昭憲皇太后の御歌は2万7千余首、明治天皇と琴瑟相和(きんしつあいわ)し、歌聖としても仰がれています。明治天皇は「教育勅語」を発するとともに、和歌の内に人の道を詠み、国民に人としての在り方を諭しました。昭憲皇太后もこれに和して、多くの道徳的な歌を詠んで、国民の心の向上を促したのです。
朝ごとに むかふ鏡の くもりなく
あらまほしきは 心なりけり
(大意:毎朝見る鏡が曇りなく、ものを映すように、曇りのない状態でありたいものが、心です)
日に三度 身をかへりみし いにしへの
人のこころに ならひてしがな
(大意:一日に三度、自分を反省したという古人の心を、見習いたいものです)
人ごとの よきもあしきも 心して
きけばわが身の 為とこそなれ
(大意:人の話は良いことも悪いことも、注意して聞かせてもらえば、なんでも自分のためになるものです)
このような御歌で人の道を諭した昭憲皇太后は、女子教育の奨励にも力を入れました。女性教師を養成する東京女子師範学校(現在のお茶の水女子大学)の設立の際には、多額の手許金を出し、開校式にも行啓しました。そして、次の御歌を下賜しました。
みがかずば 玉も鏡も 何かせむ
まなびの道も かくこそありけれ
(大意:宝玉も鏡も磨かなければ、何の値も出てきません。学業の道も同じことで、自分を磨く努力が大切です)
この歌は、同学の校歌となっています。また、戦前、唱歌として広く歌われた「金剛石・水は器」は、昭憲皇太后が自ら作詩し、華族女学校(女子学習院)に下賜したものです。
◆金剛石
金剛石も みがかずば 珠のひかりは そはざらむ
人もまなびて のちにこそ まことの徳は あらはるれ
時計のはりの たえまなく めぐるがごとく 時のまの
日かげをしみて 励みなば いかなるわざか ならざらむ
(大意:ダイヤモンドも磨かなければ、宝石としての光は出てきません。人もまた、学問をしてこそ、真の徳が表れてくるのです。時計の針が絶え間なく回るように、時を惜しんで励むならば、どんなことでも成し遂げられないことがあるでしょうか)
◆水は器
水はうつはに したがひて そのさまざまに なりぬなり
人はまじはる 友により よきにあしきに うつるなり
おのれにまさる よき友を えらびもとめて もろともに
こころの駒に むちうちて まなびの道に すすめかし
(大意:水は器の形に従って、さまざまな形に変わります。それと同様に、人は交際する友人によって、良いようにも悪いようにも影響を受けるものです。ですから、自分より優れた、良い友を選び求めて、その友と一緒に、自分の心にむち打って、学びの道に進んでいきましょう)
昭憲皇太后の御歌や唱歌には、人を信じ、愛し、助け合うという心があふれています。こうした精神は「昭憲皇太后基金」として実践され、現在も世界の多くの国々の人々に、博愛の手が差し延べられているのです。
次回に続く。
************* 著書のご案内 ****************
『超宗教の時代の宗教概論』(星雲社)
https://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/d4dac1aadbac9b22a290a449a4adb3a1
『人類を導く日本精神~新しい文明への飛躍』(星雲社)
https://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/cc682724c63c58d608c99ea4ddca44e0
『細川一彦著作集(CD)』(細川一彦事務所)
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朝ごとに むかふ鏡の くもりなく
あらまほしきは 心なりけり
(大意:毎朝見る鏡が曇りなく、ものを映すように、曇りのない状態でありたいものが、心です)
日に三度 身をかへりみし いにしへの
人のこころに ならひてしがな
(大意:一日に三度、自分を反省したという古人の心を、見習いたいものです)
人ごとの よきもあしきも 心して
きけばわが身の 為とこそなれ
(大意:人の話は良いことも悪いことも、注意して聞かせてもらえば、なんでも自分のためになるものです)
このような御歌で人の道を諭した昭憲皇太后は、女子教育の奨励にも力を入れました。女性教師を養成する東京女子師範学校(現在のお茶の水女子大学)の設立の際には、多額の手許金を出し、開校式にも行啓しました。そして、次の御歌を下賜しました。
みがかずば 玉も鏡も 何かせむ
まなびの道も かくこそありけれ
(大意:宝玉も鏡も磨かなければ、何の値も出てきません。学業の道も同じことで、自分を磨く努力が大切です)
この歌は、同学の校歌となっています。また、戦前、唱歌として広く歌われた「金剛石・水は器」は、昭憲皇太后が自ら作詩し、華族女学校(女子学習院)に下賜したものです。
◆金剛石
金剛石も みがかずば 珠のひかりは そはざらむ
人もまなびて のちにこそ まことの徳は あらはるれ
時計のはりの たえまなく めぐるがごとく 時のまの
日かげをしみて 励みなば いかなるわざか ならざらむ
(大意:ダイヤモンドも磨かなければ、宝石としての光は出てきません。人もまた、学問をしてこそ、真の徳が表れてくるのです。時計の針が絶え間なく回るように、時を惜しんで励むならば、どんなことでも成し遂げられないことがあるでしょうか)
◆水は器
水はうつはに したがひて そのさまざまに なりぬなり
人はまじはる 友により よきにあしきに うつるなり
おのれにまさる よき友を えらびもとめて もろともに
こころの駒に むちうちて まなびの道に すすめかし
(大意:水は器の形に従って、さまざまな形に変わります。それと同様に、人は交際する友人によって、良いようにも悪いようにも影響を受けるものです。ですから、自分より優れた、良い友を選び求めて、その友と一緒に、自分の心にむち打って、学びの道に進んでいきましょう)
昭憲皇太后の御歌や唱歌には、人を信じ、愛し、助け合うという心があふれています。こうした精神は「昭憲皇太后基金」として実践され、現在も世界の多くの国々の人々に、博愛の手が差し延べられているのです。
次回に続く。
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『超宗教の時代の宗教概論』(星雲社)
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『人類を導く日本精神~新しい文明への飛躍』(星雲社)
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『細川一彦著作集(CD)』(細川一彦事務所)
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