちゃんともえこの「闇が広がる」。妖しさはまだまだないものの、とにかく耳福。
 そしてかけるとせとぅーのこれまた耳福の「NEVER SAY GOODBYE」。後奏が気持ち長いんだけど、気にせず拍手入れてました。
 ずんちゃんが雄々しく「風雲に生きる」を熱唱し、りくくんとさよちゃんの可愛らしい「雨に唄えば」につなぎ、あおいちゃんが「HOME」を聴かせたあと「歌ってサム、お願いよ」と台詞を言ってりんきらの「AS TIME GOES BY」。リックじゃないのか、だがあきらかに大空さんより上手いよ聴かせるよ、と思っちゃいました私。
 宙組はプレお披露目公演中の現トップスターがまだやっと七代目なので、もう『銀英伝』です。なんと「銀河の覇者」をあっきーセンターで! ビッテンフェルトだったのに!!(笑) ピンスポからの手拍子だなんて!!! なんかラインハルトっていうよりユリアンかみたいな、若いあっかるいアイドルソングみたいになっていて、純粋に楽しかったです。加わるかけるがまたすんごい嬉しそうで胸アツ。というか今回かけるはどの場面でもあっきーをものっすごいキラキラした笑顔で見つめてくれていた…! トップライトでシルエットになって終わるのもカッコよかったYO!!
 そこからずんゆうりを除く全員が再度集まって「未来へ」、やはり盛り上がりますね。そしてそのずんゆうりで「星空伝説」、白のアラビアンなお衣装がふたりともお似合いでした。
 そして『ガイズ&ドールズ』メドレー場面へ。ズカズカ出てきて「ハヴァナ」を歌い出すあおいちゃんが最高! さらにねっとり踊りながら出てくるエビちゃんまっぷ―カップルの濃さがたまらん!!
 白地にストライプの入ったダブルのスーツにハットのあっきースカイと、ミントグリーンの清楚なワンピースのゆうりサラが登場。ゆうりちゃん、Soキュート! 確かに「私がベルなら」は毎回手に汗握りましたし、カマしたりケロったりカスれたりキシんだりしないで歌い終えた回は私が観た中では残念ながら一度もありませんでしたが(頼むよアムネリス…!)、終盤にかけてどんどんはっちゃけて歌えるようになってきていたので、まあいいのではないでしょうか。甘くてすみません…つられてあっきーも台詞の「初めて、人に教えた」がものすごく感情が乗るようになって、ああ全編観たい!と思わされました。
 いい芝居歌に仕上がったデュエット「はじめての恋」のあとは「運命よ、今夜は女神らしく」でしたが、これがずいぶんとカッコいいアレンジで、でもそれをあっきーはちゃんと歌いこなしていて、かつダンスもカッコよくてハットからの顔の見え方も完璧で、白眉!と思いました。踊る男たちの中でひとりダブルのベストのりんきらも、超カッコよかった色っぽかったなー!
 続いてまたまたまたまた「月光」、ミキティ本当に考えた方がいいよイロイロ? ゆいちぃゆいちゃんまやちゃんの黒レオタードにポワントのダンスから、紫のドレスシャツのりくくんセンター場面になります。ここの男役ダンサーズもみんなギラギラして俺だけを見ろってなっていて、カッコよかった。でもちゃんとりくくんがセンターだった。やっぱりスターとしてちゃんとしていました。
 大空担にはまだまだ思い出深すぎて放心していると、ライトが清らかに変わって白タキシードのりんきらの「ミ・マンケライ」。コーラスのあおいちゃんあいこちゃんの歌声が神々しいまでに素晴らしく、ここだけどこのオペラハウスやねん状態でした。
 そのあとがりくくんの「So Amazing」というのは実はちょっと苦しいのですが、勉強させようとしているのですよね。そしてコーラスががっつり支えていますからね。
 そして飾りのついた白タキシードのあっきーがセンターに立つとシャンデリアに灯が入り、「A New World」。これがまたイイ! 歌詞もイイし、コーラスが加わらなくともあっきーが普通に上手い。公演終盤から手拍子が入るようになりましたが、実はじっくり聴きたい楽曲でした。りくくんが歌うときにりんきらと踊るところ、あいこちゃんが歌うときにひとりで踊るところ、大好きだったなー。照明もとても美しかったです。
 そこからまたガラッと空気を変えて、ずんちゃんの「セ・ファタル」。実は個人的にはこの場面が一番よくできていると思いました。ずんちゃんにはこの大人っぽい、難しい歌をこなすだけの歌唱力があるし、娘役ちゃんたちに次々と絡んでもらう美味しい場面をひとりで保たせるスター力もありました。実は今回の演目で大ナンバーと言えばここと一幕の「エトランジェ」だったと思うのですよね。それを下級生ふたりが任されているワケですよ。あっきー、りんきらはどちらかというと芝居の人というか、ショースターとしての力量が怪しいと見られているということなのだろうなあ…とは思いました。後述。
 そのあとはもうフィナーレ、花も月もやってきた「Amazing Grace」から「If It’s Over」の流れ。まずはあいこちゃんのソロから、あっきー、そしてあおいちゃんへのリレー。ここのあっきーのソロ、よかったなあ。地声でかなり高いところまで歌っていて、でも絶対に声が割れたりひっくり返ったりしなかったもんなあ。ゆいちぃにマイクを預けてダンスに加わっていくのがすごくツボでした。ダンスにまざってからも美しくて清らかでスポットライトが似合って、よかったわぁ泣けたわあぁ。
 最後にバンドメンバーの紹介があって、主題歌で客席登場。このロックなお衣装(笑)、意外と嫌いじゃないです。シュッとして見えすぎるきらいはあるけど、とても似合っていたと思いました。終盤ではラストの「♪New Wave!」に華麗な蹴りが入るようになっていて、たいそうカッコよかったです。ホント盲目的ですみません…
 一度幕が下りて、アンコール的に新曲「Over The Wave」、この歌詞がまた良くて泣かせました。千秋楽では客席で自然発生的にうちわが左右に揺れ出して、静かな波が起きたんですよ。確かにペンライトを振るのが似合いそうな曲ではありました。舞台から絶対に見えたと思う。感動的だったんじゃないかな…
 あとは四人それぞれのご挨拶とカテコがあって、おしまい。千秋楽では座長であり副組長であるあおいちゃんのご挨拶と、今後の宙組の予定や『王家』前夜祭の告知もあり、合流がますます楽しみになりました。あっきーもご挨拶で「次の、朝夏さんを中心とする新生宙組でも、“おっ、New Wave!メンバーもがんばってるね”と思ってもらえるよう、がんばりたいと思います!」と力強く語っていました。
 NW!千秋楽恒例のアンコール客席下りを「コパカバーナ」でもう一度やって、メンバー紹介まで再度やってくれる大サービスあり。
 その後は、スタオベの近さに素で驚いているのも可愛かったし、「どうしましょう…」とノープランなのも可愛かったし、でも客席とウェーブが作れてホントに嬉しそうだったのも可愛かったです。「イエイ」とか言っちゃって、やっぱり終始ゆるかったけどね。でも「New Wave最高!!」なんて叫んだ声は今までに聞いたことがないくらいに野郎っぽくなっていて、なんだよこういう面もちゃんとあるんじゃんカッコいいなオイ!と思いました。何度も謝りますが盲目的ですみません…「この公演は終わってしまいますが、私たちの挑戦はまだまだ続きます!」というのもいい言葉だなと思いました。温かく見守っていてください、と続くのがアオりきれていないんですけれどね…
 幕が下りて終演アナウンスが流れてBGMが流れて客席が明るくなって、それでも拍手は鳴りやみませんでした。しつこくてすみません、でもあれはただのワガママではなかったと思うの。ショーを渇望していたファンの素直な気持ちがぶつけられただけだと思うの。この拍手が宙組プロデューサーに届いているといいな、『王家』の次の本公演は是非ともオリジナルの2本立てを持ってきていただきたいな。まぁ様に踊らせないなんて意味がわからないし、場面を与えなければ若手も育ちません。今からでも『王家』フィナーレをデーハーにする算段して! 本編はその気になればいくらでも刈り込めて、尺なんかいくらでも出せるんだから!!
 拍手にほだされたのか(笑)、四人が緞帳前に出てきてくれて、順に愛を叫んでくれました。ずんちゃんが「大好きだー!」と叫び、りくくんが「みなさん、愛してまーす!」と叫び、りんきらが「宙組、最高!!」と叫び、あっきーは「New Wave!宙、サイコー!!」と叫びました。すんごい胴間声になってたなあ、熱くなってたなあ。最後に下手にハケるときにずんちゃんが「帰りたくなーい!」とゴネて四人で渋滞してみせたりして、最後にはりくくんが先にソデに入ってあっきーをひとりで残してくれました。残されてしまってえー、って顔しながらも、「好きだー!」と叫んで特大の投げキス!! あれはきっと500人釣れたよやったね!!!
 …という、公演だったのでした。

 …というワケで、前半の遠征記でも語りましたが、私は大満足でした、最終的にも。
 本人もお茶会で話していましたが、続けてやるということは過去のものと比べられるということで、怖いことなのです。記憶は往々にして美化されます。今回の記憶だってそうでしょう、私は次に雪や星でやるときもあまりやいやい言わないよう心がけたいです。
 確かに、比べたら熱さや激しさが足りない、ショーらしいアピール力が足りない、というのはそのとおりだったと思います。公演終盤、当人たち比で尻上がりに成長していて目を見張る思いでしたが、トータルではやっぱり比べれば弱い方だったのでしょう。
 でも私は宙組のそんなスマートで洒脱でお洒落で垢抜けていて紳士的で優しい空気が好きです。そしてビジュアルだけでなく、大空さんやかなめさんが持ち込み育て残したであろう芝居力が好きです。そこにさらにまぁ様の明るさとダンスのパワーが持ち込まれる。未来は明るいと思っています。
 あんまりクドくても、濃くても、暑苦しくても、キザでも、こっちが疲れちゃうときもあると思うし。それはもう個性、持ち味、目指す方向の違いということで、みんながみんな同じじゃなくてもいいんじゃないかな…と、逃げだと言われようとそんなふうに思うようになっていました。
 でもね、本当に驚いたんですよ、忘れもしない11日14時半。「Venus」の客席下りでセンターブロック最前列前を通って下手階段のあたりに来たあっきーが、舞台に両肘ついてふんぞり返ってみせて、顎上げて下手ブロックを見下すようにして、「獲物」を物色する振りをしてみせたのです。
 それは本当に「振り」なんです。それはわかるの。わかっていいと思うんですよ、だって本当にやられたら何様だよって話じゃんムカつくじゃん。
 でも今まで振りですら決してそんな高圧的なことをしてこなかったのに、やってみせた。そしてそれが嬉しかったんですね、私が、私たちが。ちょうどそこが会席でプチ会総見みたいになっていたということもあるけれど、それでも。
 ときめいた自分に私は驚きました。私はフェミニストだし俺様な男なんて嫌いだし、男に選別されるなんて冗談じゃないと思っています。もちろん男役は男ではないし私が彼女たちを愛しているのもそういう意味でではありません。でも私は要するに強引に迫られて嬉しいとか、イヤよイヤよと言いつつ流されたいとか、困っちゃうのに釣り上げられちゃうとかの心理が今までよくわからないでいたのだと思います。あまりMっ気がないんですよね。
 でも、見下ろされて、狙われて、ときめいた。わあ選ばれたい何を犠牲にしてでもなんでもしてあげちゃいたいって思っちゃうもんなんだわあ怖い!と驚きました。自分の中にそんな、奴隷根性というか被嗜虐心とでもいうようなものがあっただなんて!と動揺しました。
 そう思わせるスターって本当にすごいなと思いましたし、ああみんなこれを求めていたのか、だからやれやれってみんな言っていたのか、とやっとわかりました。生徒が遅い以上にファンが、というか私が遅いんだよって感じですよね、面目ない。
 何故あっきーがやってみる気になったのか、やれたのかはわかりません。やっぱりニンでない気もするし、でもやってみて楽しくて手応えが感じられたのなら、新たな引き出しとして今後も蓄えられていくのかもしれないし、それはいいことなのでしょう。でもあんなんバンバンやられたらマジでこっちの心臓が保たないわ、怖いわー…
 というワケでやっぱりちゃんと成長しているんですよね、生徒さんって。すごい。そしてやっぱりやれやれもっとやれって言っていた人たちは正しかったんだなー、と改めて思いました。うるさいなほっといてよとかちょっと思っていて了見が狭くて、すみませんでした。私はアタマでっかちなだけに、何事も身をもって体験しないと真に理解し納得できないのでした…
 あっきーは釣れるようになりました。次の公演でそのスキルが発揮できる場所が与えられることを切に願います。大きな波を起こしたつもりなんだから、広い海を用意していただかないと困るのです。

 だから、贅沢でも全ツ裏の公演を望みましたが、今日、発表がありましたね。ずんちゃん、バウ主演おめでとう!
 前回の記事で書いたように、順当ならゆりかか愛ちゃん主演の東上つき公演になると思っていたので、意外といえば意外でしたが、でもまったく問題ないと思います。ずんちゃん、全然主演できます。あとは作品に恵まれることを祈っています。頼むよ田淵先生!『SANCTUARY』はよかった、期待しています!!
 しかし『メラジゴ』は役はまあまあ多い演目ですが、みんながみんな全ツってワケにもいかないでしょうし、やはりバウで黒い色敵めいた二番手役をあっきーにいただけませんかね…だってここにゆりかや愛ちゃんを出すわけにはいかないんだからさ。いい仕事すると思うんですよ、というかさせて!
 ナンバーの話で少し語りましたが、要するにりくくんにはダンサーとしての資質があるし、ずんちゃんには歌えるという武器以上にスター力があると思うのです。やっと痩せたしね。宙組は何事にもスローなので新公主演も遅かったけれど、持っているものはカレーちゃんにもあーさにもれいこにもまこっちゃんにも負けていないと思います。遅れてきた、恐るべき95期。大事に育ててほしいし、がんばってほしいと思います。
 だから今回のメイン四人ではむしろ上級生ふたりの方がスターとしてふわっとしていたのですよ実は。そしてりんきらはずんちゃん以上に歌手としての力量があると思うし、芝居心もあって、不本意かもしれないけれど老け役だってできちゃう演技力があると思います。だから今後の仕事の場所も想像できる。だから問題はあっきーなんですよ。
 今回、今まで全然場数を踏ませてもらえてこなかったわりには、真ん中に立たせてみたら意外と格好がついていた。普通に歌えるし踊れるし、何しろ美しい。上品でノーブルで、「宝塚らしさ」というタカラジェンヌとしてもしかしたら一番大切かもしれないものをきちんと持っていることがわかった。
 だけど、弱いと言えば弱い。何が武器だとか得意だとかいうフックがない。逆に言えばだからここまで埋もれてきたのだろうし、だけど気がついたら周りがいなくなっちゃってて、もしかしたら本人も今やっとやる気を出してきて楽しくなってきていて、今がんばっている、輝いている、ということなのかもしれない。こういうキャラクターって確かになかなか起用が難しいと思うんです。でもやっぱり使わないのはもったいないし、むしろ真ん中向きというか真ん中でしか使えないタイプなんじゃないかと思うのです。何ができるっていうんじゃなくても真ん中で輝く、真ん中が保つってスター、いるじゃないですか。まあ宝塚歌劇は真ん中を支え輝かせるシステムにそもそもなっていると言われてしまえばそれまでなんですけど、逆に何かが上手すぎてむしろ鼻についたりして結局路線から外れていっちゃうタイプのスターだって一方でいる。そしてあっきーは決してそういうタイプの生徒ではないのです。
 だからこそ、真ん中に据えるためにはその前に一度は、二番手で黒い役をしてみせなきゃダメだと思うんですよね。それもできる、そこでも輝くとなって初めて、真ん中の、何もしなくてもいいただ白いだけのポジションに着けるのだと思うのです。
 イヤ別にトップスターになれるとかするべきだという話をしているわけではありませんよ? ただスターとしての起用法として、置き方使い方としてって話です。私はそう思う、というごくごく個人的な所感です。
 ああでもやっぱり、今が大事なときなんだと思うなあ。いろいろなタイミングがあっていろいろな状況があって、いろいろなことが急激に変わる例を私たちはたくさんたくさん見てきました。たとえばほんの二年前に今の各組の布陣が誰にも
まったく想像できなかったであろうのと同様に、未来のことも誰にもわからないのです。そして未来を作るのは今です。がんばったら必ず報われるというものではないかもしれないけれど、まあ何を報いと考えるかにもよるのかもしれないし、まずはがんばってほしい、がんばらせてあげたい、がんばりたいのです。
 あああだんだん澄輝日記4になってきましたね、かつまた論旨がヨロヨロしてきましたねすみません。でもいいんだ、最終的には本人が幸せなら、満足なら、なんでも…所詮ファンは見守ることしかできないんだから…えぐえぐ。
 重くてすみません、またきっとここで突発的にあれこれ語り出すと思います。お嫌でなければまたおつきあいいただけたら嬉しいです…どろん。







コメント (8)
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