ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

トランプ時代の始まり~暴走か変革か19

2017-01-14 08:39:03 | 国際関係
 最終回。

●日本への影響とそれへの対処(続き)

 外交・安全保障についても同様である。特に対中国の政策に関して、それが言える。
 トランプは、選挙期間中から「大統領就任初日に中国を『為替操作国』に認定する」「中国のハッカーや模造品に規制強化する」「中国の輸入品に45%の関税を課す」「中国の覇権主義を思いとどまらせる。米軍の規模を拡充し、南シナ海と東シナ海で米軍の存在感を高める」等々と述べてきた。
 トランプは、単に経済的な利益の追及のためだけで、中国に強い姿勢を示しているのでなく、軍事力を増強して、中国に対抗しようとしている。米軍の戦力を陸、海、空で増強し、最新のミサイル防衛システムを開発することが必要だとし、「米軍の大増強」に着手する考えを明らかにしている。南シナ海に中国を圧倒する海軍力を配備して断固とした交渉をすること、日・韓・東南アジア諸国と共同ミサイル防衛網の構築を行うこと、その上で中国に対して国際的な規範を逸脱する行動に断固抗議して抑制を迫ることなどを実行することが予想される。
 トランプは、軍事費を約300億ドル(約3兆3237億円)増額させ、米軍の大増強を図り、日本などの同盟国には負担増と役割増を求めるだろう。わが国は、単に米国から求められる負担増・役割増を受け身で担うのではなく、憲法を改正して日本人自身が日本を守る体制を回復し、米国のためではなく、日本とアジアのために、自らの意思で行動しなければならない。また集団的自衛権は国際標準で行使できるようにしていかねばならない。それが、日本を守り、アジア太平洋の平和を維持する道である。
 本年(平成29年)1月に始まるトランプ時代には、これから2020年代にかけて行われるであろう米国と中国の地球規模の覇権争いが、鮮明になる時代となるに違いない。超大国・米国は確かに低迷・衰弱しつつある。だが、その経済力・軍事力は、以前として世界一である。一方、躍進著しい中国はAIIBの創設、人民元のSDR入り等を進め、経済大国として巨大化しつつあるようにみえるが、国内経済はバブルの崩壊が進行し、不良債権の増大、失業者の増加、暴動の頻発等で危険な界域に突入している。レーガン政権は軍拡競争で、停滞するソ連の経済をさらに悪化させ、赤い帝国を崩壊に導いた。トランプ政権がその例に学んで、中国解体を目標とする経済政策のボディブローを打ちまくれば、中国は苦悶して昏倒することになるかもしれない。軍事力を増強して中国の動きを封じ、経済力による兵糧攻めで崩壊させる。今のアメリカには、まだそれを敢行し得る力がある。人類の平和と繁栄のため、総大将に決戦も辞さずという覚悟と、大戦略を持った軍師がいるかどうかだろう。
 わが国は、トランプ政権のスタートによって加速される大動乱の時代に、しっかり対応しなければならない。それには、なによりもまず憲法を改正し、自らの手で自国を守る体制を確立する必要がある。日本が経済・外交・安全保障等を総合した戦略的な構想力を発揮し得るのは、日本人の手で憲法を改正し、まっとうな独立主権国家のあり方を回復したときのみである。どんでん返しを食らうTPPについては、もともとTPPと国家安全保障は、基本的に別の問題である。わが国は改憲と国家の再建を断行しない限り、米国へのさらなる従属の道か、中国の暴力的な支配に屈する道か、いずれかになる。日本の運命を切り開く選択は、自らの手で憲法を改正する以外にない。そして、充実した防衛力に裏付けられた外交力を力強く発揮する必要がある。日本がこの困難な時代を生き延びるために、日本人が日本精神を取り戻し、一致団結することが求められている。
 日本人がこの苦難苦境にひるみ、たじろぎ、自らの意思で運命を切り開くのでなければ、米国へのさらなる従属の道か、中国の暴力的支配に屈する道かのいずれかになる。それは、日本という国家の消滅であり、また日本人という民族の消滅に結果するだろう。21世紀の半ばを迎えるころ、日本が世界を物心調和・共存共栄の新文明に導く国家として輝かしい活躍をし得ているか、それとも世界の大動乱の中で他国に呑み込まれて衰滅してしまうかーーそれは、日本人が日本精神を復興・発揚できるかにかかっている。(了)

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