ほそかわ・かずひこの BLOG

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日本の心123~唱歌にこめた愛と願い:昭憲皇太后3

2022-06-06 07:37:54 | 日本精神
 昭憲皇太后の御歌は2万7千余首、明治天皇と琴瑟相和(きんしつあいわ)し、歌聖としても仰がれています。明治天皇は「教育勅語」を発するとともに、和歌の内に人の道を詠み、国民に人としての在り方を諭しました。昭憲皇太后もこれに和して、多くの道徳的な歌を詠んで、国民の心の向上を促したのです。

 朝ごとに むかふ鏡の くもりなく
  あらまほしきは 心なりけり

 (大意:毎朝見る鏡が曇りなく、ものを映すように、曇りのない状態でありたいものが、心です)

 日に三度 身をかへりみし いにしへの
  人のこころに ならひてしがな

 (大意:一日に三度、自分を反省したという古人の心を、見習いたいものです)

 人ごとの よきもあしきも 心して
  きけばわが身の 為とこそなれ

 (大意:人の話は良いことも悪いことも、注意して聞かせてもらえば、なんでも自分のためになるものです)

 このような御歌で人の道を諭した昭憲皇太后は、女子教育の奨励にも力を入れました。女性教師を養成する東京女子師範学校(現在のお茶の水女子大学)の設立の際には、多額の手許金を出し、開校式にも行啓しました。そして、次の御歌を下賜しました。

 みがかずば 玉も鏡も 何かせむ
  まなびの道も かくこそありけれ

 (大意:宝玉も鏡も磨かなければ、何の値も出てきません。学業の道も同じことで、自分を磨く努力が大切です)

 この歌は、同学の校歌となっています。また、戦前、唱歌として広く歌われた「金剛石・水は器」は、昭憲皇太后が自ら作詩し、華族女学校(女子学習院)に下賜したものです。

◆金剛石

 金剛石も みがかずば 珠のひかりは そはざらむ
 人もまなびて のちにこそ まことの徳は あらはるれ
 時計のはりの たえまなく めぐるがごとく 時のまの 
 日かげをしみて 励みなば いかなるわざか ならざらむ

 (大意:ダイヤモンドも磨かなければ、宝石としての光は出てきません。人もまた、学問をしてこそ、真の徳が表れてくるのです。時計の針が絶え間なく回るように、時を惜しんで励むならば、どんなことでも成し遂げられないことがあるでしょうか)

◆水は器

 水はうつはに したがひて そのさまざまに なりぬなり
 人はまじはる 友により よきにあしきに うつるなり 
 おのれにまさる よき友を えらびもとめて もろともに
 こころの駒に むちうちて まなびの道に すすめかし

 (大意:水は器の形に従って、さまざまな形に変わります。それと同様に、人は交際する友人によって、良いようにも悪いようにも影響を受けるものです。ですから、自分より優れた、良い友を選び求めて、その友と一緒に、自分の心にむち打って、学びの道に進んでいきましょう)

 昭憲皇太后の御歌や唱歌には、人を信じ、愛し、助け合うという心があふれています。こうした精神は「昭憲皇太后基金」として実践され、現在も世界の多くの国々の人々に、博愛の手が差し延べられているのです。

 次回に続く。

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