く~にゃん雑記帳

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<センノウ(仙翁)> ナデシコに似た炎のような深紅の〝幻の花〟

2013年07月25日 | 花の四季

【中国原産。室町時代には夏の贈答花として人気!】

 原産地は中国の中南部で、日本には鎌倉時代末期~室町時代初めに渡来したといわれる。ナデシコ科センノウ属の多年草。真夏に燃え盛るような深紅の、ナデシコに似た花をつける。「センノウ」の名は京都・嵯峨の仙翁寺に由来するといわれ、「センノウゲ(仙翁花)」とも呼ばれる。中国名は「剪紅紗花(せんこうしゃか)」。

  室町時代には切り花がお公家さんの贈答花として用いられるなど人気を集め、御所にも献上されたという。真夏に元気に咲き誇ることから〝長生不老の花〟ともてはやされたらしい。貝原益軒が著した「大和本草」(1709年刊行)には「剪秋蘿(センヲウ)」として取り上げられている。そこに「今世人賞玩シテ品類多ク出ツ 花紅ナリ又白色アリ褐色アリ」とあることから、江戸前期の頃もなお高い人気が続いていたようだ。その末尾には「嵯峨ノ仙翁寺ヨリ出タルユヘ名ツクト云。仙翁寺今ハナシ」と由来も記している。

 センノウはその後いつの間にか絶滅してしまったと思われ、いつしか「幻の花」と呼ばれていた。だが、まだ生き続けていた。関西では京都府立植物園が十数年前から、島根県で発見された株の一部を譲り受けて栽培している。染色体が3倍体で種が付かないため、挿し木による増殖に取り組んでおり、同じ場所を嫌うため1~2年ごとに移植を繰り返しているそうだ。

 同じ仲間のセンノウ属で日本在来種にはフシグロセンノウ、マツモトセンノウ、オグラセンノウ、エンビセンノウなどがある。フシグロは花が大型で、茎の節が膨らみ黒いのが特徴。マツモトセンノウの「マツモト」の語源は信州松本とも、花姿が松本幸四郎の紋所に似ているからともいわれる。オグラやエンビセンノウは環境省の絶滅危惧種に指定されている。「仙翁花や信濃へ越ゆる峠道」(桜木俊晃)。

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