く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<日本タンポポ> 意外に強いぞ!在来種 寿命長く10年後でも1割が生存

2012年04月14日 | 花の四季

【西日本では全体の45%が在来種。外来種とほぼ拮抗】

 動物のブラックバスやアライグマなどと同様、植物の世界でもブタクサやセイタカアワダチソウなど外来種が生息域を広げている。タンポポの世界でも在来種は外来種の勢いに押され、危機に瀕しているとばかり思っていた。ところがどうもそうでもないらしい。1年前の4月25日、奈良県天理市でタンポポ調査報告会があった。2010年に西日本19府県で調査(約7万4000件)したもので、その報告によると在来種はカンサイタンポポやトウカイタンポポなど12種見つかり、タンポポ全体の45%を占めた。そのうち3割弱がシロバナタンポポなどの白色型。外来種は西洋タンポポとアカミタンポポの2種(いずれも環境省の要注意外来生物)で不明分も含め全体の5割強を占めたが、近畿地区では外来種の割合が2005年より約5㌽低下していた。

 在来種か外来種かは花の基部にあるガクのような総苞外片の形で見分ける。下に反り返っていたら外来種、花を包み込んでいたら在来種。だが最近の傾向として、やや斜め上や横向きなどになった交雑種が増え、見分けがつきにくくなっているそうだ。外来種は自家受粉で1株あれば増殖するが、寒さに弱く秋にはほとんど死ぬ。一方、在来種は他家受粉のため群生しないと子孫を残せないが、寿命が長く全体の1割が10年後でも生きているという。

 タンポポ研究の第一人者、小川潔先生(元東京学芸大学教授)は「都市部を中心に外来種が優勢だが、近郊では在来種が優勢な地域も多い。とりわけ庭園や墓地、城跡など近年の改変にさらされなかった所では在来種が多い」と報告会で話していた。そういえば、この写真を撮った京都御所周辺も在来種のカンサイタンポポばかりだった。先生は「外来種は大量の種をばらまいては大多数が死滅、わずかに生き残った個体がまた多量の種をつくる。強いどころか、かわいそうな植物」とも話していた。

 タンポポはキク科。別名に鼓草、藤菜、田菜など。歯がギザギザなため、英語では「ライオンの歯」を意味する「dandelion(ダンディライオン)」。タンポポの語源は柳田国男の「鼓の音」説が有力らしい。茎の両端を細く裂いて水に漬けると鼓の形になり、子どもたちが「タンポンポン」と言って遊んでいた擬声語に由来するというものだ。このほか綿毛が拓本に使う「たんぽ」に似ているためとか、槍術稽古用のたんぽ槍に似ているため、さらには中国でのタンポポの古名「丁婆婆(チンポポ)」が転訛したなど諸説がある。古くから若葉がおひたしやあえものなどとして食用にされ、フランスでは西洋タンポポの若葉をサラダとして食する。背丈の割に根が長いのが特徴で、その根は健胃や解熱、消炎剤などの漢方の材料、タンポポコーヒーの原料などになる。つい見過ごしてしまいがちな野の花だが、タンポポの世界もなかなか奥が深い。

 「ちってすがれたたんぽぽの、かわらのすきに、だァまって、春のくるまでかくれてる、つよいその根はめに見えぬ。見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ」(金子みすゞ「星とたんぽぽ」)


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