カフカという人は長編は3作しかなく、そのどれもが未完で終わっている。今作は600ページ以上もありながら未完というのは読み手としてはもやもやする。
読むまで代表作の『変身』や『訴訟』のようなシュルレアリスムともとれる不条理さに満ちた作品なのかと思った。測量士として呼ばれたのに測量士としての仕事は一切せず、城に翻弄される主人公は不条理ともとれるが、それぞれのキャラクターとその背景が面白い。ひょんなことから村八分にされた一家の話は切なくも生々しくて好き。
とはいえ全部が全部いいわけではなく、結構ダラダラした会話部分も多い。そして前述の通り謎が謎のまま終わるというのは最悪。最後の最後でお内儀との意味ありげな会話が繰り広げられるが気になりすぎる。