「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

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胎盤関連産科合併症は、予防できます。当たり前のことですが、食事です。あと葉酸やビタミン補給が適切にできればなおよいです。

2023-10-13 20:44:58 | 小児医療

 第37回江東豊洲産婦人科懇話会~プレコンセプションケアを考える Part1~に本日参加し、多くの学びを得ることができました。

 日本医科大学多摩永山病院 院長 中井章人先生による「胎盤関連産科合併症と栄養」というテーマのご講演。

 胎盤関連産科合併症(PMPC,Placenta-mediated pregnancy complications)は、胎盤の形成不全や機能障害に関連して発症する産科合併症の総称で、妊娠高血圧腎症、常位胎盤早期剥離、small for gestational age(SGA)、早産、後期死産(late pregnancy loss)などが含まれます。

 それら疾患群には、共通した特徴があります。

1,高い再発性:胎盤関連産科合併症を経験したひとは、次の妊娠でも高率で経験

2,世代間の再発性:胎盤関連産科合併症で生まれた子が妊娠したら、同じように胎盤関連産科合併症を合併する

3,将来の生活習慣病リスク:胎盤関連産科合併症を経験した母親は、生活習慣病としての脳や心血管の障害に効率でなる。
 胎盤関連産科合併症で生まれた児は、同様に高血圧、心血管疾患、脳卒中、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病の発症しやすい(DOHaD仮説)。

4,治療が難しい:アスピリン(平滑筋弛緩、抗炎症、血小板凝集抑制)や低用量ヘパリン(抗炎症のみで血栓抑制効果はない)の治療があるが、難しい。妊娠16週までの早期からの治療が肝要。血管内皮障害が根本原因にあり、そこへの治療となる。

 栄養について、みていくと、

 もともと、妊婦は、葉酸(二分脊椎の発生率に関係、胎盤関連産科合併症も予防)、ビタミンC、ビタミンD、鉄、カルシウム、マグネシウムなどいずれをとっても推奨量を下回っている問題がある。
 葉酸やマルチビタミンを、妊娠前含め全ての妊娠期間中に長期に服用することで、胎盤関連産科合併症の予防効果は高まる。
 そもそも若い女性では、主食・主菜・副菜がそろった食事をとっている割合が低い。ほぼ毎日なのは、20代で1/3程度(32.1%)。結果、やせ(BMI<18.5)が、4人~5人に一人いる(20%台前半)。
 やせで、妊娠中も体重増加不良であれば、早産率は、40%を超える。

 まずは、適切な栄養をとることが、ものすごく大事!!!






 

 

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