く~にゃん雑記帳

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<書家・小筆凰外さん> 師匠没後40年を偲び京都・法然院で個展

2014年11月12日 | 美術

【自由闊達な作品約30点、来場者の前で書のデモンストレーションも】

 書道教室「墨心書芸」を主宰する書家・小筆凰外(こふで・おうがい)さんの個展が11日、京都市左京区の法然院で始まった。初代師匠の安井吾心氏の没後40年を偲ぶもので、書道歴40年余の集大成として自由闊達な作品約30点が並ぶ。会場の講堂正面入り口には師への尊敬と敬意を表す『敬』の1文字が飾られていた。16日まで。

 

 小筆さんが安井氏から手ほどきを受け始めたのは5歳の頃。その後、田中心外氏(元京都書道連盟会長)に習い、田中氏没後は小筆さんが「墨心書芸」を継承した。小筆さんは京都の教室数カ所で指導する傍ら、フランス・リオンの教室を拠点に海外でも書の普及に努めている。現在は京都書道連盟の常任理事。法然院で個展を開くのは初代師匠安井氏のお墓があることから。

 

 会場では毎日午後2時から書のデモンストレーションがある。初日はまず安井氏の遺墨『和顔愛語』『花竹秀』に一礼した後、来場者を前に師匠の思い出を語った。「とても怖くて厳しい先生だったが、今思えば優しさからの厳しさだったと思う。先生には書に向かう根本の精神を教えていただいた」。この後、丸い土器の皿と樹脂製のカンバスで書を披露した。

 土器は三重県伊賀市の陶芸作家・尾花友久氏が焼いた作品。小筆さんはその無地の皿を両手で触り、じっと見詰めながら、しばらく間を置いた後『輝』や『いろはにほへと』などを書き込んだ。続いて真っ白なカンバスに向かう。その様子を息を殺して見詰める来場者たち。小筆さんが『龍』の1文字を草書体のくずし字で一気呵成に書き上げると、一斉に大きな拍手が湧き起こった。

 

 会場内の壁面に飾られた作品はいずれも味わい深く見飽きることがない。いかにも文字がニコニコしているような『笑』、慈愛に満ちたお顔をかたどった『千手観音』、ほとばしる筆致の『然(ねん)』や『超越』……。詩人金子みすゞの『私と小鳥と鈴と』や徳川家康の人生訓『人の一生は重荷を負いて遠き道を行くが如し……』、さらに京の手毬歌『丸竹夷』をヲシテ文字で描いた作品などもあった。

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