ほそかわ・かずひこの BLOG

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皇位継承8~旧皇族復帰反対論への反論

2021-10-24 09:08:03 | 皇室
◆第一 旧皇族の復帰(続き)

#復帰反対論への反論
 昭和22年に臣籍降下した旧皇族について、伏見宮の系統で約600年前に皇統から分かれている、40数親等離れている、70年以上前に皇籍離脱して一般社会で生活してきたので皇籍復帰を国民は受け入れられないなどの反対意見がある。だが、これら旧皇族は戦前には、皇族だった。また、戦後も現皇室典範のもとで数か月間、皇族だった。その事実を軽視してはならない。
 この反対論については、そもそも皇籍離脱した傍系の宮家はどういう必要によって設けられた存在だったかを理解しているかどうかが重要点である。
 旧皇族の宮家は、皇族に男系男子の皇位継承者が誰もいないという状況になったとき、天皇になる方を出していただくために創設され、維持されてきた世襲親王家(註6)だった。小説家の司馬遼太郎氏は、それらの宮家を「血のスペア」と言い、ジャーナリストの大宅壮一氏は「血のリレーの伴走者」と呼んだ。
 伏見宮の系統が皇統から分かれたのは約600年前だが、その間、皇族・宮家と天皇直系の間で婚姻関係を結ぶことで血の近さを保ってきた。とりわけ旧皇族のうち竹田宮・北白川宮・朝香宮・東久邇宮の4宮家は、明治天皇の4人の内親王が嫁いでいる。つまり、明治天皇の血筋を引いている。約600年前に分かれているとか、40数親等離れているという遠さの強調は、この事実によって覆される。中でも東久邇家の東久邇盛厚(もりひろ)氏は明治天皇の孫であり、母君が明治天皇の4人の内親王の一人である。妻君の成子(しげこ)氏は昭和天皇の長女(元照宮内親王)で今上天皇陛下の伯母、上皇陛下の姉である。
 また、旧宮家は、皇室とは「菊栄親睦会」という皇室のご親族が集まる会があって交流を続けているという。元皇族ということから現在まで社会的にさまざまな名誉職を担ってきている。


(6) 世襲親王家は、南北朝時代から当代の天皇との血統の遠近に関わらず、代々親王宣下(註7)を受けることで親王の身位を保持し続けた宮家をいう。伏見宮家・有栖川宮家・桂宮家の三宮家に限られていたが、江戸時代に閑院宮家が創設され、四宮家となった。
 世襲親王家は、男系の血筋を直系と合わせて合計5本、次世代に継承し、それぞれに男系の男子が途絶えた時には、皇位および宮号の継承者を互いに融通し合った。それによって、万世一系の皇統の安定的継承に寄与した。
世襲親王家出身の天皇には、下記の例がある。

①第102代後花園天皇(伏見宮系)。今上天皇に連なる。
②第111代後西天皇(有栖川宮系)。
③第119代光格天皇(閑院宮系)。以後、直系で仁孝天皇―孝明天皇―明治天皇―大正天皇―昭和天皇―上皇明仁様―今上天皇徳仁様と続く。

 明治維新後、旧皇室典範によって永世皇族制が採用され、世襲親王家の制度は廃止された。

(7) 親王宣下は、皇族の子女に親王および内親王(註8)の地位を与えることをいう。
 明治時代以前は、天皇の子女であっても親王宣下を受けない限り、親王および内親王を名乗ることはできなかった。逆に、世襲親王家の当主など天皇の孫以下の世代に相当する皇族であっても、親王宣下を受けて親王および内親王となる例があった。
 現行の皇室典範では、第6条に天皇の嫡出の男子(皇子)、および天皇の嫡男系嫡出の男子(嫡出子である皇子から生まれた嫡出子の皇孫)である皇族を親王というと定めている。また女性の親王号を内親王という。このように皇族は生まれながらにして地位が決まっているので、親王宣下という制度はなくなっている。

(8) 親王・内親王、王・女王について概要を記す。
 現在、親王は、秋篠宮文仁様(皇嗣殿下)、同悠仁様、常陸宮正仁様の3人である。
 故三笠宮寛仁様、その弟・故高円宮憲仁様は、大正天皇の孫として親王だった。親王の妻は親王妃という。
 令和3年10月26日、秋篠宮家の長女・眞子様が皇籍を離脱するため、内親王は、天皇家の愛子様、秋篠宮家の次女・佳子様の合わせて2人となる。
 現行の皇室典範は、第6条に三世以下の嫡男系嫡出の子孫は、男を王、女を女王(じょおう)とすると定めている。王・女王は、歴代天皇の曾孫の代以降にあたる。三親等以遠の皇族である。ただし、天皇の兄弟は特例として三親等以遠でも親王、天皇の姉妹は同じく内親王となる。黒田清子様は、内親王だった。
 敗戦後の旧皇族の臣籍降下以降、王は存在しない。
 現在、女王は三笠宮彬子(あきこ)様、同瑶子(ようこ)様、高円宮承子(つぐこ)様の3人。みな大正天皇の曾孫である。
 仮に旧皇族の男系男子孫を皇籍に復帰する場合、歴代天皇の曾孫の代以降、三親等以遠であるから、称号は王となる。親王宣下の制度はなくなっているので、親王にはならない。王にも皇位を継承する資格があることを現行の皇室典範は、第7条に定めている。すなわち「王が皇位を継承したときは、その兄弟姉妹たる王及び女王は、特にこれを親王及び内親王とする」とある。

 次回に続く。

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