く~にゃん雑記帳

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<天理参考館> 企画展「大和名所絵図めぐり」

2016年04月23日 | メモ

【地元の版元「絵図屋庄八」の絵図や宿屋の観光案内ちらしなども】

 天理大学の付属博物館、天理参考館(奈良県天理市)で企画展「大和名所絵図めぐり~一枚刷りに見る、ふるさとの風物」が開かれている。地元奈良を拠点とした版元「絵図屋庄八」の絵図や観光案内書から、有名社寺の門前にあった宿屋の広告を兼ねた観光ちらしまで、江戸~明治時代の観光パンフレットや冊子を一堂に展示中。これらを寺社や名所巡りの旅の友とした往時の庶民の姿が垣間見えるようだ。6月6日まで。

 

 絵図屋庄八は東大寺大仏殿前にあって、大和の観光絵図のみならず全国各地を紹介した1枚刷りや冊子も扱った。出版事業の継続期間は前身の「井筒屋庄八」なども含めると少なくとも明和6年(1769年)から昭和10年代まで170年余にわたる。木版色刷りの『大日本早引細見絵図』(1848年、上の写真=一部)もその版元の編集で、松前~琉球の主な街道、宿駅、里程、名所などを図示し、主要な西国巡礼道は朱線、大和巡り道は黒線など一見して分かるように示す。横幅は全長148cmもあるが、携行できるように小さく折り畳める。

 

 同版元については「絵図屋庄八のしごと」として別に1つのコーナーも設けている。そこには『いせ大和まハり名所絵図道のり』(1789年)、『西国順礼道中絵図』(1800年)、幕末期に発行された奈良図の代表格といわれる木版墨刷り『和州奈良之図』(1844年、上の写真㊧=一部)なども並ぶ。明治末期発行の『奈良名勝全図』(1908年、写真㊨)は派手な色使いで、奈良・猿沢池の周辺には多くの旅館の名前も見える。

 一枚刷りの絵図とは別に、17世紀中頃からは旅行者や参詣者の増加と相まって『南都名所記』(1702年)など冊子の名所記や道中記も多く出版された。さらに18世紀後半になると、風景画など多くの挿絵を取り入れたものの発行も盛んに。『大和名所図会』(1791年)、絵図屋庄八の『改正絵入南都名所記』(1818年)などだ。「宿屋の引札」コーナーには東大寺門前にあった「とうふや庄吉」(下の写真㊧)や「小がたなや善助」の広告入り観光案内図など12点が展示されている。

 

 ユニークなものとして目を引いたのが江戸時代の『大日本神社仏閣御領』(写真㊨=一部)。相撲番付のように全国の神社・仏閣を石高によって別々にランクづけしたもので、中央に「伊勢両皇太神宮」と「高野山金剛峯寺」、右側の神社の欄に上から「春日社」「石清水」「出雲大社」など、左側の仏閣には「興福寺」「東叡山」「延暦寺」などの名が見える。『西国三十三所順拝納経帖』は大阪の女性が1895年(明治28年)から97年にかけ西国巡礼を行ったときのもの。この女性はなかなか信心深かったらしく、1912年(大正初年)には小豆島八十八ケ所、淡路島四国霊場なども巡拝しているという。


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