【原産地は中南米、コスタリカやコロンビアの国花】
中南米の熱帯高地に分布するラン科の多年草。着生植物で、木の幹の樹皮や岩肌などに付着する。日本には明治時代に英国から渡来した。多彩な花色や華やかな花姿から「洋ランの女王」の異名を持つ。結婚式や発表会のブーケやコサージュなどとしてもよく使われる。
カトレアの名前は19世紀の英国の園芸家ウィリアム・カットレーにちなむ。ブラジル原産のカトレアの栽培に英国で初めて成功したことから、その植物に「カトレア・ラビアータ」の名が付けられた。和名は「ヒノデラン」。牧野富太郎博士がその美しさを日の出に見立てて命名した。だが、残念ながらその和名はほとんど使われていない。
カトレア属の植物は属間交配が可能で、多くの掛け合わせで数千とも数万ともいわれる品種が作り出されてきた。開花期は春咲き系、夏咲き系、冬咲き系、年に数回咲く不定期咲き種などがあり、花径も3cmほどから15cmを超える大輪まである。
中南米にはカトレアを国花としている国も多い。〝自然の宝庫〟といわれランだけでも約1400種が自生するというコスタリカは「カトレア・スキンネリ」という種類を国花と定めている。コロンビアやベネズエラもカトレアの1種を国花としている。「カトレアも見舞し人も美しく」(蒲田芳女)。