く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<ナンキンハゼ(南京黄櫨)> 長く黄色い花穂はミツバチなどの蜜源に

2017年07月12日 | 花の四季

【名前は中国原産でハゼノキのようにロウが採れることから】

 中国中南部原産のトウダイグサ科の落葉広葉樹。標準的な樹高は5m程度だが、大きなものは高さ15m、直径1mにも達する。日本には江戸時代に渡来した。雌雄同株・異花。7月頃、若枝の先から10~20cmほどの黄色い総状花序を伸ばし、花序の上部に無数の雄花、下部に数個の雌花を付ける。ミツバチの蜜源植物の一つでチョウなども集まってくる。秋になるとスペード形の葉が赤や黄、紫など色とりどりに紅葉して美しい。緑色の果実は熟すと黒紫色になって果皮が割れ、白いロウ状物質に包まれた3つの種子が姿を現す。この種子は落葉後も付いたままのことが多く、寒い季節にムクドリやシジュウカラなどの鳥が盛んに種子をついばむ姿をよく見かける。

 学名は「トリアディカ・セビフェラ」で、種小名セビフェラは「脂肪のある」を意味する。和名は中国産でハゼノキ(黄櫨)のようにロウが採れることから。かつては各地で栽培されて種子が和ロウソクや石鹸の原料とされた。別名に「トウハゼ」「カラハゼ」「カンテラギ」など。ただハゼノキはウルシ科に属し、分類上は全くつながりがない。漢方では根皮を乾燥したものを「烏臼(うきゅう)」と呼んで利尿薬に用いる。春の若葉と秋の紅葉が美しいうえ、成長が早く乾燥や大気汚染にも強いとことから、関東以西の暖地で街路樹や公園樹として植栽されることが多い。

 ナンキンハゼは長崎市や京都府南部の京田辺市の「市の木」。日本には長崎に初めて入ってから各地に広がったといわれ、長崎市は1975年(昭和50年)に市の木に制定した。ただ一方で、外来種であるナンキンハゼの分布域拡大に頭を悩ます地域も。奈良県の奈良公園事務所は2016年11月、春の山焼きで有名な若草山(奈良市)でナンキンハゼの駆除作業を実施した。ナンキンハゼはアシビ(馬酔木)とともにシカが食べない忌避植物で、その繁殖によって生態系への影響が懸念されるというのが理由。ナンキンハゼは国の特別天然記念物で世界文化遺産「古都奈良の文化財」の一つになっている春日山原始林にも侵入しており、県は詳細な調査を踏まえて今後駆除方法などを検討していく方針という。「冬めきぬなんきんはぜの道行けば」(星野麥丘人)

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